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【Audible本の紹介43】人工知能は人間を超えるか(松尾豊)

 今回紹介するのは、「人工知能」の基礎的な知識が得られるとして名高い本です。著者の松尾豊さんはこの分野の第一人者で、かつ、分かりやすい記述が特徴です。

 技術の進歩が非常に早い人工知能を対象として2015年に書かれた本なので、内容が古いと感じられるかもしれませんが、自分が読んだ限り、10年後の今の状況を的確に予測していて、全く違和感がありません。

 むしろ、著者の将来を見通す力に驚くともに、本書の内容が信頼できる根拠にもなっています。

 そうは言っても、本書では明言されていなかった、生成AI(ChatGPT)の出現は、大きくフェーズを変えているらしく、第一人者である著者のこの方面への言及は要注目です。

 今回、本書をAudibleで聴いて印象に残った点として、「AIブームの歴史」「機械学習・ディープラーニング」「特徴量・特徴表現学習」「AIは危険な存在か?」の4点について紹介します。

 また、本書を読んだ後にウェブで検索したら、松尾さんが本書に近い内容を解説するサイトがありました。自分はAudibleで聴いた後だったので、特にとっつきやすく感じられたのかもしれませんが、これらのサイトを見るのも理解が進んで良さそうです。最後に「参考情報」として紹介します。

 個人的には、この聴書は、年末年始に遅ればせながら実施できたインプットとして有益だったと思います。もし、間違いがあったら教えてください。

【本書のポイント】

1 「AIブームの歴史」

 過去に2度(1960年頃と1980年頃)、人工知能がブームがあったが、どちらも不発に終わった。 主な理由は、人間が特徴量(※ものごとの特徴を数値で表現したもの)を定義し、入力する必要があったから。第3次AIブーム(2000年代以降)は「データから自ら学習する人工知能」の時代。機械学習、その中でもディープラーニングが主要な技術として発展してきている。
 ※生成AI(ChatGPT)の出現により第4次AIブームに入ったかも(松尾氏)

2 「機械学習・ディープラーニング」

 特徴量の教え込みが難しかった従来型の機械学習をディープラーニングが自ら特徴を発見する形でブレイクスルーした。
機械学習は、人間が示したパターンに基づき、コンピューターがデータを解析する技術。
ディープラーニングの登場により、自ら学習し特徴量を発見出来るようになった。 これにより、人工知能はこれから驚異的なスピードで進化していくと思われる。

3 「特徴量・特徴表現学習」

 人工知能は「特徴量」の獲得が鍵となる(「特徴表現学習」)。人間の神経回路を模したニューラルネットワークを活用するディープラーニングの学習方法がこれを可能とした。
特徴量とは、対象データ(画像/音声/自然言語等)の特徴を定量的な数値として表したもの。 
特徴表現学習とは、対象データから特徴量を自動的に抽出する学習のこと。

将来的には高い認知能力や予知能力、行動能力、概念獲得能力、言語能力を持つ知能が実現する可能性がある。※生成AIChatGPTの出現を予言するもの

4 「AIは危険な存在か?」

"生命体ではない人工知能は生存本能がなく、人工知能が暴走し人間を襲う未来は来ないだろう"
 ディープラーニングは特徴量を自身で探し学習する点が画期的であるが、一方で人工知能が人類の生存を脅かすシンギュラリティの到来を著者は明確に否定している
 その理由は非常にシンプルだが、「人工知能は生命体ではないため、自己増殖の欲求がない。」ということが理由としてあげられている。

5 「参考情報」

 松尾さんが説明されている「人工知能」「ディープラーニング」等について、以下のサイトなどでわかりやすく紹介してあります。

○2023年夏に開催された中高生向け講演会「未来を切り拓くAIの授業」

  以下は、本書が書かれた後の2016-17年頃にウェブに掲載された情報です。
本書の理解に役立つと思います。

○講演資料「人工知能の未来 -ディープラーニングの先にあるもの」(2017年)

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/smartsme/2017/170517smartsme03A.pdf

○講演映像【SoftBank World 2016】「人工知能は人間を超えるか」


最後は、松尾豊さんによる生成AIに関する資料です(2023年)。

生成AIの技術動向と影響

https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001125241.pdf




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