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自然エネルギーの正しい使い方

究極のローテク、太陽熱温水器の効果絶大

 太陽熱温水器を考案してみました。実験はしていませんが。下左図は太陽熱温水器の設計図です。下右図は設置のための配管図です。ガラスで光を通し、黒塗り容器で吸熱して、発泡スチロールで断熱する。「溜まり水はぬるくなるの法則」を、究極のローテクを使って、効率アップを図っています。

太陽熱温水器

 特許取れるかどうかビミョーですが、基本的にこんなものでかなりの省エネが出来るはずです。照明をこまめに消すより、省エネTVに買い換えるより、効果絶大でしょう。
 では、実際に計算してみましょう。

☆ 水の温度を 1 ℃上げるのに必要なエネルギーを使って、同量の水を何m持ち上げられるでしょうか?
  (1) 43cm   (2) 4.3m   (3) 43m   (4) 430m

《解答》
水の量を 1 ℓ として計算してみましょう。
E=mct より、(E : エネルギー(cal)、m : 質量(g)、c : 比熱(水では 1)、t : 温度変化(℃))
必要なエネルギーは、E=1000×1×1=1000cal (カロリー)。
1cal=4.2J (ジュール) だから、これは 4200Jとなります。
次に、E=mgh を使うと、 4200=1×9.8×h より h=430
(E : エネルギー(J)、m : 質量(kg)、g : 重力加速度(9.8)、h : 移動距離(m))
以上から、答えは (4) の 430m になります。

《解説》
 熱の持つエネルギーの「量」が非常に大きいことが、実感していただけるでしょうか。電気を使う場合、水を 1 ℃暖めるのと、水を 430m持ち上げるのとが、消費電力が同じだということです。

☆ 10℃の水の温度を 40℃に暖めるのに必要なエネルギー量を a とし、同量の水を地面から屋根の高さまで4.3m持ち上げるのに必要なエネルギー量を b とします。a : b を求めなさい。

《解答》
はじめの問題で、2つのエネルギー量は 1 : 1 。
それと比べると、a が 30 倍、b が 100 分の 1 になっているから、都合 a : b=3000 : 1 になります。

《解説》
 4.3mという高さは、2階建ての家の屋根の高さとほぼ同じです。
 だから、太陽熱温水器はものすごく環境にやさしいんです。電気で水を暖めるのに比べて、3000 分の 1 の消費電力で済むのですから。

☆ 電気を使えば冷たい水を暖めることができますが、逆にお湯を使って電気を起こすことができるでしょうか。
     (1) できる    (2) できない

《解答》
生活で使う数十℃のお湯では、それはムリです。
発電するためには数百℃の水蒸気にまで加熱する必要があります。
その場合、加熱と冷却(熱エネルギーを放出する)を繰り返すために、熱効率は大きく下がります。

《解説》
 エネルギーには量だけでなく、「質」という観点もあります。いわば電気は高級なエネルギーで、熱は低級なエネルギーということです。(詳しくは こちら を参照)

《まとめ》
 上で見たように、太陽熱温水器の効果は絶大です。その理由は、太陽の熱を「熱のまま」利用していることにあります。けれどもそれを使って「発電」しようとすると、その有用性は失われることになるでしょう。

柴刈りの極意

 「むかしむかし、おじいさんは、山へ柴刈りに・・・
 柴は「木の小枝」で、柴刈りは要するに「薪拾い」です。( 「芝刈り」ではありませんよ。)
 柴(薪)のエネルギーのもとは、太陽です。ですから、柴は「再生可能なエネルギー」といえます。今風に言うと「バイオ・マス」ですね。ところで、おじいさんは、何のために柴を刈ったのでしょうか。
 おじいさんは、それで電気を起こそうとか、車を走らせようと考えていたわけではないでしょうね。柴で発電したり、物を動かしたりすることは、理論上は可能です。けれども、現実的ではありません。柴はエネルギー密度が小さいので、エネルギーの「量」を確保するには、大量の柴が必要になります。また、柴はエネルギーの「質が低い」ので、「質の高い」エネルギーに変換すると「量」がさらに減ります。2重のマイナス効果で、大量の柴から、ほんのちょっとの電気や運動量しか得られないことになります。
 おじいさんが柴を刈った目的は、きっと煮炊き、あるいは暖をとるためでしょう。つまり、熱源です。
 ところで、現代人にとっての熱源は、石油・ガスなどの化石燃料(電気も、元をたどれば化石燃料)です。エネルギーの「質」の観点から見ると、これは非常にもったいない使い方だと言わざるをえません。せっかくの「質の高い」エネルギーを、質をガクンと落として使うわけですから。
 特に、電気を熱源として使うのは、贅沢の極みです。発電中に大量の熱を放出して、ようやく手にしたピュアな電気を、再び熱に変えようというのですから。
 ちょっと考えてみてください。

   ◇ バイオ・マスで化石燃料の代替品を作り、
     バイオ・マス燃料を熱源として使う。
   ◇ バイオ・マス燃料を熱源以外の用途に使い、
     化石燃料を熱源として使う。
   ◇ 植物を直接燃やして、その熱を利用する。
     (化石燃料は他の用途に使う。)

 そのうち、エネルギー効率が最も良いのはどれですか? 植物を消費する量が最も少ないのはどれですか? 大気中の CO2 を最も減らすのはどれですか? 最も環境にやさしいのはどれですか?
 次の中で、植物資源を最も多く消費する人は誰ですか?

   ◇ 柴刈りのおじいさん
   ◇ 化石燃料を使う現代人
   ◇ バイオ・マス技術を使う未来人

ミャンマーの小型水力発電

 ミャンマーの小型水力発電と植物燃料について、こちら(↓)をご覧ください。

◇      ◇      ◇

エネルギーのそもそも論 〜 
▷ 技術が越えられない2つの物理法則
▷ 現代文明は「石油文明」である  
▷ 自然エネルギーの正しい使い方  

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