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メシペーパー VOL.2 「B級グルメ」

11月1日に「メシペーパーVOL.2」を発行しました。今回のテーマはB級グルメ。ちょっとした思いや経緯などを記録しておこうと思います。こっそりと。

テーマを「B級グルメ」にした理由

メシペーパーにも書いたけれど、「B級グルメ」が分からなくなった、これに尽きます。

ふと、B級グルメっぽいもの食べたいな~~って思ったときに、B級グルメってなんだ?ってなったんです。

わたしの頭の中には、カレーライスとか、かつ丼とか、簡単な見た目で、ガツンとボリュームのある、口の中でもぐもぐするような食べ物が浮かんでいたけど、はたしてそれが正しいB級グルメなのか?と。

もしかしたら、寿司がB級グルメと思う人もいるかもしれないし、母親の作った〇〇がB級グルメだ!と言い張る人もいるかもしれない…そう思うと、B級の意味や歴史、世の中のB級グルメの見方などなど、調べてみる価値がありそうだと考えました。

「対談」をしてみたかった理由

今回のメシペーパーの下半分は、「対談」。わたしは、近頃、とてつもなく「対談」というものに憧れがありました。

ふたりだからこそ、肩の力がはいっていない、なんか、ラフで、自由で、ゆるい、あの空気感…

質問する方の感情が一切入らずに、ありのままを聞けるという優越感が対談にはきっとあるんだろうな~って思ってました。

最近、対談というものに触れる機会が多かったというのもあると思います。

例えば、「たのしい中央線」でのリリーフランキーと銀杏BOYS峯田の対談。(エロいことしかいってないけど好き)
例えば、「クイックジャパン」でのコレクターズの加藤ひさしと古市コータローの対談。(先輩が取材したやつを見せてもらった)
例えば、Creepy NutsのラジオでのR-指定とDJ松永の掛け合い(紙じゃないけど、パーソナリティーが1人のラジオより2人の方がゆるくていいよな〜って最近思う)

など。

自分に果たして対談なんてできるのか…と不安を抱えながらも、こんなテーマでこうこうお願いしたいんですがと提案したら、こころよく引き受けてくださったのが、いしーさんとまったんさんでした。

いしーさんとは、もう2年くらいの付き合いですかね。はじめて会ったのは、2018年の元旦。中野にある「松㐂」の餅つき大会に一緒に行ったのが最初かな。

いしーさんはネット上に顔を出してないから、勝手に「髭、ロン毛、眼鏡」=「いかつい」みたいなイメージがあって。

最初会うの怖かったなあ~~~、打ち解けたころに正直に言っちゃったもん。「イメージが違いすぎる!」って。笑

実際は、とってもほがらかで、かわいくて、優しいひと。「理系っぽく食を分析したいんだ」とか変なこというひと。笑


んで、まったんさんは、いしーさんがよく行ってた武蔵境の「えいよう」というお店で繋がったんだったなあ。

店員さんとしてしか会ったことなかったけど、今回はじめてゆっくり話させてもらって、かわいいポイントが多すぎた。何回も太ももつねったもの。

シュッポッポ牛乳の話をしている時に、透き通った声で、かわいい牛乳カードを「じゃぁ~~ん」って見せてくれた時。うん、私は、恋に落ちました。

そして、まったんさんの「まったん菓子」がとてもおいしいんだよね。…つまりは、お嫁にきてほしい。笑


そんなおふたりが協力してくれた、対談。
楽しかったなあ~。

想像どおりでした。対談って。
ゆるりとした空気に挟まれてぬくぬく聞いていたら時間が過ぎていたもんね。

(以下に対談残しておきます)

「B級グルメってなんですか?」

いしーさん(わたしが昔から崇拝している石井さん。普段は代々木八幡の「ヨヨナム」で働いている。)と、まったんさん(いしーさんから教えてもらった武蔵境の「えいよう」にて出会った山本さん。現在は、群馬に移住し畑仕事と毎日の料理に従事している。)のおふたりの対談です。対談テーマは「B級グルメってなんですか?」


ごはんのひと(以下ご):普段しゃべっている感じで話を聞けたらと思います〜今日はよろしくお願いします〜

いしー(以下い)・まったん(以下ま):よろしくお願いします〜

い:でも、そんなに喋ったことないよね。直接話すのは「えいよう」に行った時くらい。

ま:ね。いつもお客さんと店員としてしゃべってたからね(笑)

い:まあ、でも、いいじゃない。はじめて友達として話そう。(笑)

────B級グルメってなんだと思います?

ま:B級グルメとは何か…

い:なんだろう、でも「ご当地グルメ」感があるよね。

ま:そうだね。地域の食材を使って、手軽に簡単に食べれる料理。

い:うんうん、地域密着型なイメージだね。

ま:その地域の特色の出たごはん?

い:庶民の味というか、安いイメージがする。安くて、おいしいみたいなニュアンス。

ま:ワンコインで買えて、手軽で。

い:でも、なんでB級なんだろうね。

ま:そもそもね(笑)

い:じゃあA級って何?って思っちゃうけど(笑)

ま:A級グルメって言い方はしないよね。

い:まあやっぱ、Aに対するBだから、ちょっと高めな…Aが高級レストランみたいなイメージだとすると、それに対してのBなのかな。「グルメ」=「おいしいもの」って意味があるから、安くておいしいもの?

ま:うん、安くておいしいよね。

い:安い、うまい!

ま:早い!すぐ作れる!

い:でも、トラディショナルというか、歴史を感じるものなのかなとも思う。安くて早いものだったらファストフードでもたくさんあるけど、でもそれはB級グルメではないから。歴史と伝統があるもの?

ま:わたし、考えていくうちに「郷土料理」っていうのも大きなくくりとしてあるのかなって。郷土食とB級ってイコールではないと思うんだけど、そこらへんの共通点はありそう。

い:うんうん。あと、B級グルメは内から外へ発信しているイメージもあるなあ。その土地からその土地の外の人に向けて発信しているというか。郷土食はその内側だよね。

ま:たしかに。

い:ものは一緒なんだろうけど、外に向いてるのがB級グルメっていう言葉なのかも。だから、外の人が作った言葉だと思う。例えば、「あかし焼き」とか?あかしの人が発信したわけじゃなくて、東京の人が定義して広まったのかなと思うし。

ま:そういえば、B級グルメって言葉自体は、30年くらい前?からあるのかな。

い:わたしたちが生まれる前からある言葉らしいね。ちょっと調べたんだけど、もともとはB級映画からきてるんだって、B級って。予算も少なくて、短期間で撮るっていうのがB級映画だと思うんだけど、それのグルメ版。でもどことなく味のあるというか。

ま:味のある!わかる!

────おふたりの一押しの「B級グルメ」ってあります?

い:盛岡に行った時に食べた「福田パン」かな。コッペパンの中にジャムとかとんかつとかいろんな味が入っているんだけど、それは、地元食というか。地域に愛されてて、食べた時にB級グルメだなあ…って思った。

ま:ちなみに何食べたんですか?

い:ピーナッツバターとずんだ。ハーフアンドハーフみたいなのができるんだよね。おいしかったすごい。まったんはあるの?

ま:群馬に住んでることもあってこれは言っておきたいと思ったのは、「焼きまんじゅう」かな。ざっくり言うと、中身の入っていないおまんじゅうに、お砂糖と味噌とみりんかな?の甘しょっぱいタレを塗って焼かれたものの。

い:五平餅みたいな?

ま:そうそう、おだんごみたいに串に刺さってるんだけど。

い:絶対おいしいじゃん(笑)他にある?

ま:その土地に行って食べてはないんだけど、長崎の「トルコライス」!ちゃんぽんファジさんっていう三鷹台にある、長崎出身の方がやっているところで食べて…

い:あ〜!おいいよね。ちなみに佐賀には「シシリアンライス」ってのもあるよね。あ、でもまったんの中のB級グルメって「シュッポッポ牛乳」だと思ってた(笑)

ま:あ〜たしかに(笑)じゃあ、わたしの中の2位にしておく!長野県のTSURUYAっていう最高なスーパーで取り扱っている牛乳なんだけど、牛乳臭さが一切なくてさっぱり飲める。

い:あ!この間、京都に行った時にね、「たぬきうどん」を食べたんですよ。関東っていうと揚げ玉の入っているうどんのことをいうと思うんだけど、京都はちょっと違くて。千切りのおあげが入ってて、そこにネギ、あんかけがかかってるんだよね。それを食べた時もB級だなあって思ったなぁ。麺ものだと、宇都宮のやきそば屋「あんどう」。具がキャベツしかないゴムゴムした麺のやきそばが食べられるんだけど、250円くらいだったからおやつみたいな感覚だった。地元のおじいちゃんもいるし、下校してる高校生も食べるし。

ま:子供も食べられるとB級っぽいね!あと、わたしはね。心の味というか、小さいころから刷り込まれている感じで、正式名称は「上州カツ丼」って言うんだけど、ちいさいヒレカツをごはんの上にのせた卵で閉じてないカツ丼はB級グルメだな。たどっていくと、新潟とか富山が発祥なんだけど、群馬にもあって、ソウルフードというか。

い:あッ!ソウルフードっていうのはB級に近いかもね。

────今あげてもらった食べ物たちって、なんでB級って思うんですかね?その根本の部分が気になってて…

い:あぁ〜

ま:その場所に行かないと食べられないから?かな。

い:なおかつ、庶民感を感じられるものなのかも。さっき話した「福田パン」もそうだけど、朝7時から老若男女買いにくるし、日常に溶け込んでいるちょっとおいしいもの、みたいな。

ま:わたしも、日常味があるものだからかなって思う。

い:うん。なんかわたしね、いろんなとこに旅行によく行くのが好きなんですけど、旅行先でたくさん食べるんですよ。(笑)

ま:ふふ(笑)うん。

い:すごい食べるのわたし(笑)そう、でもなんか、食べ物屋さんを攻略したいわけじゃなくて、食べ物を通じてその土地の人たちがそう生きているんだろうとか、どう思っているんだろうっていうのを、おいしく体験したいからいろんなものを食べるんだよね。だから、庶民ぽいお店に行っておいしい!って思う時に、その土地の人になれる気がして。そういう気持ちに、B級を感じるというか。だから、土地を感じるみたいなのは感覚が近いかも。

ま:それでいうとわたしも、ごはんの味だけじゃなくて、土地の雰囲気とか、お客さんの感じとかが近いかな。

い:味のある味というか、歴史を感じる味…雰囲気のあるものにB級らしさを感じるかもね。

ま:それは大きいね。そこに行かないと感じられない空気感とか。

い:「旅をすることは遠くに旅に行くことだ」っていう、先輩から教えてもらった言葉が心に残っていて。その言葉に巡り合ってから、旅行先に食べに行く時もその土地に生まれた気分でというか、その土地に住んでいる気持ちで過ごせるようになったなぁ。

────わたし的にこれはB級グルメなのか?と思う食べ物がいろいろあって、聞いてもいいですか?まず、とんかつってB級ですかね?

い:名古屋の味噌カツはB級だよね。とんかつだけだとB級っぽくない気がするけど。

ま:とんかつって、丼になった途端にB級ぽさ増すよね。

い:とんかつだと定義が広いから、派生にB級らしさがあるよね。正解でもあって不正解でもある。

────寿司はどうですか?

い:今は、寿司って高いイメージだもんね。B級ではないのかな。京都行った時に「サバ寿司」食べたけどいい値段するからな。

ま:そういう寿司は、郷土食の方がしっくりくるね〜

────ビール(飲み物)はどうでしょう?

い:飲み物だとさっきの「シュッポッポ牛乳」はB級だからなあ〜

ま:栃木の「レモン牛乳」もB級だなあ。

い:でも、ビールはどちらかというと嗜好品だよね。

ま:ご当地ビールは?

い:やっぱりB級ではないな、コーヒーと一緒で。クオリティーとか産地個性にこだわったものってなると、高級ラインに感じてしまうよね。値段は確かに安いけど。

────いろいろ意見が出てきたと思うんですが、最後に。食べ方、料理方法、存在のあり方など、B級グルメの共通項ってあります?

ま:まず、調味料は目分量でぶぁっとな感じ。

い:(笑)その日によってぶれそう(笑)

ま:それも味だよね(笑)

い:食べ方は簡単なんじゃない?かじるとか吸うとか。難しいテーブルマナーとかはなくて、赤ちゃんからお年寄りまで食べられる、ワンハンド感は結構あるかも。

ま:一皿で完結っていうのは結構あるね。あと、なんなら割り箸で食べる!とかね。

い:うんうん、たしかに。ハレとケだったらハレじゃない存在というか、特別じゃない。庶民食。スペシャリティーでなくて、ローカルな食べ物というか、日常食。

ま:日常みのある・・・

い:うん、パッと見なんかB級ってネガティブ言葉かなあとは思うけど、実のところそうではないのかなって話してて思った。味のある庶民食・・・うん。「日常味のある庶民食」じゃないかな〜、まとめると。どうでしょう。

ま:賛成!(笑)

ご:わたしもなんか納得しました(笑)日常味のある庶民食。ちゃんと「味」でかかってるし、語呂がいい。

い:これから、B級グルメのことを「日常みのある庶民食」っていおう(笑)

ま:ふふ(笑)

来月のテーマは…

来月は、「肴」にする予定。(うん、予定。)
今回も紙を印刷してくれた方、ありがとうございました!

あと、今回もクワダくんの絵は天才でした。
福一という三軒茶屋の広島焼き、めちゃくちゃおいしいです。みんな食べて。

ではまた!

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