2023年の全国と島根県の企業の輸出入の金額を比較しました
さきほども投稿した2023年の島根県企業の輸出・輸入のデータについて、あらためて分析しながら、紹介していきたいと思います。
【全国と島根県の貿易額の推移】
今回は、全国と島根との輸出・輸入の金額の比較です。
上の全国のグラフでは、輸出額は増、輸入額は減となっています。
下の島根のグラフでは、輸出額も輸入額も減となっています。
輸出は、全国、島根とも基本的には拡大傾向にあるようですが、島根の輸出は、その主要ジャンルである鉄鋼や電気機器の一部が減少したため、全体でも減少となったようです。
島根の輸入の減は、石炭などの鉱物性燃料類の減が主な要因です。島根には大きな火力発電所があるので、発電用に多くの燃料を輸入していますが、その金額の減です。
全国の輸入の減少も、要因は同じく燃料類の減だと思われます。世界的なエネルギー価格の高騰が少し和らいだことによる価格低下が原因であり、量自体が大きく増減したわけではないようです。これら燃料類はその前の年は大きく増えており、エネルギー価格の上昇・下降による経済への影響が大きいことがわかります。
グラフの元データ(数値)は以下になります。
【出典:島根県ホームページ】
最後に、全国と島根県の輸出入金額の比較に関してコメントを追記します。
2023年、日本全体は輸出より輸入が多い貿易赤字だった(赤字幅6兆円)
これは、日本の貿易の仕組みが、高度成長時代からバブル期ごろまでの輸出主導のものから、2000年代以降、日本企業の現地生産品の輸入を含む輸入基調に変わってきていることが主要因です。
一方、島根県の企業の貿易額は、最近でも輸出額の方が多い状況となっています。
これは、島根県の調査が、県内企業からのアンケートであるため、販売(輸出)については県内企業が実際に関与していることから数字が出てきていますが、一方、調達については、他企業が輸入したものを国内取引で入手しているため、その商品が輸入品の場合でも、回答に反映できていないための、数字のマジックによる部分もあると考えられます。
実際には、島根県内企業においても、輸出入の金額はもっと均衡したものになっているのが実態と思われます。
(参考)日本貿易会による分析
輸出入ともに堅調に推移し、資源・原材料市況の下落で貿易赤字が縮小
・輸出総額は2022年度比横ばいの102兆6,320億円となる。
・内訳は、輸出数量が同0.7%増加、輸出価格が同 0.7%低下。世界経済が減速する中、国際的なエネルギー価格の低下などから、価格はやや低下する。
・輸入総額は 2022 年度比 5.6%減の 116 兆 1,850 億円となる。
・内訳は、輸入数量が同 1.2%増加、輸入価格が 同6.7%低下。内需の緩やかな回復から数量は小幅増。エネルギー価格の低下などから価格は低下する。
・この結果、通関貿易収支は 13 兆5,540 億円の赤字と、3 年連続の赤字となる。