重複順列と重複組合せ
このうち順列 $${\boldsymbol{_n}\mathbf{P}\boldsymbol{_r}}$$ と組合せ $${\boldsymbol{_n}\mathbf{C}\boldsymbol{_r}}$$ については教科書にも載っているし、練習もしているだろうからここでは説明せずに、重複順列 $${\boldsymbol{_n}\large{\mathbf{\pi}}\boldsymbol{_r}}$$ と重複組合せ $${\boldsymbol{_n}\mathbf{H}\boldsymbol{_r}}$$ について簡単に説明しよう。
重複順列と重複組合せ
◇ 重複順列 $${\boldsymbol{_n}\large{\mathbf{\pi}}\boldsymbol{_r}}$$
例:大中小3個のサイコロを投げて出る目の場合の数は、₆π₃ = 6³ =216通り
一般に、異なる n 個の中から重複を許して r 個取り出す(順番を区別する)
→ $${\boldsymbol{_n}\large{\mathbf{\pi}}\boldsymbol{_r}=n^r}$$
◇ 重複組合せ $${\boldsymbol{_n}\mathbf{H}\boldsymbol{_r}}$$
例:x+y+z+w=10 を満たす負でない整数解の個数は?
○○○|○○○○|○|○○ ←→ (x , y , z , w)=(3 , 4 , 1 , 2)
||○○○○○○○○○○| ←→ (x , y , z , w)=(0 , 0 , 10 , 0)
:
と考えれば 1:1 に対応するから、
○10個と棒3本を並べる場合の数を数えればよいことになる。
₄H₁₀ = ₁₃C₁₀ = ₁₃C₃ = 286 個
一般に、
異なる n 個の中から重複を許して r 個取り出す(順番を区別しない)
a a b d・・・?
→ r 個の物を n 種類に分ける(規則正しく並べよう)
↓↑
→ r 個の○と n-1 本の棒を1列に並べる
○○|○||○・・・○
→ $${\boldsymbol{_n}\mathbf{H}\boldsymbol{_r}=\boldsymbol{_{n+r-1}}\mathbf{C}\boldsymbol{_r}}$$
練習問題 【1】
《解説・解答》
すべての場合の数は、 ₆π₃ = 6³ =216通り
このうち、
(1) a , b , c がすべて異なるのは、 ₆P₃ = 6•5•4 =120通り
(2) a<b<c となるのは、 ₆C₃ = 6•5•4/3•2•1 =20通り
(3) a≦b≦c となるのは、 ₆H₃ = ₈C₃ = 8•7•6/3•2•1 =56通り
以上から、
(1) a , b , c がすべて異なる確率は、₆P₃/₆π₃ =120/216 = 5/9
(2) a<b<c となる確率は、 ₆C₃/₆π₃ = 20/216 = 5/54
(3) a≦b≦c となる確率は、 ₆H₃/₆π₃ = 56/216 = 7/27
練習問題 【2】
《解説・解答》
(1) 異なる3種類(1円玉、10円玉、100円玉)から重複を許して3個とって、取り出す順番を区別しないのだから、重複組合せ ₃H₃ にあたる。
₃H₃ = ₅C₃ = ₅C₂ = 5•4/2•1 =10通り
※ 全部書き出すと「3円、12円、21円、30円、102円、111円、120円、201円、210円、300円」の10通り。
(2) すべての場合の数は、₉C₃ = 9•8•7/3•2•1 =84通り(※)
また 1円玉、10円玉、100円玉のとり方はそれぞれ ₃C₁ =3通り だから、求める確率は 3•3•3/ ₉C₃ = 9/28
※ このように「9枚のコインを全部区別して数える」ことで「同様に確からしい」が守られる。← 正しく確率計算するために必要なこと。
◇ ◇ ◇
〜 順列と組合せとその周辺 〜
▷ 重複順列と重複組合せ
▷ パスカルの三角形の裏事情
▷ 3項定理とパスカルの四面体
▷ 場合の数の数え方と確率の数え方の違い