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生活から「推し活」が抜けた

2021年、コロナ禍。YouTubeのおすすめ欄に出てきたアイドルにハマった。
それからはファンクラブに入って、ライブや舞台を見に行って、グッズを集めて、CDが発売されるたびに全形態を予約した。熱しやすく冷めやすい性格の私が一年以上ひとつのことにハマるのは珍しかった。職場の人にも「推し活をしている人」として認知されるようになった。推しを通して友達もたくさんできた。コロナ禍を生きぬくパワーをくれた。たくさん笑顔にさせてもらった。

でも今年に入って、どこかのタイミングでボタンを掛け違えたまま放置してしまって、生活のルーティンから「推し活」の存在がどんどん薄くなった。仕事の忙しさや価値観の変化、引越しや人間関係の移り変わり、何が一番の理由だったかは分からないけど、いつの間にか新曲の発売日を把握していないことに気づいた。

戸惑ったし、すんなり受け入れることはできなかった。推しを通して仲良くなった友達にバレるのが怖かった。

気づいてから数ヶ月。
駅の構内で、白杖を使いながら歩く人を見かけた。私、邪魔になっていないかな。周りを見渡して、自分以外にも通行の妨げになっている人がいないか確認した。別の日は、電車の中で白状を持ちながらウロウロと何かを探しているような人がいた。「大丈夫ですか、お手伝いしましょうか」と声をかけた。これは推し活とはいえないだろうけど、やっぱり彼らが与えてくれた影響は身体の内側に残り続けるんだなと思った。
私の元推し(ともまだ言いたくない)たちは、2年間(かな?)、チャリティーラジオのパーソナリティを務めていた。『目の不自由な方が安心して街を歩けるように』というコンセプトで、彼らが真っ直ぐ伝えてくれた言葉や知識はわたしの中に残り続けている。行動に繋がっている。

瞬発的に身体が動く。あとからじわじわと思い出す。ふと見かけて元気になる。やっぱりかっこいいな、いけてるな、とふと思う。

知ってから一気に好きになって、何でも知りたくなって、たくさん見て聴いて一緒の空気を吸った。初めてこんな距離から彼らを感じている。これは推し活じゃなくて何なんだろう。あったかい気持ちではある。ずっと幸せでいてほしい。

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おなみ
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