島根とロシアの関係(2000年~現在まで)その5:牡丹輸出
今回は、島根県の花である「牡丹」の苗のロシアへの輸出について、書きます。過去にいろいろな形で取材された記事がウェブに掲載されているので、それらを引用し、振り返ることで、牡丹輸出に関するまとめ的な記録として残るような形を目指して書いていきます。
1 はじまり
一人の島根県職員の「ひらめき」が全ての始まりでした。貿易支援部署の福間さんはロシアに留学したことがありました。その経験から、島根からロシアへの輸出品目として、ピンときたのが、花を贈る文化、庭で植物を育てる文化があるロシアでは牡丹の花は必ず人気が出るだろう、という考えでした。その後に牡丹を輸入・販売するパートナーとなったウラジオストクのエレーナさんとの出会いも運命的でした。以下の記事に詳しく書かれています。
2 試行錯誤
最初の輸出に向けた準備、初めての輸出と現地での販売イベントと試行錯誤が続きました。準備は、植物検疫をクリアするための方策の調査が最も大変だったようです。実際に、輸出通関手続き・現地への輸送・現地での輸入通関手続きが進み、現地で無事受け取り、ロシア人のみなさんの手に渡った時は、関係者はとてもうれしかったそうです。自分も、この頃から、2代目の担当者として、この牡丹輸出プロジェクトに関わるようになりました。
3 継続・拡大
平成20年頃から平成30年頃まで、毎年の輸出が継続され、輸出量が拡大していきました。牡丹苗木の本数としては年間3~4千本まで伸びました。9月に山陰の港から輸出され、10月にウラジオストクに到着した牡丹苗は、現地で展示即売され、瞬く間に売れていきました。島根から牡丹関係者が出張し、現地で牡丹の育て方をレクチャーすることもあり、大人気でした。購入したロシアの方々は、自分の庭や農園に牡丹を植え、翌年春に花が咲くのを楽しみに待ちます。牡丹の普及に向け、植物園や学校、キリスト教会など、人々の生活の場での広報・交流活動も行われました。
4 中断・再開
平成29年(2017年)、ロシアの検疫制度の変更の影響で牡丹輸出がいったん中断しました。その後、令和2年(2020年)、ロシア政府と新しい制度に対応した検査方法を実施し、3年ぶりに輸出が復活しました。
5 現在
現在、ウクライナ侵攻の影響などにより、輸出は行われていません。ロシア関係者との連絡はとれるので、情報交換はできます。その中では、現地では引き続け牡丹鑑賞が楽しまれていることが確認できています。
最後に、毎日新聞に掲載された本内容に関する記事を引用しておきます。
連載「島根とロシア」
1 中古車貿易
2 市民文化交流①(江津市ロシア祭り)
3 市民文化交流②(西ノ島町ロシア水兵墓地)
4 市民文化交流③(ロシア理解市民講座)
6 最近の出来事(ITエンジニアの橋渡し)