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本と暮らす、本に暮らす nice and ideal women

 「憧れの人は?」「素敵だと思う人は?」これらの問いに対して、私は実在の人物を挙げることが出来ない。でも、実在しない人物ならすぐに挙げることができる。
私の「素敵だな!と思う憧れの人」ベスト3を考えると、全員がL.M.モンゴメリの作品の登場人物、それも二人は「丘の家のジェーン」からだ。
まずはMrs Meade、ジェーンの父の下宿先のおばさん。"A nice gingery smell of hot cookies"とともに現われ、初めて会ったジェーンをあたたかく包み込み、食事までのお腹の足しだと言ってはオヤツをくれる"with the reddest cheeks Jane had ever seen before"な年配の女性。
それからMrs Jimmy John。ジェーンの父が丘の家を買ったことを知るや否や、娘を連れて台所の窓から入って上から下まで大掃除をしてくれた”with very wise ,gentle grey eyes”の女性。"a wise serene ceature, with a face full of kindness and wisdom"で"never getting upset over anything"。父と二人の生活が始まり、子供ながら家事を担うことになったジェーンを陰で支えてくれる頼もしい主婦。
最後はアンシリーズから"Rebecca Dew"。アンが下宿することになった "Windy Populars"の切り盛りをする使用人だが使用人ではない、"Windy Populars"で陰ながら一番力を持つ存在。"if a tomato had black hair racing knobby end and a slit of a mouth, it would look exactly like her"で、腕も足も首も鼻も全てが寸足らずなのに、口だけは大きくて笑顔が顔から飛び出しそうな四十がらみ。気が強くしっかり者そうに見えて、アンが"Windy Populars"を去る日には辛くて直接さようならを言えずに手紙を託し、アンが間借りしていた塔の部屋から真っ白い大きなバスタオルを振って見送ったという、ほろりとさせる一面も持つ女性。
三人の共通点は飾らない人がらと人間味のあるあたたかさ。ジェーンはMrs MeadeとMrs Jimmy Johnを、アンはRebecca Dewをあっという間に好きになるが、私も同じ。いずれも作中では脇役でありながら、おのおの個性を持ち、その独特のあたたかさあふれる存在がこちらの気持ちまであたたかくしてくれる。あたたかいのに、一本筋が通ったしっかり者で、周りに流されず自分流に日々を暮らしていそうな素敵な女性たち。
この三人を合わせたら、私の憧れであり、理想の人である!今日も彼女たちを思い描き、明日こそはと願いながら過ごしている。いつかきっと…。

最後にもう一人、リンドグレーンの「わたしたちの島で」に登場する「メルタ・グランクビスト」を番外として挙げておきたい。島に越してきたメルケル一家がかまどの煙が逆流して困っているところに、赤いレインコートを来て鍋を手に入ってきたお隣さん。かまど問題を即座に解決し、「お引越しがゆ」として持参したシチューを差し出す女性。ベスト3には入らず、一人だけモンゴメリ作品からでは無い彼女も、私の中では三人同様あっという間に惹きつけられた素敵な存在である。


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