出会いと繋がりと、古本が好きって話。
「出会い」
「誰と?」
――――――――人ではない。
出会い①
初めてのバッドエンドとの出会い。
15歳の時、学校でとある劇団の舞台作品をDVDで鑑賞した。劇団☆新幹線による『蛮幽鬼』である。これが人生で初めて観た悲しい結末の作品であることは忘れない。その結末に対する新鮮な感情、感覚までも。それくらい衝撃的な体験だった。
大学に入り、蛮幽鬼をもう一度観たいと思い、当時見たものがゲキ×シネ(劇×シネマの意味)という実際の舞台を映像化した作品の一つであることを知った。少しずつほかの作品を観ていき、いつの間にか劇団☆新幹線、ゲキ×シネの作品がとても好きに。まだまだ観ていない作品のほうが多いが、それは人生をかけてゆっくり観ていきたい、というまだ見ていない作品を大切にする気持ちと、一つ一つの作品が濃すぎるのでそんなに一度に観ようとはならないからである。なんとなく半年から一年に一回くらいのペース。これまで見た作品と劇団☆新幹線、ゲキ×シネの魅力についても書きたいことが山ほどあるが今回は心にしまっておく。
出会い②
二つの写真集との出会い。
写真や芸術に興味が出てきて、作品集等を探しに古本屋によく行くようになった。一つ目の出会いは実家に帰省していて地元の古本屋に行ったとき。古本にしては少し値段のするものだったが、その圧倒的な美しさに惹かれて手に入れたのが『EUREKA』HIROSHI NONAMI(野波浩による作品集)である。この時初めて写真家の野波浩さんを知り、他の作品集も見てみたいと思っていた。
ここで奇跡的な二つ目の出会いが起こる。他の作品集で最も気になっていた作品集が『ABYSS』だったのだが、そんな都合よくあるわけないかと思いながらなんとなく入った古本屋でまさかの一発で見つけたのである。鳥肌が立った。そんなこんなで勝手に運命を感じて、写真家の野波浩さんがより好きに。今も他の作品集が見たいのですが、この出会いのせいでネットで買う気になれず、また古本屋で出会うことを願って一年くらいたっている。
繋がり
きっかけは覚えていない。ただその写真は確かに、圧倒的に美しかった。
―――――劇団☆新幹線の宣伝写真を野波浩が撮影していたのである。
これを知った時には本当に鳥肌が立った。好きと好きが繋がっていた。その感動はなかなか体験することのない不思議な嬉しさに満ちていた。いろいろなものが偶然ではない気がして、普段自分が何となく取捨選択しているものはすべて正しいのではないかとすら思った。
それからゲキ×シネを観るときは必ずエンドロールで名前を探すように。見つけたらこのことを思い出す。ただそれだけ。だけどエンドロールまで楽しみなんて最高じゃあないか。
古本が好きって話。
古本屋では基本的にジャンルごとに新しめのものから古いものまで様々な本が置かれる。そのためよく行く古本屋では店内で見て回るコースが自分の中で出来上がり、ぱっとしなければ滞在時間は5分にも満たない。その中で直感がはたらき、本との出会いが起こる。
いつも見るコーナーにおそらく間違って並べられていた本があり、気になって手に取ったことがある。その時は少し感傷的になっていて、手に取ったその本の表紙とタイトルがその感情にマッチしていて驚き、なんとなく読めと言われている気がして手に入れて帰った。
岩城けい『さようなら、オレンジ』。
言葉を題材にしていて、言葉が綺麗。色と記憶の描写が素敵。言葉で書いているのに言葉よりも伝わってくる感じ。最後に物語に物語が挟まっていると気が付いたときに、鳥肌が立った。読んでみて、やっぱりこの本に「出会った」んだなと。(当時の感想)
野波浩作品集、そして『さようなら、オレンジ』。どちらも偶然のようで、運命のような体験。そんな体験ができるから、
古本が好きです。
穏