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ECB、4会合連続の利下げを決定へ—景気支援を優先

【フランクフルト 2025年1月30日】 欧州中央銀行(ECB)は理事会を開催し、4会合連続となる利下げを決定する見通しである。これは、欧州経済の減速リスクを考慮し、物価安定から景気支援へと政策の重点を移す動きとされている。特に、トランプ米大統領の高関税政策やユーロ安の進行により経済の不透明感が増しており、ECBは慎重に利下げを継続する方針を固めつつある。

ECBは、インフレ率が目標の2%に近づいているものの、経済成長の鈍化を懸念している。特に、製造業の不況や消費の低迷が顕著であり、これらの状況が利下げの主な要因となっている。ユーロ圏のGDP成長率は2024年第4四半期に前年同期比1.2%に減速し、景気回復の足取りは依然として弱い。

ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は、「ユーロ圏経済は依然として外部環境の影響を強く受けており、金融政策の調整が必要だ」と述べており、慎重な金融緩和の継続が必要であるとの認識を示している。

市場では、ECBが本日の会合で政策金利を0.25%引き下げ、預金金利を2.75%とするとの予想が優勢となっている。さらに、2025年内に追加の利下げが行われ、最終的に金利が2%まで低下するとの見方も浮上している。

これに伴い、ユーロは対ドルで軟調に推移しており、ユーロ/ドルは1.07ドル前後での取引が続いている。市場関係者の間では、「ECBの追加利下げ観測が強まることで、ユーロ安がさらに進む可能性がある」との声も聞かれる。

ECBの金融政策は、米国の貿易政策の影響も受けている。トランプ米大統領は、欧州からの輸入品に対する関税を引き上げる方針を示しており、これがユーロ圏の輸出企業にとって逆風となる可能性が高い。特に、自動車産業や機械産業は、米国市場への依存度が高いため、影響を受けやすいとみられている。

ドイツ銀行のエコノミスト、クラウス・ハイネマン氏は「米国の高関税政策が続けば、ユーロ圏の輸出はさらに落ち込み、ECBの金融政策に対する圧力が強まるだろう」と指摘している。

ECB内では、利下げのペースや最終的な金利水準について議論が進められており、政策の方向性は経済指標や外部要因に大きく依存している。特に、米国の貿易政策やユーロ圏内の政治的状況が、今後の金融政策に影響を与えると考えられる。

市場では、ECBが2025年の前半にかけて2回の追加利下げを行う可能性が指摘されている。ただし、インフレ率が急上昇した場合や、経済指標が予想以上に改善した場合は、緩和政策の見直しもあり得る。

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