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No.088 「損をしたくない」から見えるアフリカの可能性


2002年のノーベル経済学賞受賞者、ダニエル・カーネマン氏が昨年90歳で逝去されました。彼の研究は、人間の意思決定の本質を鋭く突いています。

有名な実験を見てみましょう。
「A:確実に36,000円を得る」
「B:150,000円を25%の確率で得る(75%は何も得られない)」
という選択で、84%の人がAを選びました。

一方で損失を伴う選択では、
「C:確実に100,000円損をする」
「D:75%の確率で150,000円損をする(25%は損をしない)」
という場合、87%の人がDを選んだのです。

この実験は、人間には「現状維持」「損失回避」を好む本質的な傾向があることを示しています。新しいことへの挑戦を躊躇する心理も、ここに根ざしているのでしょう。

これをアフリカへの挑戦に当てはめて考えてみましょう。確かに、アフリカに足を踏み入れること自体が多くの人にとって大きなチャレンジです。だからこそ私たちは、「アフリカに関わらないことの損失」を具体的に、数字を交えて伝えていく必要があります。

例えば、同じ30万円の旅行費用。
フランス・パリでカフェやフレンチを楽しむか、ナミビアでナミブ砂漠を体験するか。一般的な価値観では、パリの方が「損をしない選択」と映るかもしれません。周囲の反応も、パリには「羨ましい」という声が集まりやすいでしょう。

しかし、これは単なる情報不足が生んでいる誤解ではないでしょうか。ナミブ砂漠は、世界的セレブが愛する特別な場所です。2006年にはブラッドピットとアンジェリーナ・ジョリーがここで出産を迎え、別荘を構え、最近では自然保護区に200万ドルを寄付したほどです。世界で唯一、海岸線に接する砂漠という稀有な景観は、見る者の心を震わせます。

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