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フロッピー・ディスクを分解してみました

 あなたはフロッピー・ディスク(以下、FD)を使ったことがありますか?(もしかして、まだ使っている人はいますか?)若い人の中には見たこともないという人もいるかもしれませんね。
 高校で情報科が始まったのは2003年、当時FDは現役で働いていました。私も情報科の授業で生徒たちに使わせました。
 さて、一連の授業が終わった最後の時間、みんなでFDを分解しました。それを踏まえての試験問題です。

【問題】下の図は、3.5インチのフロッピー・ディスクの部品を示したものである。
図の(1)~(4)の部品に適当と思われる名称をつけ、それらの役割を書き記しながら、データを読み書きする仕組みをわかりやすく説明しなさい。
その際、FDを「ドライブに挿入したときと挿入していないときの違い」ならびに「本体側のFDドライブとの関係」にもふれること。

 この問題ではまず、次の5つを書くことが絶対条件です。(設問にそう書いてあります)

  • 部品につける適当な名称

  • その役割

  • データを読み書きする仕組み

  • 挿入時と未挿入時の違い

  • FDドライブとの関係

 次に、どこまで丁寧に書くのか?「ある程度はわかるけど、突き詰めるとよくわからない」ことをどこまで掘り下げるか?それについては「上の5ヶ条に少しは触れながら、あとは得意分野に絞って(書けることを)わかりやすく書く」ってことで良いでしょう。


では《解答例》です。

《解答例1:部品ごとに分けて》

(1) シャッター
 ドライブにセットしていないときは、磁気ディスクを守る働きをする。ドライブにセットすると、シャッターの窓と表ケースの窓が重なって、データの読み書きが可能になる。
(2) 開閉バネ
 ドライブにセットしていないときは、バネが開いた状態になり、ドライブにセットしたときは、バネが閉じた状態になる。そうして、シャッターを移動させる。
(3) 回転ハブ
 ドライブに吸着され、回転ハブを軸にして磁気ディスクが回転する。回転することでドライブのヘッドが磁気ディスクのいろんな部分にアクセス出来るようになる。
(4) 磁気ディスク
 表面に磁性体が塗布された薄い円盤状のもので、データを記録するFDの基幹部品。ドライブのヘッドが、磁気の力を利用して、デジタルデータを磁石のN極とS極の2パターンで記録する。

《解答例2:挿入時と未挿入時に分けて》

 FDをドライブにセットしていないときは、(2) スプリング には力がかからず、開いた状態(伸びた状態)になって、(1) スライド の窓と表ケースの窓がずれた位置に来る。こうなることで、(4) 記録フィルム が傷つけられたり汚れたりするのを防いでいる。
 FDをドライブにセットしたときは、スライドに力がかかって移動する。このとき、スプリングは閉じた状態(縮んだ状態)になり、スライドの窓と表ケースの窓が重なって、ドライブのヘッドが記録フィルムに直接アクセスできるようになる。
 データの読み書きをするときは、(3) 回転シャフト がドライブに吸着し、ドライブ側の動力で回転シャフトと記録フィルムを回転させる。同時にドライブのヘッドが半径方向に移動しながら、記録フィルムの各レコード/各セクタにアクセスする。
 記録フィルムには磁気を感じる性質があって、ドライブのヘッドは記録フィルムに直接接触しながら、電磁石の力で記録ファイルのデータを読み書きする。

《解答例3:読み書きの仕組みを中心に》

 FDをドライブに挿入すると、ドライブがFDの (3) グルグル をくっつけるかグルグルの穴をつかむかして、(4) ペラペラ ごと回転させる。ペラペラには磁石みたいなものが塗ってある。PCのメモリー上では電気のオン/オフで表されていたデジタルデータを、ドライブかOSかで、磁石のN極/S極に変換して記録するってことだ、きっと。
 ところでFDの容量は1.44メガバイト。メガが約100万で、1バイトが8ビットだから、要するにペラペラの中に1000万個の磁石があるってこと。ペラペラがグルグル回っている間に、ドライブ側の磁石がピンポイントでペラペラの中の磁石のN極・S極を変えるんだろう、たぶん。
 FDをドライブから取り出すと、(2) ビョーン が伸びて、ペラペラが露出しないような位置に、(1) シャッシャッ が移動する。つまり、FDがドライブに装着されていないときにペラペラを守るために、ビョーンとシャッシャッがあるってことだ。

 ところで、実は似たような問題が「東京工業大学2002年度後期入試」に出ています。その問題は、FD2枚・マイナスドライバー1本・ポリ袋1枚を配布して、試験中にFDを分解しながら答えるものでした。

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