人工知能(AI)の多種多様
(2019年4月)
ドラえもんには人工知能が搭載されているのでしょうか? のび太くんとのやりとりを見る限り、かなり高度な人工知能が搭載されているのは間違いなさそうです。でも、それほどの高度な人工知能は今はまだ世の中にはありません。そういえばドラえもんの誕生日は2112年ということですから、その頃(今年生まれた人が95歳になる頃)には実現しているかもしれませんが、いま現在は見通しすら立っていないと言えるでしょう。
それはそうと、一方で最近では家電製品でも「人工知能搭載」をうたったものが売られています。それらはドラえもんほど高性能ではないにせよ、その意味では人工知能はすでに実用化していると言えます。そしてこれからますます進んでいくのでしょう。
一言で「人工知能・AI」と言いますが、それは非常に曖昧で、かつ幅の広い概念です。レベルも様々、出来ることも様々ですが、現実には多くの場合「機械学習」するものを「人工知能」と呼んでいるようです。機械学習とはコンピュータが自動で学習することで、例えば「音声認識(最新の車にも搭載されています)」や「ウェブ広告最適化(ウェブサイトを利用するユーザーごとに違った広告を表示する仕組み)」あるいは「データの可視化(企業が持っているビッグデータから特徴や傾向などを見つけ出す)」などで、これらはすでにある程度実用化されています。
それらを実現するためのアルゴリズムも様々です。人がたくさんのデータとそのラベルを合わせて与えることで学習させる仕組みを「教師あり学習」と言います。ラベルを与えずにデータだけを与えて機械に分類させたり特徴を見出させたりする仕組みを「教師なし学習」と言います。機械の応答に対して得点を与えることで機械が自ら高得点を取るようになる仕組みを「強化学習」と言います。
では、ここで【問題】です。上に挙げた「音声認識・ウェブ広告最適化・データの可視化」を実現するのに適しているのは「教師あり学習、教師なし学習、強化学習」のうちどのアルゴリズムでしょうか。それぞれ1対1で対応させて答えてください。
私自身がネットで調べるなど少々勉強して、そこでの説明などを参考にして作問してみました。
人工知能は現在進行形の技術であり、これからさらに進化していくものです。また、この先どうなるかは誰にもわかりません。ですから、人工知能について完全な答えがあるはずもありません。それに私は人工知能の研究者でもなければ、技術者でもありません。ですから、詳しいことはわかりません。けれども、わからないなりにわかろうとする姿勢は大事です。中途半端でもある程度のイメージを持つことは、確かに力になります。大人でも子供でも同じです。
また「音声認識・ウェブ広告最適化・データの可視化」も「教師あり学習、教師なし学習、強化学習」のどれか1つのアルゴリズムだけで成しているとは限りません。現実には複合的に使っていたりするでしょう。ですから、上の問題に「ただ1つの答え」があるとは私自身も思っていません。それでも考えてみれば、人工知能についてなにがしかのイメージをつかんでいただけるのではないでしょうか。
一応、私なりの答えは用意しています。私自身がネットで調べるなど少々勉強して、そこでの説明・具体例などを参考にしての答えです。
音声認識 ← 教師あり学習
データ(発話の仕方や言い回し)には幅があるが、ラベル(言いたいこと)は同じウェブ広告最適化 ← 強化学習
最初はいわば適当に表示して、ユーザーの操作に合わせて表示するものを変えるデータの可視化 ← 教師なし学習
機械の方で試行錯誤してあれこれ示す中に、人が気づかなかった関係などが見えるかも
です。テスト問題として適当かどうかはわかりませんが、授業中にワークショップ形式で話し合うと良いかもしれません。人工知能も多種多様であること、そしてその具体例についてなにがしかのイメージを持っていただければ幸いです。
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