見出し画像

パタゴニア①

日本で新型コロナウイルスが大きなニュースになっていたころ、私はアルゼンチンにいた。7月に日本に帰国するので、それまでに行きたかったところに行かなくてはと思ったからだ。
 
アルゼンチンと言えば、南米のパリと言われるブエノスアイレスや世界の果てウシュアイア、雄大な自然を感じるパタゴニアなど有名な観光地がたくさんある。今回の旅は、一人ではなく4人で行くことになった。ボリビアに住んでいる3人と私だ。そのため、いつも通り現地集合。他の三人は一緒に来るかと思いきや、アルゼンチンに来る前にそれぞれ違う国に行っているらしく、全員現地集合となった。さすがだ。
 
行きたいところがたくさんありすぎるので、4人それぞれが一番行きたいところを決めて、その場所のアテンドをすることにした。
 
そこで私が選んだのが、フィッツロイだ。登山ブランド「パタゴニア」のシンボルとして知っている人が多いと思う。パタゴニアの商品は、高価でなかなか手を出すことは出来ないが、いつか見てみたいと夢見ていた。
 
フィッツロイの朝焼けを見る。これが私の立てた計画のメインだ。
 
フィッツロイの朝焼けを見るためには、夜明けに間に合うように夜歩き出してむかうパターンと近くにあるテント場に一泊してむかうパターンがある。前に行った友人が、夜に歩き湿原に落ちて携帯をダメにしたという話を聞いていたので、テント泊をすることにした。
麓の村エル・チャルテンに登山用品をレンタルできるお店が3店あるので、そこで必要な装備を借りる計画だ。
 
ーーーーーーー
 
フィッツロイへ出発する前日。
ロス・グラシアレスで氷河を楽しんで、アルゼンチンらしい肉を食べて、フィッツロイのための買出しに出かけた。その頃は、中南米でも初の罹患者がトップニュースになっていた。買出しのために、街を歩いていると「中国に帰れ」とか「コロナを持ってくるな」とか言われた。しかし、友達は「うつされたいのか」と言い返した。これは危険なので絶対やめてほしい。
 
フィッツロイへ出発する日。
滞在先のエル・カラファテからエル・チャルテンまではバス移動だ。朝早く宿を出て、バス停へ向かっていた。停留所は、セントロから少し離れているが、歩けない距離では無いので朝の散歩がてら歩くことにした。
 
道に迷った。
 
googleマップを頼りに移動していたが、迷った。
他の三人からは「しっかりしろよww」とやじられながら必死に道を探し、やっとランドマークを見つけた。がバスの出発まで時間がない。南米のバスが時間通りに出発するとは思えないが、もし間に合わなければ今回の計画が最初からつまずくことになる。
 
走ることにした。荷物を仲間に預けて走った。最近、走ってなかったけれど意外と走れることに驚いた。パタゴニアの朝に自然を感じながら走るのは幸せだった。バスの時間が無ければだけど。
何とか出発5分前について、運転手にあと三人来るから待ってと頼み。仲間を待った。結局、出発したのは仲間が着いてから更に15分後、さすが南米時間だ。何とか無事に出発して、パタゴニアの壮大な山々とどこまでも続く地平線を見ながらエル・チャルテンへ向かった。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集