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過去想い Side 'S'

自分の気持ちに気づいた時にはもう手遅れで

貴方には、幼いながらに愛している人がいて

りーが入り込む隙間なんてなかったんだ……





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小学生になる前、りーにお義兄ちゃんが急にできた

お互い、人見知りもあって最初はなかなかお話することもできなかった

ただ、いつの頃からか仲良くなった

明確なきっかけなんてなかった…はず

理子:りー、おにぃちゃんのおヨメさんになる!!

◯◯:理子と僕はきょうだいだから、けっこんできないんだよ?

理子:しらない!だいすきだもん!!

最初はただの親愛だったはず

それが気付いたら…

◯◯:理子、どうしたの?

理子:んーん、何にもない

“恋”になっていた

ただ、その感情に気付いた時、義兄には

◯◯:美味しいよ

石森:ほんと?良かったぁ〜

石森:理子ちゃん、どうかな…?

理子:美味しい!

石森:良かった〜

既に彼女がいた

恋だ愛だ言うにはまだ幼かったけれど

恋をして、愛しているのだと感じ

何よりも

◯◯:ん?どうした?

理子:別に何にもないよ?

幸せそうな義兄の様子を見てしまったら

とてもじゃないけど、間に入り込もうとは思えなかった





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義兄に恋人ができて2年が経つ頃

◯◯:どこ行ったんだよ……璃花……

義兄の彼女は、姿を消した

引越し先に訪ねに行ってもそこはもぬけの殻で

◯◯:なにも言わずに…なんで……

忽然と姿を消した

そのことにりーは

理子:……ッ!!

寂しさよりもまず、喜びが勝ってしまった

義兄はもちろん、彼女のことも好きだったから寂しかった

だが、それでも

理子:(良かったなんて…なんで……っ)

可能性が、チャンスができた、と思ってしまった

自分でも断ち切った想いと思っていたのに

理子:(なんで……なんで………っ!)

捨てきれずに燻っていた想いは、再び燃え始めた

それからは、荒れる義兄に寄り添い、支える

理子:◯義兄?

◯◯:っ、ごめん理子

フリをしている

理子:(璃花ちゃんのこと…だよね)

義兄を想い続けてきたからこそ

義兄が想い続けているのも分かる

そこにつけ込み

理子:………璃花ちゃんのこと?

義兄にアピールをしている

理子:嘘、だよね?

気持ちに寄り添うフリをして、依存してもらえるよう

理子:りーの前では、隠さなくて良いよ

◯◯:…………ぁ“

最低なことをしている自覚は、ある

それでも抑えきれない想いが、ある

理子:(ごめんね…最低な義妹で……)

理子:だから気付くよ、◯義兄が我慢していることくらい

◯◯:ゴメン……ぅ”

罪悪感を、偽善の言葉で隠しながら

◯◯:璃花に……会いたい……っ“……ぅぁ”

理子:りーも……会いたい

今日も義兄を…溺れさせる

理子:(あと少し…もう少しで……)



Fin

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