見出し画像

なみえディスカバリーツアー

 福島県の浜通り、双葉郡の浪江町を発見するツアー「なみえディスカバリーツアー」(2024.9.21〜22)に参加した。2011年3月11日の東日本大震災と福島第一原発事故の被災地だ。町民全員が避難して2017年に市街地の一部が人が住めるようになったものの、まだ多くの場所が人が住めない場所(帰還困難区域)とされている。震災前の人口2万人に対して今住んでいるのは2千人ほど。1泊2日の行程で考えたこと・感じたことを書いてみます。

  • 日本の地方の多くで人口減少・流出・少子化・高齢化が続いていて、地域の文化や産業がさびれつつ・すたれつつ・無くなりつつある。後継者がいないというのはよく聞く話だ。ところが、ここ浪江では震災が無ければ消えていたかもしれない文化(祭り・風習・遺跡など)や産業(焼物・酒造・商店など)が、外(行政・移住者・支援者)からの力も受けながら、これからも続く可能性が高まっている側面がある。

  • ディズニーランドに行くにも、なみえディスカバリーツアーに参加するにもお金と時間がかかる。それらは数字に現れる。目に見える。その点では両者は同じだ。ところで、そこから何が得られるかというと、両者はだいぶ違う。何が違うかと言うと、ディズニーランドでは得られるものがおよそ見当がつく一方で、浪江ツアーでは予測が立たない。そこが浪江ツアーの面白さ。参加してみなきゃぁ分からない。私は皆さんにお勧めします。

  • なみえスマートモビリティ」(略称:スマモビ)というタクシーのような、乗り合いバスのようなシステムがある。行政と日産自動車が共同で行なっている。「スマホ・アプリで呼ぶ、スマホの位置情報を活用、実証実験・・・」などを謳っている。先進的と言いたげだ。
     でもさ、外国じゃもっと先を行ってるよ。私が夏に訪れたインドネシアでは上に加えて「料金が交渉制で、オンライン決済(※)」も組み込まれていた。ツアー参加者でインドから来た人も言っていた。「インドにも同じようなシステムがあって、すでに普及している」と。
     それが今ようやく、しかも原発被災地という特殊な場所で、先進的な取り組みと謳いながら、社会実験・実証実験をやるということ自体が、日本の規制のダメなところだと改めて思った次第である。出来る人が稼働させて使いたい人が使えば自然と広がっていくであろうに、非常に残念なことだと思わざるを得ない。
    ※ これはつまり現金払いが出来ないということでもある。世界中でキャッシュレス化が進んでいる。

  • 原発事故で避難指示が出ても、避難しなかった人が、どの市町村にもいたそうだ。2011年当時から今に至るまで、帰還困難区域とされている場所に住み続けている人もいるらしい。ある帰還者がそう言っていた。おそらく自治体も分かっているのだろうと私は想像するけれど、少数ながらもそんな人がいるのはむしろ自然なことだよな、と思った。

  • 浪江町の人口はまだまだ少ないけれど、いや、逆に少ないからこそなのかもしれないけれど、帰還者と移住者がつながって、異なる年齢層が混じり合って、良い関係を作りながら活発に動いている、そういう面がある。上記スマモビは別にしても、新しい取り組みが出来ているし、これからも出て来そうだ。その一部に絡むのも面白そう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?