貧乏人は種を食べる。金持ちは種を植える
最近、MMT論者が急増しています。
MMTの詳細な解説は控えますが、ざっくりと言ってしまえば「どれほど自国通貨を刷ってもデフォルト(債務不履行)など起きない。言い換えれば、国家は破綻しない」という考え方ですが、僕の推測ですが、MMT論者の大半がそこそこの高給取りだと思っています。
理由は明白で、MMTのような金融緩和でその恩恵にあずかれるのは富裕層だからです。
まだお手元に届いていない方もいらっしゃると思いますが、ここで一律10万円の給付金の使途を考えてみましょう。
目先の生活に苦しんでいらっしゃる方は、なにかしらモノを購入したことでしょう。
ここで考えてみてください。
お金を使えば消費税がかかります。
すなわち、給付金で買い物をした人がもらったのは10万円ではなく9万円なのです。
そして、今後確実に「コロナ税」という名目で増税されます(実際の名称は今の段階ではもちろんわかりません)。
東日本大震災の復興税が2.1%ということを考えると、それを上回る税率になるのは確実だと思います。
わかりやすく、コロナ税が3%と仮定します。
このケースでは、年収300万円の人は9万円の納税義務が発生します。
せっかくの給付金が1年で国庫に取り返されて、残りの(推測ですが)十数年はただただ税金を搾り取られるだけです。
すなわち、僕たちは10万円をもらったわけではありません。
急場を凌ぐために国から借りただけなのです。
この10万円のバラマキは疑う余地もなくMMT的な経済政策(金融政策)です。
一方で、富裕層ははなから10万円など必要としていませんので、この10万円は投資などのなにかしらの方法で膨れ上がっていきます。
要するに、MMTなる金融緩和で国家は延命できても、貧富の差はますます広がることになります。
実際に、現在日銀が無制限の金融緩和を行っていますが、そのお金はどこに消えていっているのでしょう。
言うまでもなく株です。
1929年の世界大恐慌以来の大不況に襲われると言われている中で、実体経済と乖離して株価が2万円以上で推移しているのがどれほど異常なことか、誰もがおわかりだと思います。
どうせ給付金を配るなら(ここでは「スピードが命」という議論は置いておきます)、年収200万円の人には300万円、300万円の人には200万円、400万円の人には100万円で、全員の今年の収入が500万円になるようにすることも可能なはずです。
どれほどお金を刷っても国家破綻はしないわけですから。
しかし、こんなことをしたら年収500万円以上の人が「不公平」だと猛反対をします。
「不公平かもしれないが平等だ」という庶民の声は、残念ながらそんな富裕層の声にかき消されます。
そして、「資本主義の精神に反している」と言われるのがオチです。
大学で経済学を学び始めるときに、僕たち学生は教授に言われました。
「資本主義が300年続くと思っているような君たちの誤った考えを正すのが私に与えられた役目です」
資本主義はいずれ崩壊します。
だからと言って、共産主義になるというわけではありません。
コロナ対策の10万円の給付金ひとつとっても、庶民はやむを得ずに使ってしまい、10%は消費税に消えてしまいます。
いえ、そもそもが、労働者の給料は生活費に消えるようにデザインされたのが資本主義なのです。
現在僕は、『コロナで脱資本主義~サラリーマンだから貧乏ですが、なにか?』というマガジンを連載しています。
僕たちは、中学生くらいになると「共産主義は悪。資本主義は理想郷」と刷り込みをされます。
実際に、ソビエト連邦は崩壊しましたし、日本でも共産主義の縮図とも言うべき国営事業が民営化されて黒字化したケースもあります。
しかし、この30数年間、庶民の生活は楽になったでしょうか?
多くの庶民がより幸せになったでしょうか?
ちなみに、ソビエト連邦が崩壊しても立ち直れたのは、社会主義だったため、国民に平等に土地を分け与え、それである程度の自給自足ができたという側面を忘れてはなりません。
『コロナで脱資本主義~サラリーマンだから貧乏ですが、なにか?』 を通じて、一度でいいので「共産主義は悪。資本主義は理想郷」というのが事実なのかを、一人でも多くの方が自問自答していただけると幸いです。
連載は、現在、半分ほど終わり、次回はいよいよ「貧富の差」を発生させている元凶ともいうべき「貨幣論」、すなわち「お金」の話に入ります。
中学生でも余裕で理解できる内容ですので、どうかお楽しみになさってください。
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エピソード4までは無料でお読みいただけます。 「資本主義はもっとも優れた経済制度」と子どもの頃から刷り込まれ、それを疑うこともしない日本…
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