「株式会社リストラ」/ショートショートnote杯
※この作品はフィクションであり、実在する「株式会社リストラ」様とは無関係です。
<本文ココから>
夜のファミレス。スーツ姿の男性2人が向かい合わせで座っている。
「では、志望動機を伺います」
メガネをかけた年配の男性が切り出すと、対面の中年男性が答える。
「はい。先月、私はリストラされました。実力を発揮できる場も与えられぬままに。こちらの会社で結果を出し、あの会社を見返してやりたいのです」
「…あなたは勘違いされているようだ」
「といいますと?」
「弊社の社名についてです。この名は当てつけや、意趣返しでつけた名前ではありません。弊社はあえて他社を離職された方のみを採用しています。社会のシステムに翻弄された方だけが気づく『自己再構築のチャンス』を生かせるか否か。あなたはどちらですか?」
「社会を恨むより自分を変えろ、ということですか。…目が覚めました。御社の一員に加えていただけませんか!」
「生まれ変わったあなたに期待します。ようこそ、弊社へ。『株式会社リストラ』へ」