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第8回 高次脳機能障害と私の中の愉快な(?)仲間たち!
判るか判らないか・・・それが問題だ!
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注意障害なのか遂行機能障害なのか記憶障害なのか・・・退院当時の私には正確な事は理解できてなかったのだが(←実は今でも良く判っていない)、自分が《間違っていることは判ってる》のに《正解が判らない》のだ。『正解が判っているのだから、間違いが判かる』と考えるのが普通だ。こんなのは1+1=2が当たり前なのと同じように、考えるまでもないことなのだ。 そして発症前の私もそれが当たり前だと思っていた。
しかし、発症後の私にとって《間違っていることが判る》=《正解が判る》ではなくなった。・・・つまり1+1=0なのだ。このことは何度もいろいろな人にいろいろな方法で説明しようとしたが、今でもうまく説明できない。
自分で判らない事は他人に伝えられない (´;ω;`)ウゥゥ
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そりゃそうだ。
自分が自分で判らないことは、他人に伝えることは出来る訳がない。
ここでもコミュニケーションの破綻が表れる。
私にとっての高次脳機能障害はコミュニケーション障害と言ってもいい。これは自分が『失語症』も発症しているからという訳ではない。物事の意味が判らなくなったら、簡単なことを話そうとしても出て来る文章はトンチンカンなものになってしまう。意味が判らないから話し相手は聞き返してくるのだが、また厄介な事に何を聞かれているのか私の方が相手の話の意味がわからなかったりする。そしてそのことを私が聞き返したら、その話がまたしても不明で・・・と、『お互いに何を言ってるのか判らない無限ループ』に陥ることになるのだ!
これが退院当時の私でもあり現在の私でもある。
私はこの状態を医師に伝えたが『それだけ喋れるなら問題ないでしょう。なんで働かないの?』と言われてしまった。
実はその神経外科の先生にかかったのは、ハローワークで探した会社に再就職し、前回書いたような仕事上の不具合が多発して正常な業務を続けることが、とてもじゃないが出来そうになかったからなのだ。
大半のお医者さんも判っていない高次脳機能障害
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私は紹介された神経外科に行ったとき、脳波検査だけやって(脳波検査じゃ高次脳機能障害は判らない)一言コメントをもらった。
救いを求めて病院へ行って手を伸ばしたら、崖の上に立っていた医師が手を差し出してくれるのではなく、ゴツゴツした大きめの石を私に向かって投げて来た・・・といったイメージだ!
私はマジでアイガーの北壁を滑落するような衝撃を受けた。
『なんで・・・なんで・・・なんで・・・普通に・・・普通に・・・働かないの~~~!?』って、検査もしないで言う言葉かよ!
それでも彼はお医者様です!
私は病院の帰り、川越駅の駅ビルを出たところで涙ぐんでいた。漢(おとこ)55歳、人で賑わう駅前でべそをかくとはなんという不覚であろうか?
『失語』って喋れないってだけじゃないこと
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私の失語の一例として『数字の意味が判らない』というのがある。
これもうまく説明が出来ないのだが、数えてみると実際にできないので自分でもびっくりする。
『1(いち)』という読み方は判っている。『7(なな)』という読み方も判っている。
1は1個のミカンを意味し7は7個のミカンを意味することも判っている。
しかし、1,2,3,4,5,6,7,・・・と数えているとそこには7個のミカンじゃくて10個のミカンがある。これは間違ったと思ってもう一度8個まで数えると6個のミカンしか無かったりする。
なぜそんなことが起きるのか?
まぁ、一度や二度なら単純に数え間違えたんだろうと考えるのが普通だが、同じミカンを何度数えても数字が合わないのだ。私は幼稚園の時だって20個のミカンを家族4人で分けることができていたことを考えると驚きの劣化パフォーマンスだ!
問題は失語だけじゃないって事が大問題!
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今日は『失語』の一部(これは一部なのだ!)の話をしたが、高次脳機能障害が厄介なのは、前回も書いたが症状が単独でやって来ることは稀なのである。
実際にはどうなっているのかは判らないが、注意障害による不注意なのか、遂行機能障害による不手際の問題なのか、記憶障害なのか、失認なのか、失行なのか・・・?それとは別の周囲の状況が私に何らかの悪影響を与えているのか・・・私の感覚ではそれら全部、またそれ以外の色々な状況や障害が複数コンガラガッて、私が今やっているタスクを邪魔している気がする。
高次脳機能障害は複数の障害が一人の中に同居してる
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自分の事を説明できないって、めちゃハードだ!!!
© 2025 shirahama akira
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