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「盛り上がる」(哲学対話)
2学期が始まって、文化祭まぢかでもあって、生徒たちも私もバタバタ慌ただしい。こんなタイミングでもやっぱりやりたい、哲学対話。
1時間だけということで、出られる人だけでやってみた。参加者は私を入れて3名。
参加者3名 9/11(水)15:30〜16:30
問いを立てる・問いを深める
当日の朝、私はイメージを紙にまとめて、参加してくれそうな何人かに配った。(↓)
☆ お題を決めて「問いを立て」、お互いに質問しながら「問いを深める」。
お題を決める:
バランスよく幾つかの候補を挙げて、みんなで1つ選ぶ。
「名詞/動詞/形容詞」、「感情/価値/物事」から1つずつ選ぶなど。
一例として私が挙げます。 → 「盛り上がる」 「夢」 「ずるい」
よろしければ皆さんも1つでも2つでも持ち寄ってください。手ぶらでもOK。
イメージを膨らませる:
その言葉を使う場面、思いつく情景、他の言葉と比較、ポジ面・ネガ面、…
問いを立てる:
自分の思いを「疑問文?」にする。お互いに発表して、お互いに問い合う。
問いを深める:
先の「疑問文?」を書き換えながら、1つか2つくらいに集約していく。
お題:盛り上がる
まぁやってみよう。制限時間は1時間。
お題を決める (10分)
まずは各自が用意してきたお題(テーマ)の案をお互いに発表する。その際に、想いや理由も簡単に話してもらう。その上で、みんなの総意で、もしくは多数決でその日のお題を決める。
お題の案は、先に私が例として挙げた「盛り上がる、夢、ずるい」に加えて、その場で「偶然、希望、分からない、つまらない」が挙がった。その結果、その日のお題は「盛り上がる」に決まった。文化祭直前だったという点が影響したであろうことは想像に難くない。
イメージを膨らませる (20分)
続いて「盛り上がる」または「盛り上げる」から思いつく情景・その言葉を使う場面を挙げてみたり、類義語・反対語・似て非なる言葉などを挙げてみたり、その言葉の肯定的(ポジティブ)な使い方・否定的(ネガティブ)な使い方を挙げてみたりしながらイメージを膨らませる。
その中で出てきたもののうち、鍵になりそうな部分をいくつか挙げてみると、次のようになるだろうか。
人数:1人だと「バカ騒ぎ」に見え、複数だと「盛り上がり」に見える?
程度(度を超す、セーブする):盛り上がっている状態でも、案外うまくセーブしている。基本的に度を超すことは無い。
冷める:「終わって冷静に戻る」ことと、盛り上がっている人を「冷めた目で見る」こと。
![](https://assets.st-note.com/img/1726149639-t5KuQ7GzBFshq8xAwXvZLdlS.png?width=1200)
問いを立てる (10分)
この辺で一旦「問いを立てる」ことにした。5分間のフリータイムを設けて、その間に休憩するなり散歩するなりしながら、テーマに沿った「疑問文?」を作る。5分後にお互いの「問い」を発表しあった。
3人それぞれ、次のような問いが挙がった。
![](https://assets.st-note.com/img/1726127270-IPlBJHnDfFY28qGkv7LuxjcO.png?width=1200)
「盛り上がる」とはよく言われるが、その 原動力 は一体何なのか?
盛り上がっている人たちに
ついて行けない 自分はどうしたらいいんだろう?
├ 冷めた目で見ている
├ 仲間に入りたい
└ 理解できない外から見たらバカ騒ぎにも見えるその盛り上がりの 目的 は何なのか?
問いを深める (20分)
続いて、各自が立てた問いに対して、お互いに質問し合う。「それって具体的にどういうこと?」、「・・・という理解で合ってる?」、「それについてこんな言い方もできそうだけど、どう思う?」などなど。
相手の「本音を引き出す」ような問いかけ、相手の「モヤモヤを言葉にする」ための手助け、ちょっと違う角度からの質問などなど、相手の問いがより深まるような問いを投げかける。
そうこうするうちに話は次第に「目的」へと向かっていった。「盛り上がりには何らかの目的があるはずだ、それって何なのだろう?」という問いだ。
「連帯感・仲間意識を得るのが目的」という見方も出てきた。裏を返して言うと「仲間はずれにされたくない」から一緒に盛り上がるという見方だ。うん、確かに、そういう面もありそうだけれど、言いたいことは、うーん、ちょっと違う。
「発散するのが目的」という見方も出てきた。でも、発散するのは「ストレス」じゃない。では、何を発散させるのか? 何から発散させているのか? 3人で考え続けて、そして出てきたのが次の考え方だ。(↓)
![](https://assets.st-note.com/img/1726149710-9gdYq6JIGUkNjWxD0vTaAtSz.png?width=1200)
私たちは日々の生活を送る上で、自分の中に「閉じ込めているもの」がある。自らにいろんな「制約を課している」と言ってもよい。一時的にその「制約を外す」こと、それを「ハメを外す」と呼んでもよいのだが、それが「盛り上がることの目的」ではないか。
ここまでで予定の1時間が経過していた。文化祭前でやるべきことが他に色々あるのは、彼らも私も同じ。時間があれば、先ほど立てた「問いを書き換え」たかったのだが、そこまで至らずに、やむをえずここで終了とした。
殻にヒビが入った感じ
みんなで決めたお題「盛り上がる」だから、もちろんみんなの問いだった訳だ。とは言え、最初にそれを提案したのは私だから、「問いを深めるために質問(攻めに)する」という部分では自然と私に対する質問が多くなった。
そう、私がターゲットにされて、「問いを深める」という部分では、私が掘られてしまったような感じになった。もちろん私も参加者の一人で、みんな対等だから、それで良い。
私は元々「盛り上がる」という言葉・光景に違和感があった。冷めた目で見ていた。おそらく私自身が高校生の頃からそうだったのだろうと、今にして思う。そして教員として働いている今現在も、その感覚がある。
ところが、上の表現、つまり「自分に課した制約を、一時的に外す」ことが盛り上がることの目的だと言う方に今更ながら「なるほど」と感じ入った次第である。
そしてもちろん、それはもう一人の問い「盛り上がりの 原動力 は何なのか?」にも通じるものがある。
1時間やってみて「自分を覆っている固い殻にヒビが入った」ような感じだろうか。ヒビから中を覗けば、うっすらと何かが見えるような、見えないような。これが1時間の成果だ。
あともう1時間やれば、殻が砕けて、自分の考え・感情・ものの見方がさらにくっきりと見えるんじゃないか、そんな気がした。この場の勢いで語ってよいなら、あと1時間やれば、参加者みんなが「丸裸にされた」んじゃないかと、そんな想像力も働く。
実際にはそれをやっていないので何とも言えないのだが、1時間でここまでやれたことを「素晴らしい!」と思うし、そこで止めたことを「惜しい!」とも思う。次回以降のことを考えると、ウキウキもするし、ドキドキもする。
◇ ◇ ◇
〜 問いを立てる・問いを深める 〜
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