![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/55414780/rectangle_large_type_2_267112c19d1edaeea05e3ab6c55e3557.png?width=1200)
ローコストPR
アイディアで軽やかに課題解決!
全PRパーソンが目指す姿ですよね。
今日は最近目にした事例をもとに、
「ローコストPR」について書いてみたいと思います。
ローコストPRとは?
・大きな予算を投じずに大きな反響を得るPR手法
・広報/PRに求められる究極のミッション
まずはこんな感じで言葉を定義してみました。
「ローコストPR」5つの型
社会トレンドやインターネットミームに寄り添ったり。
はたまた一休さんのようなとんちを利かせたり…
日々、様々なPR事例に触れる中で、いくつかの型が見えてきました。
せっかくなのでまとめてみます。
①合気道型
②とんち型
③既存資産活用型
④ストーリー型
⑤インサイト引出し型
まずは簡単に事例をご紹介します。
①合気道型
緊急事態宣言解除が発表された直後のこと。
焼き肉ライクやホテルニューオータニが、相次いで都の要請に沿ったプランを発表しました。
緊急開催❗️
— 焼肉ライク【公式】焼肉ファストフード (@like_yakiniku) June 20, 2021
21日(月)11時から
60分550円飲み放題開催!#焼肉ライク で堂々とひとりで
お酒と焼肉を楽しみましょう!
※一部店舗にてhttps://t.co/IwGW4CNAZx pic.twitter.com/Gte6MMvmPx
これが「90分」「2人」というキーワードを報じたいメディアにとっては格好の記事ネタに。
焼肉ライクのキャンペーンは、7つものTV番組で報じられました。
都内5店舗限定での実施、告知はプレスリリースやtwitterを中心としていたので金銭的なコストはさほどかかっていないのではないでしょうか。
こうしたメディアニーズを先回りしたメディアリレーションズを、「合気道型」と定義してみます。
②とんち型
物は言いよう。ピンチをチャンスに。そうした逆転の発想が時として課題を解決します。
実は一番甘い「尻腐れ」というトマトは見た目がこんなですのでほとんど捨てられてきましたが「闇落ち」という名前にしたら人気商品になりました。直売所で絶賛発売中。 pic.twitter.com/eEGiWzKPWl
— フルーツトマトの曽我農園 (@pasmal0220) May 22, 2021
新潟のトマト農園、曽我農園さんのtwitterが話題になりました。
題して「闇落ちとまと」。見た目の悪さを「甘みを増す栽培方法をとる故の弊害」と補足しました。
ジャックランタン風のビジュアルが親しみやすく。なるほど甘くておいしいのであれば買ってみてもよいかも・・と手を伸ばしたくなりますよね。
更なる品種改良で見た目の悪さを克服するより、こうした視点の変換を促す方がずっとコストも節約できる上、むしろ製品の良さを効果的に伝えています。
③既存資産活用型
「当たり前」は誰かの価値になるのかも。
今月セガが150ページに渡る社内勉強会資料を公開。
twitterで大きな反響を得ました。
サインコサインタンジェント、虚数i…いつ使うんだと思ったあなた。実は数学は、ゲーム業界を根から支える重要な役割を担っているんです。
— セガ公式アカウント🦔 (@SEGA_OFFICIAL) June 15, 2021
今日は、セガ社内勉強会用の数学資料150頁超(!)を無料公開。#セガ技術ブログ クォータニオンとは?基礎線形代数講座 #segatechblog https://t.co/OEHDwlJ9Vz pic.twitter.com/eBUG2YJwH1
自社の社員にとっての「当たり前」も、外から見ると貴重な資産に。
そんな「当たり前」にこそPRバリューが眠っているかもしれません。
「今まで蓄積してきた知的資産価値」は計り知れませんが、直接的なコストはかかっていないように思えます。これが少しでもリクルーティングに寄与すれば、ROIはかなり高いと言えるのではないでしょうか。
④ストーリー型
個人的に一番好きなのがこのタイプです。血の通ったコミュニケーションにより企業が少し身近な存在に。
2021年の父の日に合わせて、AIクレジットの開発者が、地元駅にあるポスターを掲示しました。
父の日にあわせて手紙を故郷の駅に出したけど、お父さん読んでくれるかな? pic.twitter.com/hL8gXpwtRn
— 足澤憲(たるさわけん)/セコロジスト/AI-Credit (@tarusawa_ken) June 19, 2021
「奨学金を使いこんでくれてありがとう」
一瞬ドキッとするキャッチが目をひきますが、中身を読み進めていくと、自身がお金に苦労してきたこと、だからこそお金の使い方に工夫をしてきたこと、それがきっかけでポイント還元アプリを開発できたこと、今は亡き父親に感謝していること…が綴られています。
他に類似アプリがあったとしても、こうした想いだけでも十分それを選ぶ理由になるのではないでしょうか。
使用したメディア費はおそらく、岩手県内の駅貼り枠2か所分。
SNS拡散により稼いだリーチ数を鑑みると、これもかなり費用対効果の高いコミュニケーションだったのではないでしょうか。
⑤議論誘発型
「よく言ってくれた!」「いいぞ!もっとやれ!!」
SNSの普及により、それまで見えなかった個のペインや、それに対する声がよりクリアに見えるようになってきました。そうした時代の移り変わりを捉えて、世論を形成。 自社プロダクトの需要喚起につなげる手法は2018年にパンテーンが #HairWeGo を展開して以降、急速に広がりました。
#結婚式に自由を #所属のない入社式 #日本の経理をもっと自由に …
そんな中で「Oisix」のケースは大きな反響を呼びました。
画像出典:http://m.a-dot.co.jp/marketing/oisix0530/
アニメ『クレヨンしんちゃん』とコラボした交通広告を、作品の舞台である埼玉県・春日部駅に掲出。「拝啓、野原みさえ様」から始まるコピーには、母が過ごす日常の大変さ、そこに存在する改善の余地、そしてオイシックスがそこにどう関わっていくのかが綴られています。
これらが日本中の母親の共感を獲得し、行動を生み出しました。
春日部駅の媒体費はさておき、このケースは少しコンテンツ使用料がかかっているのかも…と思いつつ、ブランドエンゲージメントやLTVという、中長期的な価値も鑑みるとROIは高かったのではないでしょうか。
実装のポイント
いかがでしたでしょうか。5つの型のいずれかに、皆さまのプロダクトに応用できるポイントがあれば良いなと思います。
どの型にも共通して言える、成功為のポイントがありそうなので最後に挙げさせていただきます。
・スピード感のある意思決定
・粘り強い調整力
・PR資産を発掘する上での日頃の社内ネットワーク
・多面的な視点で施策を検証するチェック機能
・プロダクトに対する想い
Low cost but , strong passion.
成果を渇望する先には、課題を乗り越える答えがある。
記事を書きながらひしひしと感じました。