小学校の過剰装備
娘が小学校に入学した。いろいろ持ち物をそろえ、たくさんの書類を書いた。さて、「これって、いらないんじゃないの?」と思ったものがいくつかあったが、まず、自宅から学校までの略図。3回書かされた。 せめて1回にしてほしかった。
ところで、書かせるにしても、もっといい方法がある。公立小学校で通学エリアが決まってるんだから、みんなに白地図をコピーして配ればいいんじゃないか。そうすれば、自宅の位置をプロットするだけで済むし、通学ルートを赤線でなぞるのも簡単。苦労して書いたあいまいで下手な地図より、その方がよっぽど使い勝手が良いんじゃないだろうか。
… と考えると、いっそのこと学校で子供たち自身に書かせればいいと思う。子供に家に持ち帰らせて家で書いてまた学校に持っていくよりみんなにとって楽だろう。いや、住所が分かっていて場所を調べる方法はいくらでもあるんだから、それも無くていいように思う。(2009年)
他にもいろいろ。
ベルマーク収集の道のり
ポイント還元は、最近じゃいろんな店でやっている。大抵はカードを提示すれば、店員がバーコードを「ピッ」とやって、自動的に加算される。貯まったポイントを使うときも、カードを提示すれば、その場で商品がもらえる。客の手間は、カードを持つことと、提示することだ。
ベルマークのポイントをためるための手間は、こんなもんじゃない。
これだけの道のりがある。 それを経て得られるポイント還元率は、スーパーのそれと同程度のおよそ1%。
さて、家庭の選択肢は、ベルマークに細心の注意を払うか、集めないか、ムダ使いするか、のいずれかである。なにしろ、数ある企業のうちベルマークに参加しているのは60社ほどしかなくて、しかも付いてるマークは小さい。だから「買ってきた商品に、たまたまベルマークを見つけた」という調子では、ほとんどたまらない。それに、多くの家庭には、買ってきたものを毎回念入りにチェックするだけの根気はない。だからといって、何も集めないんじゃ「気まずいし、子供もかわいそう」と考える。
だから、回収日が近くなると、ベルマーク商品を選んで買うことになる。その際、自分の好みや値段などに寄せるいつものこだわりは、一時的に停止される。こうして数百円のムダ使いをして、数円分のベルマークを子供に持たせるのだ。
一方、子供はというと、夢中になるか、引け目を感じるか、親任せになるか、のいずれかである。子供が「おまけが欲しくて、お菓子を買う」のは昔からよくあることで、ベルマークにはそれと同じ効果がある。
低学年の子供であれば、先生に「ベルマークを集めましょう」と言われれば、宿題のように受け取るし、学校に持っていって先生に褒められれば「もっとがんばろう」と思ってしまう。反対に、友達より少ししか持っていかなかった子は、引け目を感じるだろう。
子供は競争するのが大好きで、自分をコントロールする力が未熟で、大人のような経済感覚を持たない。「夢中になるのはバカげているし、引け目を感じることもない」と考えるおませな子は、親任せになる。中ではこれがベターなのであるが、ベルマーク収集を勧める先生を、このとき子供は信用していない。
ところで、ベルマーク運動に参加する企業にとっては、まるでメリットがないわけではないだろう。ベルマークを付けることで、売れ行きがいくらか伸びるということもあるだろうし、消費者に「学校教育を支援している企業」と認められることには一定のメリットがあるのかもしれない。企業は、経費とメリットとを秤にかけて、その運動に参加するかしないかを判断していることだろう。
しかし、学校側・家庭側にとっては、ベルマークを集めることに経済的メリットはない。労力の方がはるかに大きいし、ムダ使いを誘発するからだ。
また、ベルマークを集めることに教育的効果もない。むしろ、マイナス効果の方が大きい。
よって、学校でベルマークを集めるべきではない 。現在それを実施している学校は、すぐに止めるべきだ。(2009年)
防災頭巾の価値
小学生が学校に通う日数は、年間日数の 50%。学校にいる時間は、1日の 25% 。学校にいる時間のうち教室にいる時間を 80% とする。掛け合わせて、小学生が教室にいる時間は、6年間のうちの 10% 。 ・・・ (1)
その6年間に、学校の棚から物が落ちるくらいの地震が起きる確率を 10% と見積もってみよう。それくらいの地震が起きたとして、子供の頭上に物が落ちてくる確率は 1% 。地震発生と物の落下とにタイムラグがあって、頭巾を被る時間的余裕がある確率は 10% 。この3つを掛け合わせて、0.01% 。 ・・・ (2)
(1) と (2) を掛けると、0.001% 。 ・・・ (3)
つまり、防災頭巾が役に立つ確率は、10万分の1 である。
次に、防災頭巾のおかげでどれくらい被害が小さくなるかを考える。医療費・損害の軽減分として 10円 ~ 1千万円 を想定するとして、加重平均を仮に 1000円 とする。これと (3) を掛けると、0.01円 。 ・・・ (4)
これが防災の観点からみたときの、防災頭巾の価値である。
防災頭巾の実際の価格を千円とすると、これは (4) の 10万倍にあたる。実際の価値の 10万倍ものお金を払うなんて、普通はありえない。
ちなみに、防災頭巾が役立ったという話を私は聞いたことがない。常備しているという家庭も知らない。見栄えもよくないし、埃 ・ ダニの温床になりそう。それになによりも、日常の学校生活を送る上で ジャマ なんじゃないだろうか。すなわち、それによって得られる便益に比べて、支払う手間ヒマ・費用が高すぎるのだ。
今でも「防災頭巾を用意してください」なんてやってる小学校があるみたい。日本人の危機意識、ヤバくないか。。。ウチの娘が小学校に上がって、そんな話が出てきたら、猛反対 してやろう。(2007年)
プルタブ回収? いいかげんにしろ!
家で空き缶を見つけて、娘が言った。「あっ、プルタブを学校に持って行くから、捨てないで!」
「えっ? 先生がそう言ったの?」 「うん」
※ プルタブ = ジュース缶・ビール缶などに付いている開け口の金具。プルトップともいう。
そのNPO団体にとってはメリットがあるのかもしれない。800Kgのアルミ資源の価格の方が車椅子1台より高いとか、一般の人からの寄付金があるとか、公的機関から支援を受けているとか、・・・もしかしたらボロ儲けしてるとか。
けれども、プルタブを集める方にはメリットはない。手間ヒマ・保管・送料など、コストがかかりすぎる。
それが環境に良いとも思えない。アルミ缶の消費削減効果はないし、運搬のための燃料もバカにならない。
お知らせの紙なんか配ったら、二重三重に赤字だろう。子供たちにとって教育効果があるとも思えない。
ベルマークに、毎朝の検温に、防災頭巾に、ティッシュに、そしてプルタブ。無駄があってはならないとは言わないが、子供に合理的な考え方と行動様式を身につけさせたいと思うなら、大きすぎる無駄と多すぎる無駄は省いてもらいたい。
学校の中に「やめよう」と考える人はいないのか。PTAの中から「やめよう」 という声は出てこないのか(あっ、ボクもPTAの会員だった ・・・)。子供と親を守るためにオレが立ち上がらないといかんのか。(・・・ やめとこっ)(2009年)
ティッシュをあらう
娘が小学校に入って2か月ほど経ったが、その間に洗濯機でティッシュを洗うこと、3回くらいあったろうか。小学生の子供がいる人なら、そのときのガックリ気分をわかってくれると思う。
「洗濯機に入れる前にティッシュを取り出せ」と言われればその通りだが、でもちょっと考えてみてほしい。子供のズボンのポケットから毎晩ティッシュを取り出すのも、それはそれで面倒だよ。
さらには、一晩どこかに置いておくのも、毎朝ティッシュをポケットに入れるのも、それなりに手間がかかる。
この手間ヒマとリスクを回避する方法は無いのか、というと、ある。ティッシュをランドセルの中に入れればいいのである。使い切るまで、入れっぱなしにしておけばいいのだ。あるいは、教室の一角にティッシュボックスを置いて、みんなで使ってもいい。
ところが、娘が通う小学校では「ハンカチとティッシュをポケットに」というのがお約束になっている。
ここで、「ティッシュを肌身離さずに持つ」ことと、それを「ランドセルの中に入れる」ことを比べてみよう。
前者の方が良い点は、必要なときにティッシュをすばやく取り出せることだけである。そのために要する手間ヒマは、毎朝ポケットに入れ、毎晩ポケットから取り出し、一晩保管すること。加えて、ティッシュをあらうというリスクも発生する。
ベルマークに、毎朝の検温に、防災頭巾に、そしてティッシュ。無駄があってはならないとは言わないが、子供に合理的な考え方と行動様式を身につけさせたいと思うなら、大きすぎる無駄と多すぎる無駄は省いてもらいたい。(2009年)
◇ ◇ ◇
〜 教育費は何のため? 〜
▷ 使った分が財産だ + もったいないのはお金だけじゃない
▷ 小学校の過剰装備 + PTAの副会長になり損ねた件
▷ 高校卒業したら子供に1000万円あげちゃう計画