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島根とロシアの関係(2000年~現在まで)その3:西ノ島ロシア水兵墓地
今回は、島根とロシアの関係における歴史上の出来事と、そのことに影響を受けて、現在、地元でさまざまな活動を行われている方々として、隠岐諸島の西ノ島の佐倉さんたちを紹介します。
日露戦争とロシア水兵墓地
日露戦争の日本海海戦で死亡したロシア人水兵の遺体が隠岐諸島の一つ、西ノ島に流れ着き、地元の人たちによって、地元の墓地の一画に葬られました。そのロシア人水兵墓地は、他のお墓と同様に丁寧に扱われ続け、現在でも地元の方々により、守られています。
※隠岐の島(島後)のロシア水兵の墓も大切に扱われています。また、島根半島にも複数のロシア水兵の墓があることがわかっています。
佐倉さんたちの活動の広がり
この墓にまつわる話は地元でも知る人の少ない出来事でしたが、佐倉さんたちは、歴史上の一つの出来事として、その事実をあらためて調べ、住民への発表の場を設けるなど、光をあてる活動を行ってこられました。
ロシアの人たちとの交流につながる
この取組は、さまざまな形でロシア人の知ることとなり、同じ思いを持つロシア人の人たちとの交流が始まりました。2000年~2020年頃にかけて、何回か、西ノ島とロシアの間で、関係者の行き来があったり、それぞれの地でイベントが開催されるなどの、交流がありました。
具体的には、ウラジオストクの牡丹専門家エレーナさんによるドキュメンタリー映像の作成、同じくウラジオストクの大学関係者による記念プレートの贈呈、などの出来事がありました。
小中学生・高校生に引き継がれる活動
西ノ島の小中学校では、郷土教育の中でこの歴史を知る機会があります。また、隣の島にある、隠岐島前高校では、ウラジオストクの高校生との交流(留学生の受け入れや現地に渡航して交流活動)が行われました。
生徒にとっては、海外の歴史・文化を知り、世界に目を向けるきっかけになったり、世の中全体の多様性を知る機会になっているのではないか、と思われます。
佐倉さんのお父さんはシベリア抑留の経験者だったそうです。佐倉さんは、そのお父さんや家族の方々に対し、大学に進学させてもらい、広い世界を知ることができたことについて、とても感謝しているそうです。だから、若い世代の子どもたちに、多様な世界を見て、いろいろなことを感じてもらいたい、と考えているそうです。
【関連資料】
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この西ノ島のロシア水兵の墓地を広める佐倉さんたちの活動と関連する日露の交流活動については、多くのメディアに取り上げられています。上記のドキュメンタリー映像の作成や記念プレートの贈呈など、主だったものを紹介します。