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育まれる時間。
たぶん、私は母親になることはない。だろうと。思っている。
悲観的ではなく、今より若い頃からそのように思ってきた。
なんとなく、そうなんだろう。くらいの感覚で。
イメージが、とんと湧かないし、友人たちにもその傾向があるので、類友理論でもそうなのかな、と。ただ、口にはしないけれど、ということもあるから、積極的にその話題がのぼることもない。
子どもが嫌いかというと、そんなことはない。
そして、街中で見かける母親と子どもの様子を(節度を持って)眺めるのが大好きだ。懐かしく、やさしいせかいがそこにはある。
*
夕方の電車内、1年生くらいかなぁ、制服姿の少女と仕事帰りのお母さん。
ご自身の鞄と、食料品が詰まったエコバック2つを抱えて、並んで座っている。
少女は小さな台紙に、切手のようなシールを貼ろうとしている。真剣な眼差しだ。
あぁ、パン屋さんのポイントカードかぁ…今でも台紙とシールのスタイルなんて珍しい。上手に貼れたようで、ニコニコ眺めている。
母親が覗き込むと、いち、にぃ、一緒に溜まったシールを数え出した。
素敵な夕方だ。
(ポイントカードのデジタル化は是非しないでもらいたい。)
*
目の前を3才くらいの男の子とお母さんが手を繋ぎながら歩いている。
「オハヨゴザイマス…」
『もうちょっと、元気よく、いってみようか!』
「お、おはようございます!」
『それだと、聞こえないかもなー。もっと大きく!』
「おはようござい、ます!!」
『いいねいいね!その調子!』
なんだろう?ご挨拶の練習してる。可愛いなぁ、一生懸命だなぁ。
駅に近づくと交番がある。親子がそうっと交番を覗き込んだ。
『おは、おはようございますっ!!』
男の子が元気よく、おまわりさんへ挨拶していた。
エモい涙で改札口が滲んだ、思いがけない通勤時。
*
し、叱られている。ご近所であろうちーちゃんという女の子が、お母さんに。
朝食を食べていると、時たま二人の声が聞こえてくる。
『ちーちゃーん?』
「はぁーい」
しばらくして、また。
「ちぃーーちゃあぁーん??」
『うーん』
幼稚園の登園前なんだろうなぁと、トーストにジャムを塗り付けながら聴き耳を立てる。しばらく間があく。…あの、チーサン、そろそろッスよ。
『ちぃ!!!!!いい加減にしなさいよっ!!!!』
…嗚呼。一緒に叱られるような心持ち。ジャムの味が薄まっていく。
私も同じタイプだったよ、ちーちゃん。ガンバレ。
母親にラインしなきゃな、と思いを馳せる。
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*
こうやってアチコチで、やさしいせかい、が巡っている。日々。
子を持つことはないだろう、と思いながらも、そういうシーンが私の心を捉える。
そこで想うのは、子を持たないでいるのであれば、せめて、世の中の働く母親の味方になれる女でいたい。ということだ。政治が、行政が、ということではなく、私なりにできることでサポートできたらなぁ、と。
*
書いておきながら、何も具体的ではないのが恥ずかしいが、今後やってみたいことのひとつ。
やさしいせかいがつつがなく、繰り返されていくように。
何かできることはないかなぁ。
-20220413-