「ポケットモンスター」
「ポケットモンスター」が大好きだった少年
・いまから24年前の今日、ぼくは『ポケットモンスター緑』を買った。
・『ポケットモンスター赤・緑』は1996年2月27日、任天堂から発売されたゲームボーイソフトだ。
・開発はゲームフリーク。
・当時、ぼくは小学六年生。春には中学生になるとき。
・その時購読していたコミックボンボンかコロコロコミックのどちらだったか。『ポケットモンスター赤・緑』の発売前情報が載っていた。
・「自分のポケットに、捕まえた自分だけのモンスターをいれて冒険する…」「ソフトが2種類あり、そのソフトにしか出会えないモンスターがいる…」なんてワクワクするコンセプト。
・ぼくは、地元にあったテレビゲームショップ「わんぱくこぞう」へ出向き『緑』を予約して発売日を待った。
・等身の高い主人公が、ゲーム画面の一頭身のキャラに縮んでいくあの表現。「紛れもない僕が、このゲームの主人公だ」と没入感を手伝ってくれた。印象的な導入。
ポケットモンスターのどういうところが好きだったんだろう
・出会ったモンスターを「”すべて”捕まえることができ」「”すべて”プレイアブルなキャラとして育成できる」というところ。
・他のファンタジーな世界観と違う、現実の延長の世界観というのがよかった。そこにちょっと不思議な生き物「ポケットモンスター」たちが、僕らとともに生きている世界観。
・モンスターたちは150種類もいて、種によっては人間たちと「生活をともにしている」描写があちらこちらにあった。
・モンスターたちを愛玩用に飼うひとたち
・工事現場で一緒に働くモンスター
・悪事に利用されたり
・弟や友達、みんなポケットモンスターをプレイしていたが、それぞれに体験が少しずつ異なっているというのがおもしろかった。
・組んでいるパーティによってぜんぜん変わる難易度
・ストーリー攻略の順番
・話を進めていくとちょっと前の街に戻ることができ、そうすると強くなった自分たちを発見できるのが、すごく嬉しかった。
・物語もクライマックスに突入すると、最初のマサラタウンにぐるっと一周して戻ってこれる。謎の感動がある。
・そもそも、ポケットモンスター自体、映画『スタンド・バイ・ミー』と同じテーマを持っているという話を聞いたことがある。
・ひと夏の冒険。冒険に行って、また自分の町に戻ってくる。色んな経験をして戻ってきたらいつもの街は変わらないのに、違って見えた。
・主人公の自宅のテレビでも『スタンド・バイ・ミー』が流れているだろう描写があった。
・モンスターたちの贈りあいが嬉しかった。
・はじめて捕まえた人の名前をモンスターが覚えた状態で、交換される仕組みに「優しさ」を感じた。
・150種類のモンスター、どのモンスターもパーティに組むことができ、主役になり得た。
・強モンスターは存在したが、それ以外全部雑魚モンスター、とはならなかった。
・優しく、自由度の高い、ワクワクする体験をずっとさせてくれたポケットモンスターが大好きだった。
それから
・『赤・緑』を熱中して遊んだあと、ぼくは次作『ポケットモンスター 金・銀』の発売を待つことになる。
・発売は延期に次ぐ延期…。発売されたのは1999年。ぼくはもう高校生になろうとしていて、わりとゲームから離れつつあるときだった。
・プレイはしたしすごく面白かったが、あのときほど熱中してプレイしていない。
・それから、『ルビー・サファイア』『X・Y』『サン・ムーン』とプレイはしたが…。
・『赤・緑』に初めて触れたときのワクワクは残念ながら感じることができなかった。
・田尻智さんがゲームのシステムを作るときは、動詞に注目すると著作に書いていたのを強く覚えている。まわりの当時の面白いゲームはそういうふうにデザインされていたという。
・クインティは「めくる」という動詞に注目して作られたゲームだったはず。
・ポケットモンスターの“ゲームシステムとしての”本質はおそらく「集める」だろう。
・幼少期に虫取りに熱中した田尻智さんの発想からして、自然だ。
・ちょっとしかプレイしていないが、いまのポケモンは「集める」という仕組みを中心に構築されているのではなく「ポケモンバトル」を中心に作られているように思う。
・「バトルに勝つために」「強い個体」を厳選していく「作業」…肌に合わなかった。
・そのズレを感じているから、しっくり来ていないのかも知れない。
・もちろんそうでない楽しみ方も「できる」はずである。
・いま、自分にも7歳、5歳になる子どもたちがいて、ポケットモンスターに自然と触れ合う機会が多い。下の5歳の子は特にポケモンが大好きだ。
・子どもたちもそのうちポケットモンスターの新作をプレイすることがあるだろうと思う。
・自分と同じ経験をするわけがないし、強要もできないが、でもあのときのワクワクみたいなのを、これから子どもたちにもゲームを通じて経験してほしいなあと思う。
・それが新作『ソード・シールド』で経験できればこんなにうれしいことはないとおもっている…!