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【Audible本の紹介36】9割の社会問題はビジネスで解決できる(田口一成)

今回紹介する本は、2021年に発行された、社会課題解決(ソーシャル)起業の本です。
この分野の第一人者の田口さんが、自らの想いと経験してきたことをベースに書いた内容で、壮大な理念が示されつつ、かなり実践的です(中小企業的というか)。
田口さんは、地方視点が強く、島根県で社会課題解決をビジネスとして取り組んでいるコミュニティナースカンパニーさんとも近い関係のようです。
本書はAudibleで聴くことができるので、聴く読書にお勧めです。



「社会問題を解決するビジネス」を次々と生み出す仕組み


 著者が代表を務めるボーダーレスグループは、「ソーシャルビジネスで世界を変える」ことを目指し、社会起業家が集う会社として2007年3月設立。
 貧困・環境・教育・地方の過疎化など、様々な社会問題を解決する50以上の事業世界13カ国で展開。2023年度の売上高は86億円を超える。社会起業家を次々と生み出すビジネスモデルを確立している(サイトより)


 本書によると、この大きな特徴は「自分はこんな社会問題を解決したい」という志を持った起業家が集まる「社会起業家のプラットフォーム」であること。「50の事業」は各々が独立した会社で、「50人の社長」がいる。
 各社が独立経営を行いながらも、資金やノウハウをお互いに提供し合う、相互扶助の仕組み「恩送り経営」(赤字で始まった各事業が、黒字転換したら、その事業の社長は、黒字部分の一部を、グループ内の新規事業の立ち上げや赤字事業の支援のために拠出する仕組み)がもう一つの特徴とのこと。


"仕組み"がどうやって生まれたのか。

田口さん本人が、アパートが借りれず困っている外国人を助けたい、や、バングラデシュの農村の貧困をなくしたい、という思いから、20代のころ、思いが先立つ形で起業、つまづきつつ数年かけて軌道に乗せた経験をしました。このような社会課題をもっと解決したくても、1年で数事業をはじめることが精いっぱいだから、同じ思いの人と一緒になって沢山の事業を取り組む仕組みをつくりたい、と考えました。そして、何人かの仲間と始めたら、ここでも、グループ内の社長権限の付与に失敗したり、事業の撤退時を読み間違えたり、いろいろな経験をして、現在の「仕組み」が出来上がったことが語られています。


(感想)
スタートアップ的な外部の投資を受け入れないことを方針にしているとか、社内の意思決定の仕方とか(特に立ち上げ期)、中小企業的な発想だと感じました。地方での活動にも参考になると思います。

以下、2章分の情報は箇条書きにします。

「社会問題を解決するビジネス」のつくり方

○大原則「ビジネスモデルの前に、まずソーシャルコンセプト」
 →ソーシャルコンセプトを考える
 ・社会問題の「現状」「理想」「対策」を徹底的に考える
 ・当事者ヒアリングのコツは「行動」を聞くこと
○制約条件を整理する
○ビジネスモデルを考える
 ・ソーシャルインパクトを設定する

ビジネス立ち上げ後の「成功の秘訣」

○事業の着手・実施スケジュール
 誕生期(3ヶ月)→よちよち期(6ヶ月)→進路確定期(6カ月)→成長期
○「勝ちシナリオ」が見つかるまでは、仮説・検証をひたすら繰り返す
○成長期に入るまでは、社長一人でやりきり、社員を雇ってはいけない
○事業が成功するかどうかは、続けるかどうかにかかっている

田口さんの初期の取組みは、思いが先行し、試行錯誤の連続だったようですが、仲間が増え、仕組みができ、現在は、しっかりした会社として、特徴ある事業が進めらているようです。

最期に、株式会社ボーダレス・ジャパンのサイトを紹介します。とても、きれいで印象的なサイトです。




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