見出し画像

余命10年 心のままに感想(ネタバレなし)

2022年3月4日に公開されたばかりの映画「余命10年」

小松菜奈さん主演のタイトルからして号泣必至の作品ですが

最初は(どうせ御涙頂戴のありきたりな内容のものかな)って

映画館で見るつもりもなかった私が実際に見てみた後の今の心のうちを

どうしても、どうしても残しておきたくて・・・。


結論から言うと、大泣きしました。ええ。

というか映画館に一緒にいた人たちみんな泣いてた?ってくらいに至るところからすすり泣く音が聞こえました。

私自身、普段から映画も音楽もドラマも大好きだから「まあよくあるパターンやろ」と思いながらも、予告を見ながら「そんなに言うなら泣かせてもらおうやないか」という気持ちで観にいったら、見事に大泣き。

替えのマスクとハンカチと、メイクしている方ならお直し道具も必須です。

今までも同じような系統の作品って沢山あったと思うんですが

この作品はものすごく感情移入がしやすいような気がしました。

なぜこんなに泣けたのか、また今までの同じ系統の作品とは違うと感じたのか自分なりにまとめてみました。

以下、ネタバレなしで。


まずね、何よりも映像が本当に綺麗。この映像が綺麗と言うのは単に画質のことではなく、画角。

主人公の茉莉ちゃんが泣いたり、寂しくなったり、心を痛めたり、

この映画では視線の移り変わりを捉えるシーンが多いです。

「目は口ほどに物を言う」なんて言葉がありますが、まさにそれかと。

茉莉ちゃんだけでなく、お父さんや友達、彼氏役の皆さんにもありますが茉莉ちゃんが一番わかりやすくその描写があります。

その視線だけで語りかけられるものが、より一層観てる私たちに考えさせられる時間になり、とっても感情移入がしやすいです。


あと、わかりやすい「余命10年」というタイトル。

これだけである程度の結末は誰にでも想像できてしまうと思います。

きっと大切な人がいて、生きたくて、悲しくて、けど生きられなくて、、

大まかなあらすじはそう。あなたの想像通りです。

だから最初からほとんどの人が茉莉ちゃんを見た時に

「この子の人生の終わり方」を想像しながら見ると思うんです。

そうすると、冒頭のシーンで行われるお姉さんとの会話やその後の友人との食事での会話、その何もかもが私たちにとっても悲しい言葉に思えるんです。

この時点で既に感情移入がしやすいですよね。


また、実話やお涙頂戴系の作品に多くある「励ます」というシーンもあまり多くなかったように感じます。


実際に生きていると、心から大切だからこそ相手の考えを尊重する優しさってあると思うのですが、家族であれ、友人であれ、恋人であれ、そういった距離感がすごくリアルに表現されていたなあと思います。

大切だから言えない、好きだから伝えられない、だけど自分をコントロールできない瞬間があって、それでも、相手のことを考えたい。

この映画に出てくる主要人物の皆様はそんな風な人たちに思えました。

この感覚はきっと映画を見ていただければ、すぐに伝わると思います。

優しくてあたたかい、そんな関係性が本当に素敵でした。


何度も感情移入という言葉を使用してきましたが、この映画の素敵なところは

「感情移入」がしやすいということ。

まるで自分ごとのように、あるいは茉莉ちゃんに起こることに(うんうん、、悲しいよね、、、嬉しいね、、、)と共感がしやすいのです。

大袈裟な病弱表現がないのも良かったなあと。

病気との向き合い方、周りの想い、茉莉ちゃんの人生。

あまりにも色鮮やかで儚い。こんなにも日々は尊いのかと思わされます。

「人生は素敵だ!」と言われるよりもはるかに自分の人生を愛したくなる映画でした。


ちなみに個人的により涙を誘われたシーンは、多くはないですが病気の進行とともに出てくるお父さんのシーンです。

多くは言いませんが、お父さんは映画の中であまりセリフはありません。

ですが、私の中ではお父さんが茉莉ちゃんのために行っている行動の数々に本当に大きな愛情を感じました。

あの絶妙な距離感、多分ああいうお父さん多いんじゃないかなって。

実際に私のお父さんもそうだからより心に残りました。

言葉ではなく、行動で愛を表現しています。これから観る方は是非注目してみてください。


最後に、主題歌であるRADWIMPSの「うるうびと」

あの曲の歌詞を読み込んでいると、より最後泣けると思います。

あの曲のデモは、映画完成前に出来上がっていてそこからほぼ変わってないそうです。

あの曲を聴きながら撮影に臨み、この曲を一つのゴールだと思いながら撮影をされていたそうです。

だからこそ、本当にこの曲がより心を掴みます。

人生って、大きすぎて終結の日を知らされているわけでもないのに

私たちは勝手に平均寿命くらいは生きられると思い込んでいて、

だから当たり前のように未来の話をするし、当たり前のように明日に投げる。

それができることは素晴らしいことだとわかっていても、忘れてしまう。

忘れてもいい、できないことは明日に投げてもいいから

この日々があることは至極幸せなことなんだということだけは

忘れずに生きていたいですね。


この映画に出会えてよかったとともに、制作してくださった皆様に心より感謝を伝えたいです。

劇中の桜、とても綺麗でした。

ちなみにフランスでの桜の花言葉は「私を忘れないで」なんです。

映画でそのような意味合いで使われているかはわかりませんが、個人的に知識として知っていたので、より最後のシーン泣けました。

また心に残る作品に出会えたら、ここに残そうっと。

いいなと思ったら応援しよう!