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【Audible本の紹介47】深夜特急1香港・マカオ編(沢木耕太郎)
今回紹介する本は、1986年に初版が発行された、日本人青年のアジアからヨーロッパへの一人旅の記録と、その途中での思索を追った「深夜特急」の、第1巻の香港・マカオ編です。
これまで第2巻から第6巻まで紹介する記事を順番に書いてきましたが、第1巻について書いてなかったことに気づき、あらためて書いてみます。
第1巻で、沢木さんは東京から香港に飛びます。
インドのデリーに行くため買った格安飛行機チケットが途中で別の都市に立ち寄ることができるチケットだったので、香港に向かうことにしました。
そして、そこで思いかけず、長居します。
そこがはじめての外国だったからなのか、うまがあったのか、香港とマカオに魅了された沢木さんの「熱狂」と「けだるさ」が感じられるのが、第1巻の特徴です。
なお、現在、「深夜特急」は、第1巻から第6巻まで、全てをAudibleで聴くことができます。
あらすじ(1~6巻)
深夜特急は、1970年代(前半)、「インドのデリーからイギリスのロンドンまでを乗り合いバスで行く」と思いたった著者の沢木耕太郎さんが、香港を皮切りに、ユーラシア大陸横断の旅をした話です。
日本の若者が、身一つで世界を見に行く、貧乏旅行ブームの時代であり、その文学的なアイコンのような存在です。
第1巻(香港・マカオ編)について
日本からの飛行機で到着した香港では、ネイザンロードの黄金宮殿という安宿に泊まり、老人、子ども、水上生活者、日本語を話す若者などたくさんの人と触れ合う毎日を過ごした。
一日中、街を歩き、露天や廟で街や人の熱気に触れ、香港島へのスターフェリーに乗る。毎日が祭りのように感じるし、一方、街や人の陰の部分を感じることもあった。
次のマカオでは、大小というサイコロ博奕に取り憑かれ、有り金を失いそうになる羽目に・・・
いろんなタイプのディーラーとのやりとり、いかさまでやられたり、恐ろしいほど当たりが続いたり。
他のお客さんを観察する視線も面白いし、なによりサイコロを振るカシャカシャという音の臨場感で、読者も熱くなります。
この二つの都市の物語は、深夜特急の旅の面白さが濃縮されていて、当時、多くの読者が自分も同じような旅をしてみたいと思ったでしょう。
最後にあらためてAudibleと文庫本の紹介を。
冒頭述べたように、Audibleでは1巻から6巻まで全てを聴くことができます。文庫本は2020年に新版が発行されていて、現在も手に入ります。
【これまでに書いたnoteの紹介】