(公務員の仕事)令和7年度の予算要求の枠組み
地方自治体における予算要求は、一定の枠組みの元で、行われています。
島根県の枠組みを定める「予算編成方針」については、以前令和6年度分について投稿していますが、最新の令和7年度分が公開されましたので、改めて投稿します。
11月はじめに、令和7年度当初予算の編成方針が示されました。これに基づき、各課は予算要求をします。
※なお、正式に編成方針が示されたのは11月ですが、県庁内部では予算編成案があらかじめ示されており、要求作業の一部は夏頃から行われています。
島根県の場合は、予算が大きく3つの枠に分かれていて、取り組みたいことを、この3つのいずれかの枠で予算要求をする仕組みになっています。この大枠は、昨年度と変わっていません。
1.創生枠(島根創生推進重点経費)
島根県では、しまね創生計画という総合計画に基づいて、主な施策が行われます。
現在、第2期(2025~29年度)の策定が進んでいます。
この第2期創生計画に関連する重要な施策は、この創生枠で要求します。商工労働部では、伝統的に、積極的にこの枠での要求を行います。
なお、R7要求においては、創生枠は、部局調整枠一般施策経費の削減額の2倍の範囲内で要求すること、という新しいルールができていますので、その対応(=部枠の事業の中で、スクラップする事業の選定)も行います。
8月~10月にかけて行われる県庁内での協議で、この枠で要求することができる事業が検討されてきており、それらを要求します。
2.特別枠(特別需要経費)
大規模な施設整備だったり、何年かに一度のイベントだったり、を行うとき、通常の予算ベースでは対応できないので、特別に要求する枠組みがあります。この枠は、この枠で要求してよいかどうか、実際の要求作業が始まる前の8月頃、事前に協議し決定されます。
3.部枠(部局調整枠)
それぞれの部局にあらかじめ配分されている枠です。いわゆる「枠予算」の仕組みが取り入れられていて、この枠については各部局に基本的な権限があります。毎年必要となるような、施設維持のための予算や、一般的な旅費などもこの枠に含まれます。補助金やイベントなどのための予算も、多くはここに含まれます。枠の範囲であれば、既存の事業をスクラップしたら、その分、新しい事業を組み立てることができます。
4.作戦をたてる
今年度と比べて、来年度の新しい課題は何で、それにはどんな対応をするのか、などを考えて、
・それぞれの枠ではどんな要求をしていくか、決めていきます。
・特別枠は、多くの人が、確かにそれは特別な事情があるよね、と思うような事柄なので、どちらかというと議論の余地は少ないです。
・創生枠には、県庁の目玉事業や新しい課題への対応策がならぶイメージなので、部内でしっかり議論して、ふさわしい事柄を出します。
・部枠は、前例踏襲主義でやってしまうと、下手すると何も変えずに要求してしまうこともあり得ます。恒常的に必要な事業のための予算が存在するのも事実であり、それはいじれません。
ただし、枠が与えられていて、各部の各課が自分の権限(裁量)で、事業の構築をできるというメリットがあるので、工夫のやりがいがあります。ちょっとした事業改善にための予算増など、この枠の中で、対応するイメージです。
こんな感じで、いろいろ考えながら、上司にも相談して判断してもらいながら、それぞれの枠に向かって予算要求していきます。
以下は、山陰中央新報の記事の抜粋です。
(報道)島根創生、物価高に重点配分 県が来年度予算編成方針
島根県が11月5日、2025年度当初予算編成方針を明らかにした。24年度中に策定する第2期島根創生計画(2025~29年度)の推進に重点配分する。
物価上昇を踏まえ、見直しが難しい事務事業などは24年度当初予算額(一般財源)の2%増の範囲で認める。国の施策や財政支援を踏まえ、物価やエネルギー価格の高騰対策も重点的に配分する。
25年度から5年間の財政見通しは毎年度26億~28億円程度の収支不足を見込み、国の交付金などで財源確保を図る。貯金に当たる財政調整基金残高は29年度末に180億円程度、借金の県債残高は5400億円程度にする目標を掲げた第2期中期財政運営方針(25~29年度)も策定した。
(参考)今村寛さんのnote
枠予算については、前回の投稿でも紹介した今村寛さんが「ヒロシです」で沢山の記事を書かれてるので、読んでみてください。
https://note.com/yumifumi69/m/m3128398729c9