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【コロナで脱資本主義】プロローグ  六本木ヒルズ、大展望台にてⅠ

この物語が以下のような人々を創出しても、一切の責任を負いかねます。

・この物語を読んでサラリーマンをやめたくなった人(もしくはやめてしまった人)
・この物語を読んでサラリーマンになるのが嫌になった学生
・この物語を読んだ従業員が大量に退職してしまったと嘆く社長
・この物語を読んで共産主義国家に移住したくなった人(もしくは移住してしまった人)


- この物語は、高名な経済学者の理論を基にしたフィクションです -


プロローグ
六本木ヒルズ、大展望台にてⅠ


 弾力に富んだ温かな感触を唇に感じ、ボクは焦燥感に駆られながらも瞳を閉じることにした。

 どうした、エリカ? こんなところで、お前らしくもない。みんな見てるじゃないか。

 そう。「こんなところ」。そのとき、ボクとエリカは、「成功者のシンボル」と言われる六本木ヒルズの大展望台、「東京シティービュー」にいた。

 それにしても、中空を舞うような六本木ヒルズの展望台で、衆人環視の中、なぜ、ボクはエリカとキスをしているのだ。って、それはボクにもわからない。突然、唇を重ねてきたエリカに訊いて欲しい。

 そもそも、エリカが六本木ヒルズの大展望台に来たがったのも謎だ。一ヵ月前、ボクの誕生日に二人で来たばかりだ。

 もっとも、そのときは、こんな巨大なビルにオフィスを構えられる社長がいる理由も、一方で、都内には住めないために片道一時間半もかけて通っているサラリーマンがいる理由も、ボクにはわからなかった。

 しかし、今なら、そのカラクリ、いや、ボクたちが暮らすこの社会の壮大かつ狡猾な仕組みが手に取るようにわかる。わからないのは、むしろ、エリカのこの大胆な行動だ。

 ひょっとして、眼下に広がるきらびやかな夜景に、乙女心がロマンで満たされてしまったためだろうか……。

 でも、一ヵ月前もボクたちはこの絶景を見ていたではないか……。


→ 夜景が教えてくれるサラリーマンの異常な実態(1)

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エピソード4までは無料でお読みいただけます。 これから私たちは、1929年の世界大恐慌に匹敵する誰もが経験したことのない経済不況に見舞われます。 新型コロナウィルスは単なるきっかけに過ぎません。企業の連鎖倒産、不動産バブルの崩壊などで、「その日、食べられれば御の字」というレベルの生活を強いられる可能性すらあります。 そうでなくとも、サラリーマンの給料は生活費と一致する、すなわち、生活費に消えてしまうように創られた経済制度が「資本主義」なのです。 この仕組みをぜひとも学んでください。

エピソード4までは無料でお読みいただけます。 「資本主義はもっとも優れた経済制度」と子どもの頃から刷り込まれ、それを疑うこともしない日本…

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