「だるま寄席」で一花さんを見るの巻/私の落語がたり
11月18日(土)、札幌の「だるま寄席」に足を運んでみました。「寄席」と名前は付いているものの、東京でいうところの寄席とは大いに設えが違います。
タクシー会社の古い車庫の一部を改装して作られたホール。
そこにさらに急ごしらえの高座をおいて、照明と音声をちょっといじった程度。いうなれば落語好きの人たちの内輪の会に近いような空気感です。
もともとは、札幌の中心部・狸小路の周辺に常設の寄席を構えようという動きがあったのですが、コロナのためにいったん頓挫。
それが、エリアを変えて蘇ったのがその名も「だるま寄席」なのです。
その名の由来はタクシー会社の目印として置かれた巨大なダルマの像。
どローカルな佇まいが郷愁を誘う、味わい深い場所でした。
第七回という今回の出演者はいまをときめく昇り龍・春風亭一花さんをはじめ、確かな技が光る橘家文吾さん、漫才コンビのすずらん、大道芸パフォーマー・テテさんの4組。私のお目当てはもちろん、一花さんです。
コンパクトなスペースの中に詰め掛けた4、50人ほどの観客の前に、開口一番で現れた一花さんが、
「落語が初めてだという方、どのくらいいらっしゃいますか?」
と声をかけると、手を挙げたのは1人だけ。
おいおい、なんだ?熱いじゃないか!?
札幌にこんなホットスポットがあったとは・・・!?
一花さんといえば11月11日の「NHK新人落語大賞」のファイナリスト5人の中で生放送の緊張感が半端ない中、トップバッターの大役を果たされました。そして私にとっては、推しの「林家あんこ」さんの盟友でもある方。
開口一番は「子ほめ」でご様子伺い。
文吾さんはユーモラスな手の動きが印象に残る「悋気の火の玉」と「新聞記事」の2本を演じられました。
「新聞記事」は上方では「阿弥陀が池」として演じられてますよね。米朝師匠の「阿弥陀が池」が残りすぎてて、私はマクラから本ネタに入るところで(阿弥陀が池やん)と思ってしまいました。
ご当地のお笑い芸人、すずらんの漫才はベテランのテンポで気持ちよく聞けました。
大道芸パフォーマー・テテさんは中国の伝統芸能「変面」を披露。お面が変わる瞬間がぜんぜんわかりませんでした。間近で見れてびっくり。
さて、本題。
大トリの一花さんは「予定よりちょっとお時間いただきます」と冒頭で嬉しい言葉。
かけたネタは「井戸の茶碗(千代田卜斎の妻登場バージョン)」。
娘と二人暮らしの浪人者・千代田卜斎が金に困って仏像を売り払う、というのがもともとの設定だが、
今回一花さんが演じたのは、千代田卜斎が死去したのちにその妻が女手一つで娘を育て上げ、金に困って夫の形見の仏像を売ったというバージョン。
実はこの公演のあとに「交流会」なるものがあったのでそれに参加して、一花さんとお話しする機会がありました。
ご本人曰く
「落語に詳しい方がたくさんいる感じだったので、あえてこの話を選びました」とのこと。
「娘を嫁がせるときに『一通りのことは仕込んでいる』というセリフに説得力が出ていいですね」とご本人に直接言えたのはよかった!
あ、あと
・『おきゃんでぃーず』の解散公演に行ったこと。
・私があんこさんのファンであること。
…もお話しすることができました。
おきゃんでぃーず話はそこそこ盛り上がり、あんこさんの話では「内弟子時代にあんこ姐さんとよく近所のガストで愚痴ったりしてましたよー」というぶっちゃけトークがきけました。
こんな話ができるなら、「ローカル寄席」、めっちゃいいじゃん!
そんなわけで次回、12月16日の林家しん平師匠の来訪をいまからめっちゃ楽しみにしているわたしのなのでした!!