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米国務省、米政府船舶のパナマ運河通行料免除を発表—パナマ側は合意を否定
米国務省は、米政府が所有する船舶が今後、パナマ運河を通過する際の通行料を免除されると発表した。この措置により、米政府は年間数百万ドルのコスト削減が見込まれるとされる。しかし、パナマ政府およびパナマ運河庁は正式な合意は存在しないと主張しており、今回の発表は外交的な混乱を招いている。
米政府による発表は、マルコ・ルビオ米国務長官が中米を訪問し、ホセ・ラウル・ムリノ・パナマ大統領と会談した直後になされた。これに対し、パナマ運河庁は声明を発表し、「通行料の変更については何の合意もない」と強調。さらに、米政府と協議する用意はあるものの、パナマ運河の管理は国内法および国際条約に基づいて行われると指摘した。
パナマ運河は、1977年に締結されたトリホス=カーター条約により、中立的な運営が義務付けられている。同条約の下では、すべての国の船舶に対し平等な扱いが求められており、米政府船舶のみが優遇されることは条約違反の可能性がある。今回の発表により、パナマ国内外で法的・外交的な影響が懸念されている。
この動きの背景には、米国によるパナマ政府への圧力があるとみられる。ドナルド・トランプ米大統領は、パナマ政府が米国船舶に「不当に高額な通行料」を課していると批判し、「パナマ運河の管理権を取り戻す」との強硬な姿勢を示している。米国はまた、中国の影響力拡大を警戒しており、戦略的要衝であるパナマ運河の管理をめぐる動向に神経をとがらせている。