【コロナで脱資本主義】エピソード2 なぜ、サラリーマンは貧乏なのか?(2)

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エピソード2 
なぜ、サラリーマンは貧乏なのか?(2)


「では、なぜサラリーマンの生活は潤わないのでしょうか?」とマルクん。

「その理由はシンプルですよ。ボクたちは資本主義経済に生きてるんですから」

 ボクが即答すると、マルクんはさらに踏み込んきた。

「では、資本主義経済ではなぜサラリーマンは低所得にあえがなければならないのでしょうか?」

 当然にしてボクは返答できなかった。見ると、エリカも答えに詰まっている。その様子を見て、マルクんが自答した。

「二人が答えられないのは当然です。なぜなら、教科書には載っていないからです。そもそも、義務教育では資本主義の仕組みは教えてくれないのです。そのメカニズムは、AIだ宇宙旅行だという現代になっても『資本主義を教えたくない人たち』によって隠蔽され続けています」

 すると、エリカが口を開いた。
「なぜ? 中学生には難しいから?」

「違います。最初に言ったとおり、中学生でも理解できます。むしろ、頭の柔らかい中学生のほうが理解が早く、そして深いかもしれません」

「じゃあ、なぜ?」と再びエリカの口が動く。

「それは……。そこまで徹底しなければならないほど、資本主義というのはサラリーマンにとって不公平な経済世界だからです」

 なるほど。要は、その隠蔽されている資本主義の驚愕のメカニズムを、これからマルクんが白日の元にさらしてくれるってことか。

 確かに、明治四十五年に死去した「歌人」の啄木はともかく、二十一世紀に生きる「経済人」たるボクたちが、資本主義のことをなにも知らなくていいはずがない。

 すると、マルクんが力を込めた。

「間違っても、経済学って難しそうだし退屈そう、なんて思わないでください。正直に言えば、確かに経済学は簡単な学問ではありません。それも当然で、経済は生き物ですから『株で絶対に儲かる方法』なんて理論が確立されていないように、今なお経済学は経済の仕組みを解明し切れてはいません。ノーベル経済学賞を受賞した理論ですら賛否両論がある。それが経済学です」

 そこで言葉を切って深呼吸をすると、マルクんはさらに声のトーンを上げた。

「しかし、『株を安く買って高く売れば儲かる』という真理を否定することは誰にもできません。同様に、『労働者を働かせれば資本家が儲かる』という真理も誰にも否定できないのです。

 これから私は二人に、この真理、この現象を発生させているメカニズムに着目しながら、中学生でも理解できるように平易に解説をしていきます。経済学は難しくても、私の講義は決して難しくありません」

 ふーむ。考えてみれば、大袈裟な言い方だけど、国を挙げて隠蔽されている資本主義のメカニズムを知ることが退屈なはずはないよな。むしろ、ワクワクするな。


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エピソード4までは無料でお読みいただけます。 これから私たちは、1929年の世界大恐慌に匹敵する誰もが経験したことのない経済不況に見舞われます。 新型コロナウィルスは単なるきっかけに過ぎません。企業の連鎖倒産、不動産バブルの崩壊などで、「その日、食べられれば御の字」というレベルの生活を強いられる可能性すらあります。 そうでなくとも、サラリーマンの給料は生活費と一致する、すなわち、生活費に消えてしまうように創られた経済制度が「資本主義」なのです。 この仕組みをぜひとも学んでください。

エピソード4までは無料でお読みいただけます。 「資本主義はもっとも優れた経済制度」と子どもの頃から刷り込まれ、それを疑うこともしない日本…

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