復活!「ブラタモリ」と「三十石夢の通路」/私の落語がたり
NHKの人気番組「ブラタモリ」が久々に三夜連続SPとして復活するとのことで、嬉しい限りです。
タモさんは日本の歴史や地理、さらにはプレートテクトニクスや地質学をはじめとする地学全般に明るく、その知識と推察力は番組に出演する専門家も驚くほどです。
高校時代にワンダーフォーゲル部で山に登りながら、地学の学習にいそしんだ身としては「最高の番組」ともいえるコンテンツ。
三夜連続の予告を見る限りではなんと!
落語にまつわるある場所にたどり着くようなのです。
<追記>
放送では東海道五十七次の宿をたどっていたので、船旅の詳細な話はありませんでしたね💦
ただ、街道が淀川と並走していたこと、広重が描いた枚方の「くらわんか船」などは当時の風情を味わうことができるか楽しい情報でした!
番組予告の中では京都・伏見から川を下って大阪に、との記述が見受けられます。
む、これは!
私の敬愛する桂米朝師匠も得意とされた上方落語「三十石 夢の通い路」のお話にたどり着くのではないか!?
「三十石」とは三十石の米を積んで京都と大阪を往来したという「三十石船」を題材にした噺。
大阪から伊勢参りを経てまた大阪に帰着するまでをいくつかの噺に分けて語る「東の旅」の最終章と位置付けられるもの。
その到達点が淀川の天満橋・天神橋の間の八軒家とよばれる場所です。
実は去年の9月にこの場所を訪ねる機会がありました。上方落語好きの私としては一度いってみたかった場所です。
付近には「三十石」の由来を物語る石碑があります。しばし、川の流れに悠久の時への思いを馳せました。
そして、この日の探訪にはもうひとつ大きな目的が!
この八軒家跡からほど近い上方落語の定席寄席「天満天神繁盛亭」の訪問です!
私が訪ねたこの日の出し物はこちら!
落語家でありながら「ヨーデル食べ放題」というヒット曲の歌手としても知られる桂雀三郎師匠とそのご子息・雀太師匠の親子会。
その演目の中にはなんと「三十石」が入っているではありませんか。
落語「三十石」は、京都から大阪へと下る旅人たちの様子や唄を唄いながら掉さす船頭たちの風情が情感たっぷりに描かれ、その当時に生きた人たちの姿がつかのま蘇るような味わい深い噺。
「や、うんとしょう」と船頭が棹を突き出し船が岸を離れるタイミングで奏でられる鳴り物が上方落語の深奥を感じさせます。
何人かの方の「三十石」を聞いてみたところ、演者それぞれに微妙な違いがみられるのも面白いところです。
オチ噺としての面白さを強めに出すか。旅の風情をゆったり語るか。船頭のやりとりで労働者の日常を描き出すか。
すべてにおいてバランスよく、総合芸術の噺として語った米朝師匠の口演は絶品ですが、雀三郎師匠の噺は「地域の文化伝承」の手ざわりが色濃いように思われて感慨深かったです。
さて、ブラタモリ。
タモさんはこの「三十石」にどんな彩りを添えてくれるのでしょうか。
いまから楽しみです!
<追記>
番組がたどり着いたのは「高麗橋」とのことで少し検討違いでしたが、天満天神はそのすぐそば!惜しかったw