
インドネシアの火山を巡る(2)
インドネシア初の高速鉄道に乗る
インドネシアの火山を巡る(1)の後、東ティモールのコーヒー産地を訪ねて、再びインドネシアに戻ってきた。2024.8.10に他の人と一緒に「ディリ(DIL)→ デンパサール(DPS)」と飛んで、他の人は「DPS → 東京・成田(NRT)」と乗り継いだところを、私一人だけ「DPS → ジャカルタ・ハリム(HLP)」と乗り継いだ。
ところで、普通ジャカルタの空港というと、スカルノ・ハッタ空港(CGK)を指す場合が多い。実際、私も HLP なるものを知らなかった。さて、私がなぜ HLP を選んだかと言うと、インドネシア初の高速鉄道(2023年10月開業)の始発駅がハリム駅だからだ。聞くところによると、中国と日本(JRの新幹線)が争って、中国のシステムが採用されたということらしい。
今回もお目当ては火山。そこに向かうために CGK に降り立つとジャカルタ市内の移動に時間がかかる。その点で HLP の方が移動がスムーズだ。もちろんインドネシアの高速鉄道に乗ってみたかったというのも理由の1つではある。
最高速度は 350km/h 。この数字を見ると、日本の新幹線より速い。乗るときに飛行機並みの荷物検査がある。

タンクバン・パラフ山
タンクバン・パラフ山にはたくさんの火口(Kawah)がある。
メインの火口(Kawah Ratu=女王)は大きくて、激しく噴煙を上げている。だから火口の中に降りることはできないが、火口の淵から見下ろす景色が良い。このメイン火口の中にもいくつかの火口があるのがよく見える。辺りには硫黄の臭いが立ち込めている。

今は静かな火口(Kawah Upas)もあって、そこには降りられる。平らな地面の所々に土が盛り上がって木が植っている場所がある。今は乾季だから水が無いが、雨季にはうっすらと水が張ると言う。その時には、そこが島のように見えるのだろう。

温水・熱水が湧き出ている火口(Kawah Domas)もある。そこも立ち入り可で、足湯に浸かったり、温泉卵を食したりできる。目では気付かないくらいの小さな噴出口もたくさんあるので、不用意にしゃがみ込んだり、サンダル履きでいるのは危ない。

バンドンの北、車をチャーターして、片道1時間半の距離にある。
カワ・プティ
カワ(Kawah)は「噴火口」で、プティ(Putih)は「白」。つまり「白い噴火口」だ。実際には湖水の色は白みがかった青緑色に見え、湖岸には黄色、そして緑色の部分もある。噴火口に水が溜まって、硫黄が溶け込んでこんな色になった。

噴煙が気になって、持参したガス・マスクを着けて、近づいてみた。
ところで、入口付近の整備された一角には人が多いが、湖岸を右側に・左側にと動き廻るのは私だけだった。立ち入り禁止と書いてあるわけでもなく、誰かが私を止めるわけでもない。要するに自己責任なのだと判断して、ある程度進んで、ほどほどのところで引き下がった。

またある場所で、硫黄の上をそおっと歩いたつもりが、ズボッとはまり込んでしまった。南国とは言え、標高2000m超えの高地で半ズボンでいる人は少ない。こんな山道でサンダル履きの人は滅多にいない。でも、その格好がこの場面では結果的に幸いしたと言えるだろう。めでたし、めでたし。

バンドンの南、車をチャーターして、片道2時間の距離にある。帰り道、高速鉄道の始発駅 Tegalluar まで車で運んでもらって、そこからジャカルタに向かった。
ジャカルタの交通システム
高速鉄道でハリム(Halim)駅に着いて、高架鉄道(LRT)に乗り換えた。この電車、運転席に誰も座っていない。自動運転もしくは遠隔操作しているということだ。

LRT で終点(Dukuh Atas)まで行って、バスに乗り換えた。このバス、日本の電車のイメージで捉えたい。乗り降りする場所はバス停と言うより、駅だ。改札があって、改札内なら乗り換え自由で、距離によって料金が決まる。バスの本数が多いので、発着時間を気にせずに使える。画期的なのは、バス専用車線を走ること。交差点ではその限りでないが、おかげであまり渋滞に巻き込まれることが無い。

いや、そんなことより、もっと大事なことがある。デンパサール(バリ島)でもそうだったが、ジャカルタの鉄道・バスでは現金不可。プリペイド・カードもしくは電子マネーしか使えないのだ。だから私は、帰国前日になって初めてインドネシアのプリペイド・カードを用意した。
◇ ◇ ◇
〜 インドネシアの火山を巡る 〜
▷ インドネシアの火山を巡る(1)
▷ コモド・ドラゴンに会いに行く
▷ コーヒーを味わうまでの道程
▷ レボテロ村の小学校
▷ インドネシアの火山を巡る(2)