[演劇批評] 肉体の疲労/キャラクターの消費 (得地弘基「お布団」『破壊された女』)
一人芝居の『破壊された女』という「戯曲」はふたりの俳優(永瀬安美/村岡佳奈)によって「上演」される。同じ戯曲が再演されるごとに役者が異なるのは、至極当たり前のことだ。しかしこれは考えると不思議なことである。ここには「役者」と「役」はあらかじめ分節しうるという演劇の約束事が前提とされている。「役」という抽象的な人物(キャラクター)。彼/彼女は、肉体を持たない魂のみの存在であり、彼/彼女が息をできるのはフィクションという空間のみであり、フィクションが稼働するのは見られる/聞かれる