【ライブレポート】 小沢健二 ‘24ツアー Monochromatique モノクロマティック 5/8 NHKホール
私は高校生のときにオザケンのファンになった40代後半のおばさんです。
私がオザケンを知ったのは、当時片思いしていた男性が渋谷系の音楽を部室で流していたときです。「同じCDが欲しい」という単純な気持ちで買って聴いていたらいつの間にかファンになってた、という流れです。
フリッパーズ・ギター、小山田圭吾、ピチカート・ファイヴも並行してCDを買い揃えてよく聴いていた、青春時代を思い出す音楽です。
私の身近にはオザケンファンがいないので、ライブにはいつもひとりで行きます。同世代の人に「小沢健二が好き」と話しても、「誰?」という反応がほとんどなので、オザケンファンであることを自分から人に話すことはありません。ひとりで音楽に浸りたいタイプなので、ちょうど良いですし。
あと、私はそこまで熱烈なファンではないと思っています。今は特に情報過多の時代なので情報入手はほどほどに、ライブは都合が合えばエントリーするけど当選することに過度な期待はしません。そして、ライブではずっと夢心地のマインドフルネス状態なので、セットリストを記憶しておこうという意識もありません。オザケンが遠く離れて小さく見えていても、同じ空間にいて、声が聴けるだけで幸せなのです。
これらを踏まえて、この先の記事を読んでいただけたら嬉しいです。
NHKホールへ
原宿駅には16:30に到着しました。
ちょっと早い夕食を済ませるために入ったお店には外国人のお客さんたちがいて、入店してくるのは外国人ばかり。英語とスペイン語が飛び交う中、日本人は私ただひとり。せっかくなので、交流するきっかけでも起こればいいのに、と期待しながら食事をしていましたが何もなく。
店を出ると、傘が必要なくらい雨が降っていました。用意していた折り畳み傘を広げてNHKホールに向かいました。代々木公園イベント広場では11日・12日に開催されるタイフェスのテントが設置されていました。ライブと同日開催だったら、こちらで食事をしていたと思います。
開場時間17:30の10分前にNHKホールに到着しました。3階席の列に並んで開場を待ちました。私のようにひとりで来ている人が多い印象でしたが、おそらく友人、恋人、夫婦などの二人組や、小さい子どもを連れたファミリーもいました。男性も多く、年齢層も幅広いと思いました。
開場して少しずつ列が進み始めるころには、風が吹いたり雷が鳴ったりしていました。入口で折りたたみ傘を中途半端に閉じた状態で、慌てて鞄から出したチケットを見せて会場に入りました。
会場に入るとすぐに「ひみつ小道具」の受け取りに関するアナウンスがありました。混雑もなくスムーズに受け取れそうだったので、まずは折りたたみ傘をしまい、濡れた服と鞄を拭きました。
受け取り場所では「ひみつ小道具」が梱包されている袋をスタッフの方が半分下げた状態で待機してくれていたので、受け取る側の気持ちに配慮した丁寧な対応だと感じました。
ワクワクさせる「ひみつ小道具」
実際、手に取ると思っていたより大きく、そしてかわいい。中に何が入っているのか知っているのに、子どものようにワクワクした気持ちになりました。
ロビーにはたくさんの椅子があって、みんな同じ姿勢で同じ作業をしている光景がとても新鮮でした。これから私もこの中に混ざるのだ!
とはいえ、人が多い場所は苦手なので、最適な場所を見付けて缶を開けました。
中に何が入っているのか知っていたけど興奮しました。ネクタイはドット柄(「ポルカドッツ」っていうみたい)でした。履いてきたロングスカートが黒に小さな花柄なので、きっと遠目からドットに見えるに違いない嬉しい一致でした。
説明書を読みながらホイッスルと消音器を組み立てることができました。もし組み立てられなくても、周りにいる人やスタッフの方に快く助けてもらえそうな雰囲気づくりができていました。これは、ロビーで繰り返し再生されていたアナウンスのお陰だと思います。ナレーションは女性の声でしたが「めちゃくちゃ大事」という文言がオザケンぽいなと思っていたら、やっぱりそうだったみたいです。
あと、説明書の「ホイッスルはなるべくネクタイに取り付けてください」という記載を見て、一瞬「どうやって?」と思ったけれど、説明書を読み進めたら、ホイッスルを取り付けるためのループが、ネクタイにちゃんと用意されていることがわかりました。こういう気遣い、私は好きです。
座席は3階席センターの前から2列目で通路に面している場所でした。ステージから距離はあるけれど、正面から全体がよく見える良い席でした。
開演時間を迎えると、遊園地のアトラクションに似た心をワクワクさせるアナウンスがあり、しばらくしてホール内が暗転しました。
夢か現実か
舞台の中央をさす1本のスポットライトの先にオザケンが立ち「♪晩ご飯のあと〜パパが」と歌い始めた瞬間、まるで非現実的な空間に惹き込まれたような幻想的な感覚を覚えました。
今回のライブでは、曲の合間にホイッスルを吹くという試みが行われたわけですが、突然ホール内が明転したかと思うと、オザケン自身がホイッスルの説明をしたり、実際にみんなで吹いた音量を確認しながら消音器の角度の調整を促したりしました。ホイッスルを吹くタイミングを教わり、しばらくみんなで練習していると、再び暗転して演奏が再開しました。
ホイッスルは、オザケンが「ホイッスル!」とコールしたあと4拍吹くのですが、コールよりも先に舞台背面の幕にホイッスルとイヤーマフのアイコンが表示されて、タイミングを逃さないための配慮がありました。それなのに、私は歌ったり踊ったりに夢中でタイミングをよく逃していました。1発目から吹けている人はたくさんいたので、反応が良いなぁと感心していました。
スチャダラが来た!
「運命というか、UFOに(ドゥイ、ドゥイ)」の後半、スチャダラBoseが登場しました。(多少の期待はしつつ)東京には来ないと思っていたので本当に嬉しかったです。唯一持っているスチャダラのCD「5th wheel 2 the Coach」に収録されている「サマージャム'95」を生で聴けて、一緒に歌えて幸せでした。
ぶぎ・ばく・べいびー
スチャダラのラップ部分を含めて歌詞をまだ完全に覚えていない状態でしたが、重要な部分だけは覚えて行ったので楽しく盛り上がれました。スチャダラが来てくれたからこそ聴けた貴重なライブだと思いました。
新曲の大合唱
新曲「台所は毎日の巡礼」はオザケンが披露したあと、ライブの後半で歌詞を見ながら1フレーズずつオザケンと一緒に歌うという場面がありました。歌詞はひみつ小道具に入っていました。メロディを覚えて一緒に歌えたのは最初の1フレーズだけだったかもしれません。記憶力の衰えか、難しかったです。新曲のリリースを楽しみに待ちます。
オザケンのライブが好きな理由、私の場合
オザケンのライブが好きな理由は、人それぞれ違うと思います。
私の場合は、先にも書いたように幻想的な空間に浸れるので、普段は人に見せない素の自分を出せて、感情の蓋が外れた開放的な気持ちになれるところです。
曲の途中でオザケンに「歌える?」と呼び掛けられて、心の中で「歌えるよー!」と応えて心躍りながら歌うのが好きだし、「強い気持ち・強い愛」と「さよならなんて云えないよ」をライブで聴けると自然に涙が出てきます。
今回のライブでは、アンコールの弾き語りが心に響いてとても良かったです。
さいごに
今回のライブでは不具合ホイッスルの交換タイムなど、途中でホール内が明転して現実に戻る場面があったからか、いつもより「生活に帰ろう」が寂しく聞こえなかったように感じました。
オザケンだけではなく、青春時代を思い出す音楽を生み出してくれたアーティストたちが、いつまで活動を続けてくれるのか、存在してくれるのか、また自分自身もいつまで追っていけるのか、ということを最近よく考えます。
そのためか、ひとつひとつの瞬間を迎えられたことに感謝して過ごすようになりました。今回のライブでも、そんな瞬間がたくさんありました。
この記事では、私が良かったと感じたことをまとめました。
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