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まんなかは、じぶん。 (前編)

『ミギ』と『ヒダリ』、もういやだぁ。


4才の私は、お外に出た途端、途方にくれるのです。

はは:「ほら、おくつ、またミギヒダリ、反対になってるよ?」
4才:「・・・・・。」
はは:「それじゃあ、履きにくいでしょうに。」
4才:「

大概、こんな調子でありました。
すぐに履き替えない私を待てずに、母が屈んで私の靴を脱がします。

はは:「ね?昨日も言ったけれど、窪んでる方ね、コッチを内側にするんだよ。」
はは:「両方、ね?…ホラ、これで履きやすいでしょう?」
4才:「?????

子どもあるあるでしょうが、別に履きにくくはないのです。
絵柄やマークなどで左右を判別できる靴はたくさんあると思いますが、
私のおくつはそのタイプではありませんでした。

もう、何を言われているのか、さっぱり、解らないのです。
そう、『解せない』が最もしっくりくる表現ですね。
あの時の気持ちは、『解せない』です。

昨日も靴を反対に履いておりました。
その前にも靴を反対に履いてたことがあります。
幼稚園の上履きも、「さっちゃん、反対だよー。」とサエコ先生に直されました。おまけにブレザーのボタンもかけ直されました。

私は、4才の私は直したのです
おくつを履く前に。
昨日、反対って言われたことを思い出し、並べてあった靴を片方、反対に直して、履いたのです。

のに。

です。

ちゃんと履けてる日もあるので、尚更、のに!!です。

スイミングスクールに楽しく通っていました。
小さい子供は腰にヘルパーを装備して泳ぎの練習をします。
装備するには、ヘルパーの紐を結ばねばなりません。蝶々結びです。
コーチが屈んで、お腹の前で蝶々結びにしてくれます。へへへ。

でもどうやら、そのクラス内では自分で蝶々を結べない子は少数だったようでして、2Fで観ていた母は「やべー。」と焦ります。

お家に帰ると、巾着に通す紐を引っ張り出し、屈んで言います。

はは:「ヘルパーの紐、自分で結べるように、なろう!」
4才:「……うん?」
はは:「こうやって、紐を持って、こう、クルっとしたら、キュっと締めます。」
はは:「そしたら、ミギの方の…ヒダリは…そしてミギから・・・・」

…ミギヒダリ!!!!!


また。。。

一生懸命、ていねいに教えてくれているのは4才でもヒシヒシと感じます。
でもおかあさん、プールの後ってすごく眠いのですよ。
言えません、そんなこと。

なんとかその場は、見よう見まねで結んでみせるのですが、翌クラスでまたコーチに結んでもらう始末なので、お家でミギヒダリ…で結ぶ特訓です。

なみだがでてきます。

はは:「ご飯食べます、お箸、どっちで持ちますか?そうだね、こっちがミギ。」
はは:「ご飯食べます、お茶碗、どっち?…そうそう、そっちがヒダリ。」
はは:「ミギヒダリ判らなくなったら、ご飯の時、思い出しなさいね。」
4才:「うん。」

とてもよく、覚えています。
あれは、『途方に暮れる』という状態です。

やだなぁおくつはくの。
ヘルパーつけるのやだなぁ。

今となってはもはや不思議ですが、『左右』の概念がなかったのです。
じぶん、はまんなかだ。という概念はありました。
幸いにも『前後』の概念もありました。

母も4才も右に左に大変苦労していましたが、ある日、一気に解決します。

まんなかは、じぶん。後編 に続きます。


-20220406-








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