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熱狂の大阪!ぶらぶら参戦記④/#文学フリマ大阪12

探す。
なにかわからないものを、探す。
何に出会いたいのかしらぬまま、探す。

文学フリマの入り口であり、到達点。
それこそが「お宝さがし」なのではないかと思うのです。

この場合の「お宝」とは、金銭的な価値を指すものではありません。
自分自身にとっての、ささやかな喜び。
だれかとなにかを共有できる喜び。

そんな出会いが、文学フリマには転がっているのです。

天才か!?「逆・三題噺」ポストカード!

会場内をゆっくりと練り歩く。すると、なぜか引き寄せられる不思議なブースに出会います。

ん?
な、なんなん?三題噺って、あの三題噺だよな。
そして店主の前には謎の小箱。
「あの、これってどうするんですか」
「あ、あのお題を3つ引いてもらって、そのお題にあったストーリーが書かれたポストカードをお渡ししています」
う、なんかよくわからない。
「お題ひとつ100円ですか?」
「いえ、3つお題を選んで100円です」
「ほー、やってみます。はい、100円」
お金を受け取ると店主・いのりさんは小箱を差し出す。中には文字のかかれた小さなパネル。これを3つ引くのか。
とりだしたのは「石」「海」「スプーン」の3語。
「少々お待ちください」
そう言って彼女はポストカードの綴じられたファイルをペラペラとめくり始める。この時点でようやく仕組みがわかった。
彼女は言葉の組み合わせで派生するストーリーを先に書き上げていて、該当するポストカードを手渡しているのだ。
ありそうでない発想。発明だ!

「三題噺、読む側にもドキドキ感を味わってほしくて」と語るいのりさん。
むう、と唸ってしまいました。
素敵な発想に、敬意を表します!頭の体操になるなあーw

「…どうしました?」と聞いた『心配ブース』

まず、本の表紙をご覧いただこう。

お気づきだろうか。
まず表紙の下部に目を凝らしていただきたい。
発行者名とおもわれる、数理文学研究会なる文字列。
数理?文学?この時点でもう常軌を逸している。
そしておおかたの人が、タイトルの意味が理解できないであろう。
円城?塔?どこかの城郭についての研究だとでもいうのだろうか。

だが私は幸いにして「円城塔」が日本の作家の名前であることをかろうじて認識していた。
危険な気配に十分注意して、サンプル本を開く。

……驚きだ。

何を言っているのかまったくわからない。
そこで私は冒頭のセリフを口にした。

「……どうしました?」

著者と思しき若者は
「いやあ、円城塔さんが好きすぎまして……」
うむ、みなまで言うな。おおよそは察した。
「……がんばってください」
そういうと私はそっとサンプル本を戻し、ブースを後にした。
……のだが、30秒後に私はまた、若者の前に立っていた。
「おいくらでしたっけ」
円城塔さんは尊敬すべき札幌出身の作家。無碍にはできまい。
ずらりと並んだ円城塔研究書のうちの一冊を購入。現在に至る。
後書きを読むと著者の下村思游さんは司書であり、素粒子物理学の研究者であるという。
どうりで、9次元から来た男のようなことを言うわけである。
(一応、言っておきますが、洒落で書いてますからねw)

これぞ「文フリの本」!両目洞窟人間さん

はーい、次の本はもうグダグダ説明しません。ご覧ください。

あー、出会ってしまいました。こういう感じの本。
すかさずサンプル本を手に取ります。飛び込んでくる文字。

「人類未踏!!密林の奥地に人間になれる温泉が存在した!」

うわー、この時点でもう『買い』ですよね。
これは最初の1話目のタイトル。次の話のタイトルは

「ネコのまち子さん、フレンチクルーラーを食べる!」

うんうん。こういう本を買ってこその文学フリマ。
ちなみに両目洞窟人間さんの両目は洞窟ではありませんでしたよw
楽しい御本、ありがとうございます!

ふとチラシに目が留まることも……

会場内を歩いていて、とあるブースで差し出された一枚のチラシ。

ふむ、なるほど。下部にある「なんでハンバーガーなのか」とはなんのことか、とブースを見る。

「一冊いただきます」
購入して、読んでみました。
ブースにいた女性は著者のKEIKOさん。
「名前のないハンバーガー」については「はじめに」のところに書かれていて、それによると『ごく当たり前のようで、どこにもない(出会えていない)ハンバーガー』のことのよう。
その意味を考えながら、これからじっくりと読ませていただくつもりです。


つらつらと記してきた「文学フリマ大阪」探訪記、ここらでいったん幕とさせていただきます。みなさんの「文学フリマの歩き方」の参考になれば幸いです。

そうそう、ここで宣伝をば。

私、いぬいゆうたは「文学フリマ札幌9」に出店いたします。
自作の小説「ラプソディー・イン・ブルー」を販売するほか、山本周五郎の小説「雨あがる」(青空文庫版)の朗読CDの販売を予定しています。
また、数量は限られていますがKaoRu・IsjDhaさんの小説「その名はカフカ1」、ウミネコ制作委員会「ウミネコ童話集(一)・(ニ)」をお取り扱いします。
当日はウミネコ編集長がちらりと顔を出すとか出さないとか。
近隣在住の方はぜひ、顔を見に寄ってくださいな!

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