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4月の空への散文。

薄灰色の4月の空が 
好きで。

淡くて、ぼんやりとしていて、少し憂鬱で。

薄い水色の空が透けて見えたり。
薄灰色に薄い桜の色が差し込んだり。

起床前の夢うつつの世界のような。
偏頭痛がくる前のような。
うわのそらのような。

ユルい光
薄いビル影
まだ冷たい風
陽のぬくもり
車の音
山鳩の声

ずっと眠そうな4月の空は、境界を緩めてしまうので
色んなものの距離感を 気づかぬ内に ずらしてゆく。
『私、死ぬ時は4月がいいなぁ。』なんて。ぼんやり思ったり。
この薄灰色の空にスーっと溶けて、帰れたらいいなぁ。
なんて。コーヒーをすすりながら。注文をつけてみたり。

モンキチョウがヒラヒラ飛んでいる。

気づけばもう、4月も下旬で。
だんだんと空気が潤って
新芽の鮮明が、世界をハッキリさせてゆく。

息を吹き返す
鮮やかな色
薄青の空
目覚ましの音

薄灰色の4月の空が好きだけど、今年も静かに過ぎてゆく。

もうすぐツバメが飛んでくる。



散文
-20220419-




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