弱体化が予想されるロシアW杯後の日本サッカーに、つける薬はズバリ「哲学」だ
「3バックか、4バックか。どちらなのかわかりませんけれど、監督の求めるものを、ピッチの上で表現できれば……」と語ったのは、スイス戦後の槙野智章だ。3バックとは3-4-2-1。4バックとはおそらく4-2-3-1。前者は守備的サッカーに、後者は攻撃的サッカーに属する布陣だ。
守備的か、攻撃的か。いまだ、どちらを採用するのか、選手はわからないそうだ。西野ジャパンの弱さを集約しているポイントだ。西野さんが、根本的な問題を明確にせぬまま代表監督の座に就いてしまったことを問題視する人はあまり多くない。
まさに究極の、哲学の領域に迫る選択だ。明示すれば監督の色は鮮明になる。それは言い換えればカリスマ性だ。哲学を語る監督ほど、高いカリスマ性が宿ることになる。監督にとってカリスマ性を備えることはなによりの財産なのだ。
攻撃的か、守備的か。試合によって、相手によって使い分けるタイプもいる。ジョゼ・モウリーニョはその典型的な監督だ。これもまた色といえば色である。よく言えば現実主義者となるが、この場合、その立場を維持するためには常に結果を残す必要が生じる。結果を残せない現実主義者は、現実主義者ではないからだ。哲学者としての魅力も失われてしまう。
西野監督がもし現実主義者なら、就任に際し、そうハッキリ語るべきだったのだ。それも色であり、哲学の範疇に収まるのかもしれない。少なくともカリスマ性はいまより出たはずだ。
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