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知らないだけ

「あの人、ちょっと変わってるよね。こないだだってさ、、」
騒音に包まれた居酒屋で、少し声のトーンを落として話し始めた。
話を最後まで終えると、ねっとりとして意地悪い笑い声をあげる。

仕事が出来て、気遣いもそつなく、尊敬のできる先輩の笑い声が、
何度も頭の中で響く。
あの時他の誰かに向けられた刃が、職務を全うできない自分に突き刺さる。

苦しくて苦しくて。
だけど先輩は未来の私を刺したつもりは全くなくて。
部署異動してから、連絡も取ってない後輩のことなんて忘れてるんだろうけど。

きっと人の苦労なんて知らない。想像力に欠けるんだろう。
そう自分に言い聞かせることしかできない。

部屋の天井が、嫌に目に入る。

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omu
新たな文章と出会う旅の餞別となり、私の感情がまた文章となり生まれます。 いつもありがとう。