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【#21】NPOと人材開発


概要

収録の準備を始めた私たちが、この日は迷わずこれだね、とテーマを決められたきっかけは「コメント」でした。
もう、お声をいただけることは嬉しい限りなんです><
ということで、今回は視聴者様からいただいた問いから語り合いを始めてみました。

昨年末に配信した#19 社会変革とWellbeing の回にアンサーしてくださいました。 
「社会課題に取り組む人たちが自己をすり減らすことなく働き続けられる環境をつくるにはどうしたらよいのか」ということについてあれやこれや話していました。

そこにいただいた問いは
「環境を整える重要性の認知はどう上げていけるのか?」
「NPOなど非営利組織でコーチングを組織的に取り入れている事例はあるか?」

答えはないけれど、身近なエピソードから話してみたところ
「組織内と外のリソースとの繋がりって大事!」
「複数の組織でリソースを出し合って学び合うってどうかな?!」
という気づきと提案が出ました。

今回も是非聴いてみてください。
下部には文字起こし付きです。

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配信内容全文

コメントに感謝!

Kakky)今日は「NPOと人材開発」というテーマ。今回、19回目の「社会変革とウェルビーイング」の配信に対して、コメントをいただきました。
本当にありがとうございます。嬉しいですね。
まずはコメントから。

「社会課題に取り組む人たちが自己をすり減らすことなく働き続けられる環境をつくるにはどうしたらよいのか、はNPO・教育・まちづくりの領域で働いてきた自分にとってしばしば直面する問いです。
最新回(19回目)で触れていたように委託費に職員の能力開発やコーチングにかかる費用が盛り込めるようになったら素晴らしいなと思いました。
その前段階として、コーチングなどケア環境を整える重要性が広く認知される必要があるのでしょうが、ここでつまづいている段階のように思います。
その理由として成長段階に応じたサポートなどNPOのエコシステムが未発達であること、グッドプラクティスの共有がなされるプラットフォームのような存在が不在なことが考えられるかなと思いました。
ケア環境を整える重要性の認知に向けたロードマップはどんなものがあり得えるんですかね? 
あと、NPOなど非営利組織でコーチングを組織的に取り入れているグッドプラクティスをご存知であれば、こちらも聞いてみたいです。」

コメントより抜粋

メッセージを頂いたまどかさん、ありがとうございます。
今日はここから話を始めていきます。

2つ声を頂いていますね。

ばんばん)1つ目は、社会課題に取り組む人たちが自分をすり減らすことなく、働けるための環境が整っていくことが、どうやったらできるかのロードマップは何か。
もう1つは、ロードマップの前に組織単位でできている良い取り組みがあれば知りたいです、という2つと理解しました。

先に組織単位の話からしてみましょう。

コーチングを組織で取り入れている例

Kakky)まずは具体的なところでイメージできる話から。これまでも何回か触れてきたかずの経験が近しいところがあるのでは?

かず)私がやっているフローレンスでのことを話せたらと思います。まさに今、フローレンスの人材開発の部門にいるのでそのものズバリ。
コーチングを1年間、ある事業部の保育園の園長にずっとやってきた、その話をします。
コーチングを園長先生20人全員に対して、8ヶ月間、一人ずつコーチをつけて走り切る、ということをやった。

ばんばん)すごいね。

かず)コーチは社外コーチが10人、社内コーチが5人の内訳で、20人のクライアントを8ヶ月サポートしている。先日、全て終わったところ。
社外コーチの人たちは今回はプロボノという形で集まってもらった。
目的を意図に共感してくださるプロボノの方、という形で集めたら、10人集ってくれた。
やってみたらすごくよくて、現場の人たちにしっかりコーチングをやるのも初めてだった。
最初はコーチングを知らない人たちもいたので、「なになに?」という感じだったが、やっていく中で、みなさんのあり方、使う言葉の感じが少しずつ変わる、ということが起きた。私の主観ではありますが。
今回のお便りに対して、どうグッドプラクティスだったのか。
フローレンスが事例を紹介すると、「規模が大きいからできるんだ」ということをよく言われる。

Kakky)それはそうですよね。知名度があるから仕方がない。

なぜうまくいったのか?


かず)実際にそうだ、というところもある。ただし、今回コーチングを提供するにあたって、いきなりできたわけではない社内でコーチングを学んだ人たちで、地道に啓蒙活動を行っていた。コーチング部というのを作って、社内のラジオで「コーチングというのがあって、コーチングをやりたくて」ということを社内で言いふらしたり、いろんな活動を社内でゲリラ、水面下で何年かやっていた。
今回、初めて組織の中のオフィシャルなところではじめてできた。
もともと、人をサポートする、育てる文化はあったので、コーチングはこうなんだよと説明することに対する、社内の理解はあった。反対はされない。すごく共感してもらえるかと言うと人による。
今回、プロボノという形で集めたときは、フローレンスという名前を知ってくれていた人も多かったし、コーチングを社会課題をやってくれている人に提供したい、その想いが超深い人がことのほか多かった
こちらが感謝しているのに、「やらせてくれてありがとうございます」と言葉がけをしてくれる人もいた。これはやってみて初めてわかった。
そんな感じで、社内で啓蒙、理解を得る状態を作りつつも、外に助けを求めて、なんかできちゃった、という感じ。その2つがポイントだったかなと思っている。
フローレンスは確かに大きくて、知名度はあるのだけれど、助けを求めるということは規模に関係なくできることはあるかなと思う。
助けを求めたことを社内で展開していくには理解と調整は必要にはなる。

フローレンスは過去を振り返っても、コーチングをやる前から、研修やチームビルディングをNPO価格でやってもらったということはかなり昔からあった。
今はコーチングという一つの形で話したけど、コーチング以外でも、かなりいろんな人に人材開発分野で支えてもらって、ここまできた、というのはある。
プラットフォームまでにはなってないけど、フローレンスとしてはその人脈をすごく大切に感謝しながら、小さい頃からずっと繋がり続けて、研修したりしてもらいながらやってきた

フローレンスとしては、それが一つの人材開発の体制として、昔から成立していた、昔から助けを求めていた。

Kakky)初期の頃から、協力者が組織の外にもいた、というのは豊かだなと思う。
大事なこと。チームのことって、組織の中だけで頑張ろう、となりがち。非営利組織だけでなく陥りがち。
担当の人を作ると、その人が全部やる、となりがち。中だけで頑張っちゃおうとなるとパンクする。
どんどん外にいって、声をかける、外からきてくれる声にのっかって、っていうのができてる柔軟さは大事なことなのだなぁと改めて思った。

個人でもふつふつとやりたいな、と思っている人はいると思う
私もかずに声をかけてもらってこのコーチングのプログラムに参加させてもらっているが、ずっとこういうことをやりたかった。
まさに社会課題に取り組んでいる人たちが自分のケアをし続けられる環境にリーチアウトしたかったけど、どうしたらいいかわからなかった。個人の人たちは、どこに行けばその機会があるの?

ばんばん)NPOの問い合わせ窓口から「私コーチングしたいんです」みたいな

Kakky)営業かけるみたいなね。こういう形で声をかけてもらえると「ぜひ」「そうなんですよ」となる。
こういうふうに思っている人たちも個人から働きかけていこうよ、と、自分自身にも言いたいが。どこにいったらそういうケアをしたいと思っている方々がいるなら、出会いたい。

かず)今回やってみて、今の話も聞いてみて思ったのは、フローレンスとして大々的に募集します、という感じではなかった。私と前にゲストで出てもらったももちゃんが、Facebookのタイムラインで「こんなことをやろうとしてるんだけど興味ある人いる?」と個人のつながりから始まっていた
今後そうしていくかはわからないが、組織として出そうとすると社内調整も必要。個人の声でも、むしろその方が想いはつながりやすいのかなと思った。
届く範囲は狭いかもしれないけど、ゆるくつながっている人脈の中で想いがつながるのはいいなとおもった。

Kakky)地上戦っていう感じですね。

かず)最初、そんなに人が集まると思ってなかったけど、1日で10人集まってしまった。

Kakky)それは(ふつふつとやりたい気持ちをもっている人が)いるっていうことを証明してますよね。

かず)自分が直接知っている人じゃない人もいた。知り合いの知り合いが来てくれた。「僕の知り合いでやりたいと言ってる人がいた」と紹介してくれた。クチコミ。その力を感じた。

Kakky)こういう入り口の開け方もあるんだな、っていうことですね。

人や組織に投資する文化はどう作られる?

ばんばん)改めて聞いてみたいのは、そういう人たちに呼びかける、それが大事だとか、組織としてそれをやることが可能だというのが素晴らしい。
いろんな組織で見るのは、人への投資というのは、お金だけでなく、時間の面でも後回しになりがち
フローレンスの中で、人への投資が大事、という文化がどう作られてきたのか、すごく興味がある。

か)2つある。
1つは、人を育てるとか、コーチングに代表されるような「人を尊重する」という文化がベースとしてずっとあった。
もう1つは、組織の中で遊べる余地。Googleが言っている10%ルール、みたいなもの。フローレンスにはそんなルールがあるわけではないが、やってても、誰にも怒られない。自分が本来やるべきことをやってれば。僕もその時はシステム屋さんなのに、なぜかコーチングを入れる、というのを勝手に自分で決めたミッションとしてやっていた。
それはそれで、上司も「あなたがやりたいことなのね。応援しますよ」と言ってくれたりとか。そういうことを許可してくれる余白、そこからいろんなイノベーションが生まれてくる文化がフローレンスにはあった。それは自分にとっては大きかった。
この2つがあったから「助けて」と言えるようになる。「助けて」といってそれを受け入れる箱を社内で運営できるようになった。
そこは中から助けを求める出発点としては、「人材開発の理解」と「イノベーティブな雰囲気、余白」は大事だと思っている。

さて、社会に認知を広げるにはどうしていくべき?

ばんばん)こういうことを認知として広げていくためのロードマップに触れてみよう。
今みたいなグッドプラクティスがちゃんと認知されていく、というのは一つある。
良い変化を起こしたいと思ったときに、人材開発に投資することが、長い時間軸で見たときに、積み上がっていく投資として実は合理的である、というのが、話を聞いていて感じた。
そういうことが事例としてでてくるといいな。
そういうことをやろうと思うと、資金提供者側、寄付者が理解する必要がある。
寄付など、受益者のために使うべきだ、という意見。そうなのだけど、だからこそ人に投資する、ということにはなっていない。
短期的で確実な成果を目指そうとすると、確実にできることをなるべく直接受益者に、ということになっていく。
人材開発って直接じゃなくて間接で時間はかかるし、実はそういうところに矢を刺しておくことが長い目で見るといいんです、ということ。
NPO側もしっかりいくつか事例を作って証明していく必要もあるだろうし、同時に資金提供者側の理解をどう作るか、ということも、ETIC.の仕事でもあるとも思う。

Kakky)ばんばんは前回もそういう話をしてくれたけど、NPO組織の支援をする立場、組織の人たち、この領域にも何人かいらっしゃる。
人材開発、組織開発という領域は大事だよ、と語っている人はいない、というと言い過ぎ?

ばんばん)言い過ぎだけど、そんなに大きな声ではない。お便り頂いて反省しました。ポッドキャストでしゃべってるだけじゃなくて、もっといろんなところで喋らないとなと思いました。

Kakky)そういうことなんですよね。もっと、「大事なんですよね」とうなずいてくれている方はいるということを確認できたし、言っていかなきゃいけない。
ビジネス界隈では、事業を大きくしていく、インパクトを出していくためには、組織開発をしていくということは両輪である、という認識は結構でてきていると思う。
その延長で、人、タレントマネジメントという言葉が使われるようになったのは過去数年だけど、そういうストリームがあるから、NPO界隈、社会課題に取り組んでいる組織でも、現れない話ではないと思う。
そんなに遠い話、忘れ去られた話ではない。この種に、水をかけて育てていきたいですね。現状、今まだここ。

複数の組織で共同体を創る

ばんばん)NPOの世界はまだビジネスが小さいので、聞いてくださっている皆さんも含めて、それをやろうと思えば、作っていける。

もう一つ付け加えると、フローレンスは大きいから、という話。ETIC.で意識的にやっている話として、3人〜5人の創業期の組織、どう人材開発やっていくかも悩ましい話。5人の組織で人材開発担当者をひとり置くかと言うと、5人のうち一人は多いよね、と。
なかなか良い取り組みに投資しきれない、というときに、ETIC.とか我々のチームとかで、共同購入型のような形で、いろんな組織でリソースを持ち寄って、学び合うこともできる
NPOは組織の壁を超えやすいので、協力してそういう場を作っていくみたいなことも。
いくつかの取り組みがあるとも聞いている。
大きくなる組織のものじゃなくて、小さいときからそういうものに触れられる業界の仕掛けみたいなものは改めて必要。

Kakky)社会全体の流れを作っていこうという方向性と、地上戦みたいな一つ一つの組織でできること、同時にやっていけるといいですね。

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