島根県内でのスタートアップの考え方による起業の取組の紹介
note、5つめのテーマを「地方における起業・新規事業展開のコミュニティ・拠点」と設定して、島根県内の各地での活動について書いています。
今回は、これまでの振り返りとして、県内の起業や起業支援策の中から、スタートアップの考え方による起業取組である「経洗塾」を取り上げてみます。
1 経洗塾・オロチアクセラプログラム
2019年夏、中国地方を中心にスタートアップ創出の実績のある経洗塾(井上智央さん)を島根県庁・しまね産業振興財団が招待し、島根県下でのスタートアップに対するリテラシーを高めるために、まず「スタートアップとは何か?」といった初歩から説明会が開催されました。
その説明会で興味を持った経営者、起業家が集まり、「島根経洗塾第1期」がスタートしました。
その後、経洗塾は第2期から第4期まで松江商工会議所により開催され、その後、オロチアクセラレーションプログラムと名前を変え、さらに2回開催されました。
主な講師は井上智央さんで、2019年から2023年3月までの計6回、各回5から8名程度、合計40名程度の参加がありました。
経洗塾の内容は、講義形式でのスタートアップの考え方による事業計画の作成方法の解説に加え、参加者の事業アイデアの具現化に向けて、井上さんの壁打ちによる個人指導が繰り返し行われました。期間は6ヵ月で、早い人は事業計画を完成させ、発表まで行いました。
参加者としては企業経営者や企業の中の人として活躍している人たちが多く、彼らが新事業創出・新事業展開を考えるタイミングで参加されるパターンが見られ、このほかに、個人で新しい何かをやってみたい人が加わる、という感じで、すでに多方面で活躍する「多士済々」という雰囲気がありました。
そのようなメンバーであっても、というか、そういう感度ある人たちだったからなのか、井上さんの話はとても新鮮で、印象に強く残るものに感じられたと思います。
○2022年秋~冬のオロチアクセラレーションプログラム第2期チラシ
○経洗塾の運営に携われた松江商工会議所の吉廣之晴さん(当時)
経洗塾やオロチ会に尽力された中心人物。インタビューお読みください。
○経洗塾をきっかけに資金調達をされた(株)バイタルリードの森山昌幸社長
2 オロチ会(島根の起業コミュニティの一つ)
経洗塾・オロチアクセラレーションプログラムに参加した人たちは、吉廣さんたちの声掛けで、ゆるやかな起業コミュニティ「オロチ会」を形成しました。経洗塾などにアクセラレーター(支援者・伴走者)として参加したり、ピッチ発表会を開催したり、自然発生的な交流が行われました。
例えば、2023年7月、オロチ会の集まり、夏の陣が開催されました。
2023年3月、島根県と鳥取県の新たなビジネス創出に取り組む起業家・経営者が登壇し、団体戦のピッチ(ビジネスプレゼン)イベントが行われました。オロチ会関係者が島根県チームの主要メンバーをつとめました。
このイベントの詳しい報告はこちらからご覧いただけます。
3 現在に続く取組、、、
2024年秋、経洗塾の要素が色濃く引き継がれたセミナーが松江で開催されています。
しまね産業振興財団により、県内企業向けの人材育成支援セミナーとして、スタートアップ企業が行う事業の進め方から「事業創出に必要な考え方や手法」を学ぶセミナーが企画されました。
「スタートアップから学ぶ新規事業創出のための人材育成」と題して全4回のセミナー・講座が開催されています。吉廣さんなど経洗塾関係者がこの企画に携わっています(経洗塾の思想が島根で自走していると言えるかも。)
第1回 9月13日(金)事例に学ぶ事業構築のロジックとポイント
第2回 10月17日(木) 顧客行動を分析するカスタマージャーニーマップ
第3回 11~12月頃 (プロダクト開発等について)
第4回 12~1月頃 (新規事業の資金調達について)
4 最期に(感想)
経洗塾に関わってきた人たちの中には、地域の社会・経済において中心的な役割を担う人たちが多く含まれています。彼らが資金調達の手法としてのエクイティを知り、そのチャンスを得たことに加え、スタートアップの考え方を体得したことにより、より幅広い視点での企業活動がなされ、地域経済の活性化につながると思います。
【参考】これまでの関連記事
1 島根県における起業のコミュニティの紹介
2 MIX(松江起業エコシステム)の紹介
3 雲南市の地域課題解決型の起業支援のご紹介