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【Audible本の紹介46】深夜特急1~6(沢木耕太郎)の紹介記事(まとめ編)

今回は、1986年に初版が発行された、日本人青年のアジアからヨーロッパへの一人旅の記録と、その途中での思索を追った「深夜特急」を紹介する自分の投稿記事の「まとめ編」です。

これまで第2巻から第6巻までの紹介記事を書いていて、本日、第1巻について書きました。これをもって全巻の紹介が揃ったので、今回、まとめ編を投稿します。

あらすじ(1~6巻)

深夜特急は、1970年代(前半)、「インドのデリーからイギリスのロンドンまでを乗り合いバスで行く」と思いたった著者の沢木耕太郎さんが、香港を皮切りに、ユーラシア大陸横断の旅をした話です。
日本の若者が、身一つで世界を見に行く、貧乏旅行ブームの時代であり、その文学的なアイコンのような存在です。

【第1巻】

沢木さんはまず東京から香港に飛びます。インドのデリーに行くため買った格安飛行機チケットが途中で別の都市に立ち寄ることができるチケットだったので、香港に向かいました。そして、そこで思いかけず、長居します。

そこがはじめての外国だったからなのか、うまがあったのか、香港とマカオに魅了された沢木さんの「熱狂」と「けだるさ」が感じられるのが、第1巻の特徴です。

【第2巻】

第2巻では、沢木さんはタイ(バンコク)、マレーシアと陸路で移動し、シンガポールに到着します。

旅にだんだん慣れてきて、現地の人とのふれあい方もいろいろな形になります。子どもとのやりとりに印象的なものが多いかな、という印象があります。同じように旅しているヨーロッパの若者とのやりとりも多くあります。

ずいぶん長居して熱気を感じていた香港との違いを感じつつ、東南アジアのいろいろな都市を訪れるたびに、沢木さんの心の変化が感じられるのが第2巻の特徴です。

【第3巻】

ホテル探しや賭博場での駆け引きが印象的だった香港・マカオ編、色々な人との出会いや国や都市による違いが大きかった東南アジア編、に比べ、最も、重たく、ディープな雰囲気があるのが、インド・ネパール編です。

今でもかもしれませんが、日本はもちろん、東アジアや東南アジアとも別物なほど、属する層による貧富の格差、カーストなどによる社会の格差が存在する南アジアは、日本社会との違いが大きいことが鮮明です。

置かれた環境を、自然なもの、当たり前なものとして、したたかに、辛抱強く、受け入れて、あるいは受け流して、生活している現地の人たちを見つめる筆者の視線は、若者らしさもありつつ、基本的に冷静です。

【第4巻】

この第4巻は、ひたすら中東の国々の国境を超える長距離バスで国々を移動している描写が続いています。この点、第3巻までと雰囲気が変わった感じがします。

触れ合う人も、バスに同乗するヨーロッパの若者たちや、バスに関係する現地の人たちが多く、著者の腰の落ち着かなさとあわせ、少し刹那的です。なお、ここで描かれているのは、現在の政情ではできない旅です。

【第5巻】

第5巻では、沢木さんはアジアからヨーロッパへの移動を果たしていて、これまでの雰囲気に比べると、全体に落ち着いた雰囲気です。

また、旅がいよいよ終わりに近づいていることへの感情が表されている記述もあります。

【第6巻】

第6巻では、沢木さんは南ヨーロッパのイタリア・フランス・スペイン・ポルトガルを旅しています。
地中海地方なので、気候的には暖かく明るくも、若干けだるい雰囲気です。

次に、ゴールに設定しているロンドンに向かえば、いよいよ旅が終わることになるので、出発を逡巡する感情が表されている記述もあります。

【おまけ】

自分の個人的な思い出も書いていました。最後に、おまけで紹介します。


【Audibleと文庫の紹介】






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