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落語「北斎の娘」を育てる/わたしの落語がたり

この秋、私が楽しみにしている落語会があります。
こちらです!

「北斎」といえば、言わずと知れた「葛飾北斎」。
その娘がなんだというのか。なぜ落語になるのか。第二回、とはどういうことなのか。

二つ目の女性落語家・林家あんこさんは、ベテラン落語家の林家時蔵さんを父に持つ「二世落語家」。
縁あって「墨田親善大使」を務めたのを機に、創作落語として語れそうな地元の題材を探していたところ、葛飾北斎の娘・お栄の存在にぶつかったのです。
お栄が「応為(おうい)」という画号を持つ画家であったことを知った時、運命的なものを感じたあんこさんは、彼女の生涯を落語として描き出すことを思い立ちました。

試行錯誤の末に、三部作として形が整ったのが2023年の6月。
このときに『「北斎の娘」を聴く会』が催され、会場は大入り満員となりました。

しかし、彼女の研鑽はここから始まったといっても過言ではありません。
セリフを変え、設定を変え、登場人物を減らし、さらには、ショートバージョンやスピンオフの噺まで作るなど、「自らの看板」として掲げるに恥ずかしくないものを追求し続けています。

まだまだ道は半ば。
……であることは承知の上で「芸の道でもがく人が、己を磨くさまを見る」ことができるのが『第二回「北斎の娘」を聴く会』だといえるでしょう。

落語の楽しみ方、ということを近年つらつらと考えています。
脂ののった噺家さんの最高の芸を追いかけるのは楽しい。
でも、これから伸びていく人を見守っていくのも、それと同じくらい楽しい。
「新たな噺が育っていく」過程を見ることができるチャンスには、そうそう巡り合うことはできません。

落語に興味を持つ。
噺に興味を持つ。
落語家に興味を持つ。

ちょっとしたことがきっかけで、「落語を生で聴いてみたら、どうおもうのだろう」という気持ちが湧き上がってくるかもしれません。
もし、そんなことがあったとしたら、その瞬間が最大のチャンスです!



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