「そんなあなたの国防システム」/妄想レビュー返答

『そんなあなたの国防システム』を読んで   甘利真里
著者はTUさん。
タツミユウだという人もいれば、辰田由衣だという人も、内田十緒子だという人もいて、正体はいまいちわからないのだが、そのかたが言うには、わが国の防衛は、とある組織が担っているらしい。
簡単に言ってしまえば超能力少年・少女を飼い殺して、常時国防を担わせているらしいのだ。
こどもたちはみなしごの中から選ばれるが、そんなに都合よく、超能力を持つこどもがみなみなしごなわけはないので、親はひそかに処分されたりとかもしているのだろう。
悲惨なことだ。
4才から22才まで、幅広い年齢層のこどもがいるらしい。
能力レベルも大きく個人差があること、感情的な要素も加味されるため、最適な人材がいないときは、次善の存在でまかなわれるため、能力レベルの安定した人材が必要なのだという。
ちなみに過去最高の能力者は七才女児だったそうだ(故人)。
そして出版元のリークによると、彼女に次ぐ能力者も女児で、年は十七くらい。
機関を逃走したまま、今も行方知れずらしい。ならいま防衛は、いったいどうなっているのだろう。誰に聞いたらいいのだろうか。


「そんなあなたの国防システム」

<序文>

国防。
「国家を防衛する」ということへの当事者意識が、国民から失われて久しい。「誰かが守ってくれている」「私が関わる必要はない」・・・。

そうした無関心が底流に蔓延る昨今、私はここに根拠のない安全神話の終了を宣言する。あなたの知らぬところで保たれていた秩序はすでに崩壊した。

水防の専門家によれば、緻密に計算され堅牢に構築された堤防が、たったひとつの石を引き抜いただけで全面決壊に至ることもあるという。
この国の国防はいままさに、その状況と同じ過程を経て崩れ去り、敵国の脅威がひたひたと押し寄せる時を待つばかりなのである。

本書は、この国の国防の本質が軍事力そのものではなく、特異な能力を持つ「異能者」の集団により底支えされていたこと、そしてたった一人の少女の失踪が、国防システムそのものを機能不全に陥れようとしていることを詳らかにするものである。

そして残念ながら、本書が刊行される時点では、私が提供する情報と分析はすでに過去のものと成り果てているであろうことにご留意いただきたい。

本書を著すにあたって私はTUという仮名を使用せざるを得ない状況となった。言わずもがな、事態はそれほど逼迫しているということをご理解いただきたい。

危険を顧みず本書の出版をご英断いただいた秋冬出版編集部には、深く敬意を表する。神のご加護のあらんことを。


<1> 異能者機関 設立の端緒
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※以下、本文判読不明につき省略





<後書き>
異能者集団について書籍に表すことはこれまでタブーとされてきた経緯がある。政府の情報操作により、彼らの存在は「都市伝説」としてカモフラージュされてきたからだ。しかしその裏では国家レベルでの「異能者潰し」闘争が行われてきたのだ。

本論で述べたように、この数年、我が国の防衛の要となっていたのは7歳の少女が生まれながらに持っていた「広範囲電子ジャミング能力」であった。

だがこの少女は某国の異能者の手によって亡きものとされた。そしてこの少女の姉でもある17歳の少女の失踪。彼女は自らの持つ「人間の脳への干渉能力(記憶操作含む)=推定」を使用して某国への打撃を試みているであろうことが予測される。

しかしこの間、我が国の防衛はまったくもって無防備と言わざるを得ない。
本書「そんなあなたの国防システム」は、秘密裏に構築を進めてきた「異能」での防衛を今後も維持するため、新たな能力者の覚醒を意図するものでもある。「あなた」の隠された能力を、どうか国防のために役立てていただきたい。「あなた」の決断によってしか、我が国は永らえることができないのだから。

20××年11月   TU記す。

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