ボイスドラマの作り方3


2からの続きです。

■出演了承して頂いた後

キャストさんに出演了承を頂いたら、声のすり合わせをします。
台詞一個(最初の場面でキャラが普通状態で話しているものが好ましい)と
前のメールで送った「声質」の説明を書いて、
本収録に入る前にキャラのイメージに合っているか収録してもらいます。

そしてゲーム完成後に連絡が必要かも確認しておきます。
(メールで連絡している場合は、メールの知らせで良いですかなど)
これは収録が全部終わった後で確認でもOKと思います。

★編集

・音の編集時は必ずヘッドホンをする(パソコンからの音では初心者は綺麗な音に編集できません)
音量はやや大きめにする(ノイズに気づきやすく、よりクリアな音源に加工できます)

■音源提出

キャストさんからご提出があったら、
言い間違いはないか、アクセントは合っているか、お芝居は作品の雰囲気に合っているかをチェックします。
(私は全てチェックしてキャストさんに返信しましたが、それでも台詞抜けの見落としなどがありました。なんでや…)
そして頂いたお芝居の良かった所、嬉しい所なども伝えましょう~!


■編集ソフト

音編集のフリーソフトはメインがオーダシティ(DLで入手可)
サブ機にサウンドワン・プライム(無料版・登録が必要)を使いました。
何を使うかは人それぞれなのでここではざっくり解説します。

オーダシティの使い方

台詞が繋がっている音ファイルの場合は
トラックを分割して書きだしをする

キャストさんから頂いた音源は一人づつ連続で加工していきますが
できたら最初に誰の音が小さい大きいか把握しておいた方が後々やりやすくなるので…
キャストさんから音源提出が揃ってきたら、編集ソフトに入れて一人づつ聞いて下さい。時間をずらして一人づつ喋る形だとソロ再生より手間が少ないです。
(全員聴けたら良いですが難しい場合は、掛け合う役など続けて喋るキャストさんの音を並べます)

掛け合いの音源を聞いてみて、音量の小さい方はノーマライズ(音を綺麗に大きくする)すると凄く大きくなるので、トラック左のつまみで小さく調節します。(音量の足りている方は私は加工しませんでした。)

右上の音量メーターを見て全員を同じ音量にできたら
つまみの位置を確認して、大体の個人音量基準値を把握、
ノーマライズコンプレッサー加工が必要な方
音量を小さく編集する方を把握します。

その後、キャストさん一人づつを連続で加工していきます。

この作業はキャストさんのマイクや声質で変わってきます。
基本はノイズ低減をすると音がクリアになる
ノーマライズすると音がパキっとして聴きやすくなりますが
ノイズ処理すると音源が少し劣化する場合もあり、
声の通る方はノーマライズすると声に尖りが出る場合もあり、
優しい・おおらかな役の場合はノーマライズ無しでもよいかもしれません、クリアで聴きやすい音源を重視する方は全キャストをノーマライズすると思いますし、その辺りは編集さんの好みです。

台詞内で音量に差がある場合はコンプレッサーをかけます。
オーダシティのコンプレッサーは小さい音を押し上げるのに適している感じがあります。メモリをいい位置に調節して整音します。

一部だけ声が大きい場合はエンベローブをします。
小さくしたい箇所の両側と真ん中をクリック、白点が出るので、
真ん中の白点を操作して音を小さくします。
後半声が大きい場合なども音を揃える事が出来ます。

リップノイズは音が鳴る場所を特定し、拡大して波形の歪みをカットして取ります。でもBGMが鳴る所の台詞は聞こえない事も多いので加工前に
場面に当てはめて聴いてみるがよいです。

台詞が速い、遅くしたい場合は、テンポ変更をします
…が、あまり数値をいじると音質劣化するので
台詞のスピード感は収録時に音声サンプルを渡したり
キャストさんにお伝えしておくのが無難です。
変更する場合は、一気に大きな数値にするよりも
少しづつ変化をかけていく方が音質が保たれる感じがありました。

ノイズ軽減、ノーマライズ、コンプレッサー、エンベローブ、テンポ変更は
オーダシティ上部メニューのエフェクト内に入っています。
音加工はほぼ上記の機能を使用、
無音部分が少ない時は、上部メニューのジェネレーター内から
silenceで無音を足していました。


・サウンドワン
音源にこもりのある場合は(他キャストさんと続けて聴いて違和感がある場合)サウンドワンのイコライザーを使います。
オーダシティのイコライザーよりも高機能でクリアな音源にできます。
イコライザーは、エフェクト内のchannel stripに内蔵されています。
詳しくはこちらの動画へ。
6分36位からchannel stripの説明があります。
EQがイコライザーで、Gainのつまみの、Low、Mid、Highを調節して下さい。やりすぎると違和感が出るので気をつけて!

サウンドワンはオーダシティと違い、原音そのままで再生されません
下のバー右下のテンポの数字通りのスピードに自動調節されます。
サウンドワンを使う場合は注意してください。
聴き比べて原音と違う場合は、テンポの数字を調整して直してください。


■音量均一化

一人づつ整音が終わったら、台本通りに音源を並べていきます。
音量を均一化する為、右上の音量メーターを見ながら行います。
これが結構大変…でも終われば超楽なので頑張っていきましょう!

並べて違和感のある所は再度加工していきますが…音ファイルは加工しすぎると劣化するので原音と音質に違いは無いかチェック入れてください。
協力して下さったキャストさんが原音の綺麗さを一番知っています、
参加して良かったと思って頂けるクォリティになる様に、協力に感謝して編集作業をしていきましょ~。

効果音、BGMは音量均一化が終わってからつけていきますが
好みでよいと思います。

・ほどほどに設定しよう

音量設定は必ずズレが起きます。
頭がおかしくならない様に気をしっかり持って…!

・聴く場所による誤差
ヘッドホンとパソコンで聴いた場合のスピーカーから出る音がまず全然違います、そしてネット上にUPしないとなかなか確認がしずらいですが
タブレットから出る音量も変わります。
値段、メーカーなどによっても更に変わると思いますが…
ヘッドホンだとBGMが大きめに聞こえます、音量が大きいとうるさくて聴きにくい
パソコンだとヘッドホン基準のBGM音量では小さすぎて聞きづらい、機械音声(棒読みちゃん等)が結構大きく聴こえる
タブレット(私の場合はiPad確認)では人の音声が一番大きく聴こえ、電子音(シンセサイザーみたいな電子音の効果音)は設定よりだいぶ小さく聴こえました。

・編集の誤差
そして機械でなく人間の耳で編集すると誤差が生まれ
音量+1すると、ある音源は+1、別音源は+3大きくなる現象が起きます。
ヘッドホン音量10で音量均一化すると、音量15にした時に音量揃ってない部分がでてきます。

・編集する時間
日中と夜間で音量の感じ方が全然変わります。
日中編集したものを夜間聴くとうるさい
夜間編集したものを日中聴くと小さすぎる
それで私は何度も何度も編集し直して音量均一化地獄沼にハマりましたが…
完成して思う事は

最初に基準になる音量数値を決めたらそれを信じてブレずに設定しきる。
★周りが静かになってきたな…と感じたら音量均一化作業はやめる
(深夜帯は小さく設定しやすく、後々再編集祭りが起きました)

静まった深夜帯しか制作時間が取れない方は
本格的に音量均一化設定を始める前に日中~夕方等に音量確認するか
音を普段より大きめに設定するのがよいです。

■スピードはどんどん速くなっていく!注意

私がいつも感じていた事は、世の音ドラマはスピードが速い。
情景を想像する楽しみの暇も無く進んでいってしまう。
(ラジオドラマは放送枠の制約もあるから仕方ないと思いますが…)
なので初聴きで想像の余地あるスピード感で編集していました。
でも同じ音声を何度も聴いてるとテンポが遅い…と感じる様になっていきます。ゆったりできる遅さを求めていた私でもです。
編集時間が長くなる程、耳が慣れてどんどんスピードが速い編集になっていきます。
そういう時は数日間編集から離れたり、ほっこりお茶菓子タイムなどを取る様にしました。心にふわふわ、ゆるるが戻ってくると…情景を想像する楽しみの暇が無い所に多く気づき…やっぱり大量再編集となりました…合掌


・ゲームの場合は


音のドラマをゲームに使用する場合は、ゲーム内のシステム(チャプターや選択肢ボタン)の位置にBGMを区切って作ってください。例えば、

チャプター5
BGMを鳴らす
台詞1

私の編集したティラノビルダーだとこの並びであれば、
チャプター5にジャンプした時BGMが鳴りますが

BGMを鳴らす
チャプター5
台詞1

チャプター前にBGMを支持しているとチャプタージャンプ時に
BGMはなりませんでした。


★最後のお礼・一気送信の準備

完成後のお知らせ(お礼メール)を一気に送るのは結構大変です!!
編集中にキャストさんからご提出いただいた音声を何度も聴きます
良かった所、助かった事、嬉しかった所など
必ず感じるはずなので編集中からメモ書きにしておきましょう。
完成間近になったら、文面を少しづつまとめてメール下書きを作成しときましょう!

依頼をする時、音声資料録音をした方なら薄々感じていたと思いますが、
キャラっぽい声を出す事自体が難しく、
その声を維持して何か喋るのはもっと難しく、
さらに台詞の速い遅いの調節、
三つをやりながら演技も行うのは物凄く難しい事です。
そしてキャストさんにリテイクをお願いするとほぼ似た声で提出して頂けますが…普通の人は別の日に、前録音した同じ声は二度と出せません(私には無理でした)
声のお手伝いをして下さるキャストさん達の才能は本当に凄くて素晴らしいです!嬉しいと感じた事は、最初の音声提出の時も含めて、できるだけ伝えていきましょう~。




ざっと書きましたが、大体の流れはこんな感じです…。
書いた人間は、演劇・音楽関係は中学以来縁が無く、ボイスドラマはまだ一度しか作っていないので、情報が足りない部分もあるかと思います…!
ネット上に情報が少なすぎて制作がかなり大変だったので記事をシェアさせて頂きました。

目を使わなくても遊べるもの、楽しいものが世の中に増える様願っています。クリエイターさんを応援しています!

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