
ワクチンA,Bどちらを打つか?
いきなりですが、【問題】です。
2種類のワクチンAとBがあります。
○ ワクチンA 有効率90% 1人当たりの費用:7千円
○ ワクチンB 有効率70% 1人当たりの費用:3千円
あなたが住んでいる市の人口は10万人で、いろんな職業・年齢層の住民がいます。また、ワクチン接種のための費用の上限は5億円です。(つまり全員にワクチンAを接種することはできない)
あなたは市の担当部署の一人で、感染症の拡大を防止するための施策が求められています。副反応など分からない部分もありますが、具体的な実施方法についてはあなたの部署に一任されているものとします。
さて、この場面で、あなたならどのように判断しますか? 三者三様、十人十色の案を出してください。
ここで話は突然変わって、「学力の3要素」について。文部科学省から新しい「学力の3要素」なるものが示されて、2021年から始まった「大学入試改革」はその線に沿って進められています。
① 知識、技能
② 思考力、判断力、表現力
③ 主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度
①の「知識・技能」を問う問題とは、典型的には従来型の「答えが1つに決まる」問題のことでしょうけれども、上の問題がそれに該当するかというと、条件設定があいまいで「正しい答え」が出ませんから、「出題ミス」ということになるでしょう。
でも、上の問題を②の「思考力・判断力・表現力」を養う問題、あるいは③の「主体性・多様性・協働性」を育む問題と受け取ると、問題として成立しますね。
さて、私は上の問題を③「主体性・多様性・協働性」を育むための問題と捉えたいのです。その方向性を示すものが「三者三様、十人十色」の記述です。
というのは、上の問題を②「思考力・判断力・表現力」を養う問題と捉えると、「どっちが良いか、より優れているか」を競うようなことになったり、相手の意見を聞かないことになるような気がするからです。
この問題の大事なところは、まずいろんな考え・意見・発想を出し合うこと。自分一人で出てくるものは数知れていますから、より多く出すためにはみんなの力が必要です。まず他人の話をしっかり聞くこと、その前にみんなが発言しやすい空気を作ること、その場に「正誤、優劣、勝ち負け」は要らないのです。
先ほどの問題、最終的にはやり方を「決める」のですが、それはまだずっと先のことです。その前にいろんな意見を出すことが大事で、たくさん出れば自然と「決まってくる」ものだろうと思うのです。ですから、慌てず騒がず、そして「決めよう」と思わずに、とにかくみんなにしゃべってもらいましょう。そのための【問題】です。
ここでまたまた話が変わって、②「思考力・判断力・表現力」を養う問題とはどのような問題を想定すれば良いでしょうか。
私にとってのモデルはチコちゃん(NHK「チコちゃんに叱られる!」)です。「自分なりに問いをたて、自分なりに考えて、自分なりの答えを出す」、そんな形が私の中ではぴったり当てはまるのです。
でもチコちゃんは②「思考力・判断力・表現力」にはぴったりなんだけれども、③「主体性・多様性・協働性」にはそぐわない。それがくっきり分かるセリフが「ボーっと生きてんじゃねーよ」なんですね。
というわけで、②「思考力・判断力・表現力」にはチコちゃん、③「主体性・多様性・協働性」には上の【問題】が向いていると私は思うわけです。
では、上の【問題】について、グループでいろんな考え・意見・発想を出してみて、そしてお互いにしっかり聞きましょう。「ただ1つの正しい答」、そんなものはありません。「どっちが良いか」、そんなものも要りません。
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〜 主体性・多様性・協働性を育む 〜
▷ ワクチンA,Bどちらを打つか?
▷ 感染防止しながらの文化祭
▷ 「疑え」というけれど
▷ モンスター・ペアレントの言い分には一理ある