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「いぬいソロ小隊、かく戦えり」①/#文学フリマ札幌9

9月22日(日)に開催された「文学フリマ札幌9」。
札幌在住の私は今回、初の「ブース出店」に挑みました!

「ソロ参戦」は「クリエイターの矜持」

これまで東京・大阪・札幌での文学フリマに、「来場者」として幾度か参加してきました。買う側の楽しみ方については私なりに、一定の知見を深めることができたように思います。
ただ、一方で気になることが出てきました。

ここまで来たら「出店する側の心意気」に向き合うべきなのではないか。
ぜひ知っておきたい。それが「出店者へのリスペクト」ではないかと考えるようになりました。

周囲の友人・お知り合いにはプロ並みのスキルを持っている方もいる。
だが、初めからすがってしまうと、それは「私のブース」ではなくなってしまうのではないか。
私だってクリエイターの端くれ。
戦ってやろうじゃないか。
知識がないこと。経験がないこと。時間がないこと。
これらを言い訳にするのはクリエイターの名折れ。

そんな独りよがりの思いから、このソロプロジェクトはスタートしました。

当日までの準備は……

とはいえ、これまで見聞きしてきたものはあり、まったくのゼロからのスタートではありません。事務的な手続きは何の変哲もありません。

1、文フリ事務局への出店申し込み

申込者多数の場合は抽選となるが、私は申込期間が始まってすぐに申し込んだため、先行特典で早々に出店が確定しました。申し込みの時点で札幌在住のnoterさん来訪の可能性を考え「2ブース」で申請。
結果的にはこれは正解でした。でも、別のジレンマを生じることにもなりました。

2、販売物はどうするか

申し込みの時点では、具体的な「売り物」のイメージはナシ。
ただ、「朗読」に関するものを売りたいという思いは強くありました。
私のストロングポイントは「朗読Youtuber」であることと考えていたからです。
結果的にはこれは間違いなのですが、その顛末はあとで書きます。

ともあれ販売できる音声コンテンツとして「朗読CD」に絞った私は、著作権がクリアされている「青空文庫」所蔵作品の中から、エモーショナルな作品として山本周五郎「雨あがる」を選び、自宅で録音、編集、CDレーベルデザイン、印刷の工程をこなし、なんとか売り物を作り上げました。

こうした中、KaoRu IsjDhさんから「その名はカフカ1」の委託販売のご依頼、ウミネコ編集長からは「ウミネコ童話集(一)(二)」を文フリ当日の午後に限定5セット販売したい旨のご依頼を受けました。
ブースを2枠押さえた手前、売りものがないのは寂しかったのでありがたいお申し出と、喜んでお引き受けしました。

開催まで2か月を切った7月下旬。
「ラプソディ・イン・ブルー」を創作大賞用に書き上げましたが、妻が面白いと言ってくれたのを機に、この作品を本の形にしたいと思うようになりました。
自分や妻の親にも読んでほしい。そのためには、紙の本であるほうがいい。
あわてて本にすることを決めた裏にはそんな事情もありました。

3、印刷会社に発注

本にする。
これについては誰かに相談しようかと思ったのですが「失敗する贅沢もある」と、自分で方法を探すことにしました。
ネットで印刷会社を探し、サイトのシミュレーターで本のサイズ、文字数から換算するページ数、印刷する数とを打ち込むと費用の概算が出てきます。
なるほど。
これをもとに、売価を決めればいいのか。
ここでさらなる問題が。
表紙のデザインについてです。
見よう見まねで作ったものは印刷会社から何度もNGが出て、けっこう心が折れそうになりました。
「助けてー!ドラえもーん!」と言いたくて仕方がありませんでしたが、「いい年のオッサンが自分のやりたいことくらい貫徹できなくてどうする」と最後までやり通すことを決意。
紆余曲折を経て、不格好なあの本が上がってきたわけなのです。

4、ディスプレイはどうするか

東京や大阪で見てきた美麗なディスプレイ。
プロ仕様の完成品をレベル100とするならば、あれらはみなレベル90以上のクオリティ。
しかも頒布物が盛りだくさんであることが前提で、レベル1からスタートする私にはハードルが高すぎる。
まずはレベル40~50の「販売物に瑕疵があるように見えない展示」を目指すことにしました。
ヒントになったのは「ポスターなどを掲げるポール」と大阪であやめしさんから教わった「イーゼルとホワイトボード」。
あと、妻からアドバイスを受けたクロス。これらのおかげでなんとかそれらしく見えるようになりました。

「ウミネコ童話集」追加後のブース

今回の自分のテーマは「stand-alone」。
自分の責任を、自分で背負う矜持。
成功も失敗も、私自身のもの。
ここからはじめるべきだ、と思いました。

さあ、当日どうだったのか。それはまた次回に!

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